17.フラグの回収

 今日もログイン。


 しばらくはポーションや料理の研究してたが、昨日クロを迎えに行くと、カヤさんが


「クロくんは大丈夫ね。もうそこらの下手な冒険者よりは実力があるわ。ただ経験はないからまだ強い魔物の討伐はやらない方がいいわね」


 と言っていたので、クロの冒険者活動を許可する。


「いいか、クロ。強くなっても、思いがけないことが起こると体が動けなくなったりする。弱い魔物で最初は対魔物というのを理解しておくこと。」

「わかった」

「無理は禁物、な。」

「うん」

「よし。じゃあ気をつけて行ってらっしゃい」

「行ってきます」


 弁当を持たせるが、基本自由行動させる。

 ユキも自衛出来るくらいにはなってもらった方がいいのかな?考えておこう。


 ユキをサチエさんのとこへ連れていくと俺と精霊のみの自由時間となる。

 ここ最近は外に出てなかったし、この前スキールニールさんが言ってた墓地にある光の精霊がいるらしい木に行ってみようか。


 噴水からセコンドへ。


 やはり始まりの街よりはプレイヤーが多いものの、墓地方面へ行く人はあんまいないな。

 っと、着いた。

 この前は墓地の外から見てただけだから、ただ「大きな木が生えてるなぁ」程度にしか思って無かったが、近付いてみるとすごいサイズだ。両手を広げてようやく木の幹の太さ、といった大きさである。


 さて、この前フラグを建てたっぼわいけど、どうすればいいんだ?

 なんとなく手のひらを木に当てると、声が聞こえた。


「む、人間か。やはりスキールニールは来ないのだな」


 そういって現れたのは、天使の様な格好をしたショタだった。


「あー、やっぱりスキールニールさんがこの街の英雄さんでしたか」

「あ?お前俺の声が聞こえるのだ?」

「はい。精霊とは仲が良いもので」

「ほう。確かにそのようなのだ。精霊の気配を感じるのだ。して、何故ここへ来たのだ?」

「そのスキールニールさんがここへ行ったらどうかと言われましてね」

「む、あいつ…。はぁ。まぁわかったのだ。では契約に従い、お前さんに力を与えてやるのだ。だからこの街を守るのだ。」

「え?いや、俺戦闘能力無いんで戦えないんですが」

「…え?え、でも契約だとここにきて俺の声が聞こえる人間に力を与えて光の英雄になってもらわないといけないのだ…」

「いやいや英雄とか無理ですよ…」


 えーっと、変な流れになってしまった…,

 このイベントのトリガーは石碑を見ることと、精霊と意思疎通ができること、とかかな?


「えー、俺は言われて気になったから来ただけなんで帰らせて貰って…」

「い、いや、それは困るのだ!なぜならこの出会いがきっかけで止まっていた時が動き始めるのだ!」


『ワールドクエスト 動き出す時 が開始されました。48時間後、セコンドにて魔物の襲撃が発生します。街を防衛してください。』


 え、えぇ…ワールドクエストってなんだよ…戦闘出来ないのに戦闘イベを発生させるとか何やってんだよ…


「はぁ〜。まぁなっちまったもんは仕方ない。俺は戦闘出来ないけど他の時の旅人が防衛に当たってくれる。その中の誰かに力を与えて貰ってもいいか?」

「す、すまない…ここへ来たものにしか力を与えられないのだ…。かといってそこの精霊たちに力を与えるのも出来ないのだ…」


 精霊同士で力を与えるのは無理ってことかな。


「じゃあ、今はここに居ないけど、俺の保護下にある子どもならどうだ?後で連れてくるから」

「む。ふむ。お前の保護下にあるって事はお前と魂の絆が繋がってるのだ。それなら大丈夫なのだ」


 なんか魂の絆とか重大そうなワードが出てきたな。


「じゃあ明日連れてくるってことでいいか?今日は連れてこれるかわからん」

「うむ、急なことだから仕方ないのだ。それでいいのだ」


 はぁ、変なイベントを引いてしまったな…。

 とりあえずめーぷるさんに連絡しておくか。


『えと、ワールドアナウンス聞こえました?』

『ワールドクエストうんぬんって?うん』

『それ、トリガー引いたの俺なんですけど、どうすればいいですか?』

『うわー!もふたくんかい!わかったわ、とりあえず合流しましょ。今どこ?』

『セコンドの墓地です』

『いつの間にかセコンド行ってるし…。はぁ。じゃあとりあえずもふたくんの自宅行っていいかしら?』

『わかりました』

『それとミィも連れてくわね』

『了解です』


 これでよし、と。やー、頼れる人がフレンドにいてよかった。


 急いで自宅へ戻って少しすると、めーぷるさんとミィさんがやってきた。


「やっほ、もふたくーん」

「あ、はい、こんにちは。」


 そうだったこの人か服装が…忘れてた。


「こら、もふたくんに色目使うな」

「えー、フツーに挨拶しただけなのにー」

「その格好が純粋なもふたくんの目に毒なのよ、まったく」

「あ、と、とりあえず中へどうぞ」


 3人とフェル、ククの分のお茶を用意する。


「そんで、もふたくんすごいねー。ワールドクエストなんて初めて聞いたわー」

「あれ、ミィさんでも初めてなんですか」

「そうよー。ワールドアナウンスされてる以上、隠せないし」

「ワールドクエストって言うくらいなんだからよほど重要なクエストよね。」

「多分。」

「もふたくん、どういう流れで発生したのか聞いていいかしら?あ、あと戦闘出来ないのにセコンドに行けたことも」

「はい。」


 友人とエリアボスに行き、自分は戦闘せずにフェルとクク、ヨシに任せて突破したこと、セコンドで探索してスキールニールさんと出会い、フラグが建ったこと、光の精霊と出会ってのことを話す。


「なるほどねぇ。人任せにしてればエリアボス突破出来るのは盲点だったわ」

「ふむ。確かにその考察は有り得るねー。精霊を知らなかったからフラグを踏まなかったんでしょうしー。」

「とりあえずじゃあクロくんが光の精霊に力を貰ってどうなるかよね。明日また会いましょう」

「そうねー。情報屋としても聞いておきたいー」

「了解」


 そうして2人は帰って行った。




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 お読みいただきありがとうございます。

 SFの枠で注目になっていたのはたまに見かけていたのですが、総合でも少し注目に載っていたようでびっくりしました。

 昨日は課題があって1話しかアップ出来なかったのにすごい伸びて…。たくさんありがとうございます。

 これからものんびり頑張ります

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