31.幸福度の検証(2/5 12:53修正)

 今日もログイン。


「みんな、おはよう」

「「「おはよう(わふ)(ホー)(めぇ)」」」


 さて、今日は何するかな…ん?ミィさんからメール来てる。


『ちょっと検証に手伝って欲しいことがあるからー、インしたら教えてほしー』


 ふむ。検証か。俺に連絡ってことは精霊絡みかな?


『インしました。どこに行けばいいですか?』

『とりあえずそっち行くわねー』

『了解』


 朝食を手早く済ませたところでミィさんがやってくる。


「おはよー、もふたくん」

「おはようございます」

「早速本題なんだけどー、前回のイベントの時に公式が『幸福度』っていうのがあるらしくてー、それがクリティカル発動率とかを上げてるって言ってたのよー。それで掲示板でー、始まる前にもふたくん達のやり取りを見てほっこりしたからそれが理由なんじゃないかってねー」


 う、あれやっぱり見られてたんだなぁ…恥ずかしいな。


「えと、それだけでその幸福度?が上がるんですか?」

「それを検証したくてねー。嫌なら断ってもいいんだけどー、噴水の所でやって欲しいわけよー」

「あー、なるほど。見世物ってわけですか…」

「そういうことー。たくさんの人目に触れることになるからー、嫌なら断ってもいいわー」

「…わかりました。やります」

「…ホントにいいの?こちらとしては助かるけど」


 いつもの間延びした喋り方ではなく、真剣な感じで聞いてくる。心配してくれてるのか。


「はい、数少ないフレンドのお願いですし。」

「ありがと。助かるわー」


 ユキ達に噴水に行くことを伝えると一緒に行きたいと言い出したため全員で行くことにした。

 大通りで買い物したりしながら噴水へ向かう。子どもの数が多いためプレイヤー達からは目立つが、ここの街の人たちはもう慣れたらしく笑顔で接してくれる。


「じゃあお願いしていいかしらー?」

「はい、まぁいつも通りにすればいいんですよね」


 人に見られてると考えると恥ずかしいが、なるべく意識しないようにする。


 まず特製のブラシでフェルをブラッシング。

 梳いたあとの毛はすごく滑らかで、すべすべ。毛の向きに手で撫でるとすごく心地のいい手触りを堪能できる。あぐらをかいた俺の太ももに頭を乗っけてリラックスしている。


 次はククだ。いつも通り肩に乗っているククの羽毛に優しく手を沈める。ふわふわの羽毛が手を包み込む。頭を撫でると嬉しそうにホーと鳴いた。


 隣にいるズラクには他の子達がもふもふしている。あはは、これは確かに見てるとほっこりする。

 すごい笑顔で頬を擦り付けたり、抱きついたりしているのを見ると頬が緩むな。

 ズラクも満更でもなさそう。


 …そういえばどのくらいこうしてればいいんだ?と辺りを見渡してミィさんを探すと、何やら豪華な鎧を着た人が周りの人を振り切ってやって来ているのが見えた。


「フン。お前が噂のテイマーか。そいつら強いんだろう?攻略組が使った方がいいに決まってる。俺によこせ」

「は?」


 いや言い分酷すぎだろう。いつか絡んできたやつを思い出したわ。


「いや、当然無理ですが」

「なんだとっ!このセマーカの命令が聞けないのか!」

「別に俺は攻略とかどうでもいいですし。この子達もあなたに興味無いようですから、お帰りください」

「うるさいうるさい!いいから俺の言うことを聞けっ!」


 はぁ…。めんどくせぇ…。


「すまない、飼い主殿。遅れてしまった。」


 対応に困っていると、ザ・侍って感じの格好をした人が現れた。


「あぁん?誰だお前!邪魔だ!」

「ふ、笑止。ただ長くやってるからえらいと勘違いしているようだが、そんなわけないだろう。お主の言ってることは支離滅裂じゃないか」

「なにおうっ!」

「何事ですか!」


 騒がしかったからか、衛兵さんがやって来た。


「失礼、衛兵殿。こやつがあまりにひどいことをこの者に言っていたのでな。騒がしくしてすまない。」

「そ、そうですか。おや、もふたさんじゃないですか。一応事情を聞きたいので付いてきてもらってもよろしいでしょうか?そちらの子達も一緒で構いませんよ」

「あ、はい」

「そちらの方も、貴方も来ていただいても?」

「えぇ」

「はぁ!?お前俺に命令すんのか!?っざっけんー…」


 チン。


「では来ていただかなくて結構。」


 えっと、カマーセだったか?の首がチョンパされて、静かになった。え、何したん。衛兵さんが手に持っている剣に手を添えてるから、衛兵さんがその剣で切ったんだろうけど、抜刀するところも納刀するところすら見えなかったぞ。


「じゃあ行きましょうか。」


 先程と同じような微笑みで語りかけてくるのが怖い。

 困惑しているユキ達に 変な人に絡まれたからお話しに行くんだよ、と軽く説明をして、衛兵さんについていく。


「あ、変なことに巻き込んですみません。もふたです。ありがとうございました」

「おっと失礼。名乗りが遅くなりました、拙者はミヤモト。気にしないでください」


 ミヤモトさんがあの時、間に入ってくれて助かった。




 ーーーーーーーーーー

 お読みいただきありがとうございます。

 衛兵さんはよくある始まりの街から出られない最強キャラということで。


 えー、最近こういうこと毎回言ってる気がするんですが、フォロワー600人超えてました…!

 ありがとうございます…!!!


【修正しました】

セマーカの首を誰がチョンパしたか分かりにくかったため、衛兵さんがした事を明記しました。失礼しました

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