19.ワールドクエスト『動き出す時』
ログイン。今日がイベント当日だ。
「おはよう」
「おにいちゃんおはよう!」
「おはよう、アニキ」
「わふわふ」
「ホーホー」
最近は俺が戦闘のお願いを良くするからかフェルとククがテンション高い。
よーしよしよし。今日もいいもふもふしてんねぇ!
朝食を済ませ、すぐにセコンドへ。
ガヤガヤ…ざわざわ…
おおう、すごい人の数だ。どうしたのかと思ったら、こういう大規模イベントは初めてらしい。公式もそういったイベントをしてないようだ。
そりゃこんだけ人が来るよなぁ。俺は発生させた本人だから、と責任を感じて来たけど、何もしなくてもいいかもしれない。いや、ちゃんと貢献はするけど。主にフェルとククとクロが。
「ユキは俺のそばを離れるなよ」
「うん!」
時間はまだ余裕があるな。ちょっと端っこに行って戯れとくか。
力を入れすぎず、かといって弱すぎると意味が無いため、丁度いい強さに調整しながらブラシを動かす。フェルが気持ちよさそうに目を細め、身を委ねている。
うんうん、サラサラになったな。滑らかで気持ちいい。
ククは羽毛だからブラシでのブラッシングは出来ないが、手ぐしでふわふわを堪能しながらブラッシングする。
ふわふわ、もふもふ。
「…こんなところで何やってんのよ。」
「おや、めーぷるさん。こんにちは」
「うん、もふたくんもフェルちゃんもククちゃんも、ユキちゃんもクロくんもこんにちは。」
「「こんにちは」」
「わふ」
「ホー」
こんな人混みでよく見つけたな…と思ったが、俺の周りに空間が出来てた。え?こんな中でもふもふしてたのか。絶対頬が緩んでるとこ見られて引かれてるじゃん。恥っず。
「さて、そろそろ時間よ、イベントの発生者くん」
「こんな大事になるとは思って無かったんですけどねー。」
『ただいまよりワールドクエスト 動き出す時 が開始されます。参加者は現在セコンドにいるプレイヤー全員。メールを送りましたので詳細はメールにてご確認ください。』
ピコン、とメールが届く。
ふむふむ。何ウェーブかに別れて東西南北から魔物の群れが攻めてきて、街を守る、ね。
まぁ予想通りだな。
各ウェーブ毎にボスがいて、それを倒せばその区画にいる魔物は弱体化。
これもだいたい予想してた。
最初のウェーブは10分後。そこから時間単位でウェーブがやってくると。
これは倒しきれないとさらに魔物が追加されて…ってことが有り得るな。
そして討伐数や討伐した魔物の種類に応じてポイントを入手、そのポイントのランキングに応じて報酬が貰える、か。
「もふたくん達はどこへ行く?」
「俺は墓地のあった西側へ行こうかと。」
「わかったわ。クロくんやユキちゃんは分からないけど、フェルちゃんとククちゃんは強いみたいだからそっちに強いプレイヤーは少なくていいわね」
強いプレイヤーが1区画に纏まらないように、めーぷるさんが人員配置を考えている。と言ってもフレンドの人達に声をかけてるだけみたいだけど。
「じゃ、互いに頑張りましょ」
「ですね」
10分は、移動を含めると時間が少ない。
ユキとクロの歩幅に合わせつつ、でも急ぎ足で西側へ向かう。
西側の街の外は、遠くに山があるだけで基本的に平原だ。罠を仕掛ける余裕はないし、正面からぶつかることになるだろう。
「クロ、フェル。俺とユキのことは気にせず自由にして来い。ククは俺達の護衛頼めるか?」
「わかった」
「わふ!」
「ホー!」
「あー、ちょっといいか?」
話しかけて来たのは赤髪に赤い鎧、背負っているのは大剣でガタイが大きい、いかにもパワー型って感じのとにかく目立ちそうな人だった。
「ん?なんでしょう」
「俺はユーゴ。めーぷるのフレンドだ」
「あ、めーぷるさんのフレンドなんですね。俺はもふたです。よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく。それでどう動くかなんだが…」
「俺は戦闘力がないので、この2人…?えと、1人と1匹を自由にさせて、この子を俺の護衛として傍に居させようと思ってます」
「なるほど、後衛タイプか。強いことは聞いてる。敵の戦力次第だが、バラけるか纏まるか決めよう。フレンドいいか?」
「はい、どうぞ」
「じゃあ、また連絡する。戦場に出たコイツらとのやり取りは可能なのか?」
「可能ですよ。大丈夫です」
「了解。」
そう言ってユーゴさんは何時でも合流できる少し離れた所で待機した。
ウェーブの開始まで残り…3…2…1…。
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お読みいただきありがとうございます。
最近どんどん伸びていきまして、ほぼ毎話の最後にこうやって感謝を述べてますね。笑
さて。当作品のフォロワーが100人を超えました。ありがとうございます。
授業の休憩時間や食事の後など、空いた時間に数字を見てニヤニヤしてます。
これからも楽しませられるストーリーを書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします
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