20.ワールドクエスト『動き出す時』Ⅱ
遠くから砂埃が上がる。
ウルフ、ラビット、ディアー(鹿)にベアーまで居るな。山方面だから獣系なのかな。
そういえば南方面は虫系の魔物が出る森だったっけ。そっちは阿鼻叫喚だったりしてな。
魔物達の中で足の早いラビットやウルフが前衛と接敵する。
前衛の人達の強さはよく分からないが、ここから見る感じ魔物はそんなに強くなさそうで、苦戦しているようには見えない。
『もふた。魔物は強くない。多分ベアーはそこそこの強さになるだろうからバラけよう』
『了解。』
フレンドのチャットでやり取りをした後、念話スキルでクロ達に話しかける。
『聞こえるか?敵はそれほど強くないが、ベアーは強いかも知れないから、そこらの時の旅人じゃ苦戦するかもしれない。だから少し2人は離れといてくれ』
『わかった』
『わう』
フェルが魔物を狩りながら離れていく。凄いなぁ。
クロは囲まれないように、周りのプレイヤー達の防衛ラインから飛び出さずに、襲ってきた魔物をカウンターの要領で一撃で仕留めている。剣が薄らと光っているが…あれがホーリーの力かな?魔法剣的な。
戦闘についてはよく分からないから、解説とか出来ず、ただ見てるだけしか出来ない…。こういう時何してるのか分からないと悲しいな…。普段は戦闘しないから気にしてないんだが。
っと、そろそろクロがディアーと接敵するな。
ラビットやウルフよりも大きいから質量で攻撃されるとキツいが…大丈夫そうだな。
フェルの方も問題なしと。
ユーゴさんの方は…うん、あっちも大丈夫だな。大剣を振り回して無双してるわ。
こっちの方に魔物が抜けてくる様子もないし…次のウェーブがいつ来るか分からないからな。早めに殲滅しておく方がいいだろう。
「クク、すぐに戻れる範囲で魔物を倒して貰えるか?早く殲滅して悪いことはないと思うから」
「ホー」
それから程なくして、ラビット系は全滅。ウルフとディアーがまばらになってきた所で危険視してたベアーが現れた。
振り下ろす腕をクロが剣で受け止める。…事はしないで受け流す。
大きく隙が出来た所を腕に斬りかかる。
分厚そうな皮を切断し、腕が落ちる。警戒してたが、これならクロは大丈夫そう。
うーん、それにしてもリアルだなぁ。吹き出てるのが血じゃなくてポリゴンなのがグロさを軽減してマシだけど。
フェルは高い素早さで翻弄しつつ、風魔法や鉤爪で倒したな。
ユーゴさんも大剣で腕を受け止め、押し返すことで隙を作り、上から大剣を振り下ろす事で撃破。
1対1であれば問題は無いが、まだベアーは複数残っている。周りのプレイヤー達ではベアー相手には厳しそうで、なんとか凌いでいる状態だ。
『クロはクロから見て右のベアー。フェルは左のベアーを相手してくれ。』
『ユーゴさん、こっち2体は処理します。そっち2体はお願いします』
『了解』
そうして1ウェーブ目をクリア。
プレイヤーが大量に居るとはいえ、前線にいるようなプレイヤーは居ないのかな。ベアーで苦戦していたからな。
「おう、おつかれ」
「お疲れ様です、ユーゴさん」
「ベアーは俺らが手を出さないとキツイっぽいな。他の奴らは雑魚に集中するようにしてもらうか」
「ですね。」
「おうお前ら!次のウェーブから俺とこっちの白ウルフ、こっちのチビがベアーの相手をする!雑魚は任せるぞ!白ウルフを間違えて狙うなよ!」
「「「「おう!」」」」
「よし!じゃあ次のウェーブまで休憩だ!」
作り貯めしておいたサンドイッチをインベントリから取り出し、フェル、クク、クロに渡す。
「ユーゴさんも食べます?」
「お、それじゃあ貰おうかな。ん、うま。ありがとな」
「いえいえ」
「クロもフェルもククもよく頑張ったな。もうちょい頑張ってくれ」
全員の頭を撫でる。
「さてと。お出ましだぜ」
2ウェーブ目と3ウェーブ目は単純に量が増えただけで特にそれ以外の変化はなかった。
ベアーが2体誰かの場所へ行かないように周りのプレイヤーが連携して引き付けて時間稼ぎしていたのはアツかった。
そういえば何ウェーブあるか、という記載がなかったが…どれだけあるんだ?明日もやるとは聞いてないからそんなに長くはないと思うが…。
っと、3ウェーブ目の殲滅が終わった。
…あれ?2ウェーブ目が終わった時は休憩の暇なく次のウェーブが始まったのに、量が更に増えた3ウェーブ目で時間に余裕がある?
嫌な予感がするな。
「あぁ、もふた。お前もそう思うか。」
「明らかに変ですからね。ここで休憩を取らせるってことは…」
「ボス戦、だな」
「ですね」
食事やアイテムでステータスを回復させ、しばらく経つと空を黒雲が覆う。
あぁ、いかにも、だな。
さぁ、4ウェーブ目が始まる。
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お読みいただきありがとうございます。
主人公が戦闘の知識がないから詳しい解説が出来なくて、戦闘描写が難しいです…笑
まぁ詳しい解説出来ても引き込まれるような戦闘描写を表現できるか分かりませんが。
戦闘がメインの小説では無いためなんとなく話の流れが分かれば良いのかしら…
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