18.光の精霊との契りと新しい住居人
今日もログイン。
「おはよう」
「おはようおにいちゃん」
「おはようアニキ」
「わふわふ」
「ホー」
お、フェルがまた大きくなってる。進化したな?よーしよしよし、すごいなーフェルは。
もうすっかり大型犬のサイズだな。ブラッシングが大変かもしれないがそれも醍醐味だな。
「「「いただきます」」」
朝食を用意して今日の予定を決めていく。
「そうだ、クロ、今日時間あるか?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ俺と一緒にセコンドに来てくれ」
「クロにぃだけ?私も行きたい!」
「そうだな…じゃあみんなで行くか。」
「やったー!」
満面の笑みで喜ぶユキだが、クロも実は嬉しいのが分かる。口元がニマニマしてるぞ。
「セコンドってどんなとこ?」
「うーん…この街より少し大きくて、大きなお墓や石碑があったよ」
「ふーん」
食事を済ませると、ふと気づく。
俺は噴水のワープ登録ししてるけど、現地人であるこの2人って出来るのか?更に言えば現地人ってワープ出来るのか?
今日やってみれば分かるか。
結論から言うと、出来なかった。カヤさんに聞くと、現地人だってワープは出来るらしい。単純にワープ登録していないから出来ないようだ。
始まりの森はこの前と同じくフェルとククが無双。ボス戦ではクロを加えて3人で討伐した。
クロには武器や防具など色々買うものがあるだろうからお小遣いをたくさん与えていたのだが、剣と動きやすい軽装しか買ってないようだが、ボスのウルフを相手に楽そうに狩っていた。
「ここがセコンドの街だよ」
「おー!はじめてのまち!」
「こらこら、あんまりはしゃぐんじゃないよ、転ぶぞー」
「転ばないもーん」
キラキラした目でキョロキョロしているクロと手を繋ぎながらユキに注意しておく。
「あ!私も手つなぐー!」
手を繋いでいるのをみると慌ててこっちへやって来た。かわいいなぁ。
「それじゃあ噴水でワープ登録したらそのまま用事済ませちゃうよ」
「はーい」
「わかった」
墓地にある精霊樹に触れると、昨日のショタが現れた。
「昨日の人間、例の子を連れてきたのだ」
「あ、そうだった、名前言ってなかったね。時の旅人のもふただよ、よろしく。」
「光の精霊のホーリーなのだ。よろしくなのだ」
「力をくれるって聞いた。よろしく。」
「ふむ。なるほど、実力は十分…いや、それ以上なのだ。力を授ける前に聞きたいことがあるのだ。どうしておまえは力を求める?」
「アニキの力になりたい。アニキに恩を返したい。それだけ」
「…真実なのだ。変なことを聞いたのだ。では、力を授けるのだ」
そういうとホーリーが強く光る。光が収まると、その手には光の玉があり、その顔は真面目なものだった。
「これはボクのチカラの源。ボクが認めた者にしか触れられない。」
そう言ってクロの胸に押し付ける。
「これで契りは成った。今よりあなたが主人だ。正義の為に力を振るい、助けるために剣を握ることを願う」
「よし!堅苦しいのは終わりなのだ!よろしくなのだ、クロ。」
急に口調やら雰囲気やらが変わったが、そういう儀式のようなものだったか。
「なんか変化はあるか?クロ」
「うん、なんとなくホーリーとの繋がりを感じる。そして、扱い方も。」
「うむ。呼べば何時でも現れるのだ。力を借りたい時は呼ぶのだ」
「わかった」
そういうとホーリーは光になってクロの中に入った。クロを宿主として普段は休眠してる…とかかな?
そういえはユキは墓地に来てからずっと静かにしてるが…あ、端っこの花壇でなにかしてるな。
「ユキ、終わったよ。何してるの?」
「あ、おにいちゃん!あのね、この子見つけたの!」
うーん…アルラウネってやつか…?
緑色の体表の幼女だ。
「…アルラウネ…です…。あの…この子に…お水…貰いました…」
すごく小さな声だったが、なんとか聞き取れた。
膝を曲げ、怖がらせないように目線を同じ高さに合わせる。
「アルラウネか。ユキがやりたくてやった事だよ。気にしなくていいさ」
「ここ…人…来ない…しずか…でも…水もない…」
「アルラウネって魔物だろう?どうしてこんな街中に?」
「分からない…ここで生まれた…」
ふむ…。敵対してないし、意思疎通もしちゃったし、このまま置いていくのは後味が悪いな…。
「君が良かったら、ウチに来るかい?庭があるよ。ただ、街で暮らす以上テイムは受けてもらうことになるけど…」
「…ここにいても…餓死するだけ…それにおにいさん…暖かい気がする…受け入れる…」
「わかった。じゃあ…『テイム』」
『アルラウネがテイムを受け入れました。名付けをしてください』
「そうだな…じゃあ、アウネで。よろしくな?」
「ん…」
「この子と居られる?やったー!」
「友達が増えたな。良かったな」
「うん!」
さて。目的のホーリーの力も貸して貰えるようになったし、帰るか。
両手にショタとロリ、頭に魔物とはいえ幼女を乗っけているのは周りから見るとどう見られるんだろう…いや、止めておこう。何も考えてはいけない。
噴水ワープで始まりの街へ戻り、家へ。
庭にはまだ特に何もなく、ただの芝生だがアウネは気に入ったようだ。
テイムしたとはいえ、なにかをして欲しい訳じゃないからな。これでいいだろう。
ご飯をみんなで食べ、ダラダラと過ごしてログアウトした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます