8.人脈の力

 さぁ、ログインだ。

 昨日あんな事があったから、少し怖い。


「おにいちゃん、おはよー!」

「アニキ、おはよう」

「わうわう」

「おう。おはよう。今日もちょっとお留守番していてくれ。」


 2人とももうすっかり健康的になって、肉が付いてきたから外に連れてってやりたいんだが、さらに絡まれるようなことを増やしたくない。


「んーん。大丈夫!」

「いいつけ、守る。」

「2人ともいい子で助かるよ。また近いうちに遊びに行こうな」

「「うんっ!」」


 よしよし。撫でる時に触れる耳のもふもふもだいぶいい感じになってきたな。


 3人と1匹でご飯を食べたあと、俺1人でめーぷるさんが入手したというお店の元へ。

 チャットに場所と、来るように連絡が来ていた。


 大通り沿いにある、小さすぎず、大きすぎないお店だ。看板はワンピースが描かれているな。人混みに紛れて俺だと認識されないように気を付けてお店に入る。


 カランコロン。


「こんにちは、もふたです」

「あ、もふたくんいらっしゃい。まず紹介するね。こっちの男がガット、こっちの美人さんが かえで ね。ガットが鍛冶、かえでが防具をメインにしてるわ」

「よろしくお願いします、ガットさんにかえでさん。あ、フレンド登録しますか?」

「おう、よろしくな!フレンドなるぜ!」

「えぇ、よろしくお願いしますわ、もふたさん。フレンドもよろしいですよ」


 これでフレンドが3人だ。…結構やってるけどプレイヤーでまともな交流したのが3人って…。うん、これ以上考えないようにしよう。これから関わっていけばいいだけだ


「それで、要件の方は…?」

「そう、昨日の件で私が動くって言ったじゃない?だから、その結果を伝えておこうかと。」

「あ、もう結果出てるんですね。お願いします」

「えっとね、まずカヤさんと仲が良いこと。まぁこれはアレが勝手に暴走しただけなんだけど、嫉妬する輩がいるかもしれないでしょ?だからとりあえずカヤさんに何とかしてもらうことにしたわ」

「動いてもらってる身で言うのもなんですが、カヤさん、受付嬢じゃないですか。それで大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。あの人、元Aランク冒険者…って言っても冒険者について聞いてないからピンと来ないかしら。とりあえずかなり強いひとだから大丈夫よ。それと、フェルちゃんの方は、掲示板で流して、貴方達にちょっかいをかけないように見張るギルドを作ったわ。」

「えぇ、なんか規模がデカいんですが…」

「ふふ、それだけフェルちゃんが可愛かったのよ。あ、その場に居合わせた人が撮ったスクショを使わせて貰ったの、許可を取ってなくて事後承諾になるけどいいかしら?」

「ええ、大丈夫です。」

「そのギルドも、強い人が複数名いるし、貴方達への関わり方などを決める鉄則とか用意してたから大丈夫ね。どうかしら。」

「とても助かりました。無遠慮に迫られるとどうしようもないので…。ギルドレベルで守ってくれるなら心強いです。」

「良かったわ。いやー、もふたくんとは仲良くしたかったからただ声をかけたり掲示板で話しただけで出来るなら安いものよ」


 あはは、高く買われているのはなんかこそばゆいな。めーぷるさん、かわいい系の美人さんだし。


「よし、それなら普通に外を出歩けそうですね。」

「難しい話は終わりだな?じゃあ俺は戻るぞ!」

「あぁ、ガットもかえでも顔が広いから手伝って貰ったのよ。だから顔合わせしてもらったわけ」

「なるほど。お2人も手伝ってくださったのですね。ありがとうございました」

「気にすんな。わっはっは!じゃあ鍛冶とか必要になったら連絡くれよ!」

「いえいえ、私もしたくて手伝っただけですよ。ですがどうしてもというなら…その、少しだけフェルちゃんを抱っこしたいなと…」

「フェル、大丈夫かな?」

「わう」


 フェルが首を縦に振ったのを確認し、かえでさんに渡す。


「あら…すごい、もふもふね…。癒されるわ…」

「あ、いいなぁ!ねぇもふたくん、私も次抱っこしていい?」

「え、ええ、フェルが良ければですが」


 それにしてもかえでさんは長身のモデルさんみたいな美人さんだから、フェルを抱っこしてウットリしているのがとても様にあっている。


 その後めーぷるさんもフェルを抱っこしてて癒されると、3人でギルドへ向かう。

 特に用事はないが、1番人目があって、効果が分かるのがギルドだからだ。


 ざわ…あれが…ざわ…かわい…ざわ…あのふたり…ざわ…まじで…ざわ…。


 注目はされているが、この前みたいに無遠慮に話しかけてくる奴は居ないようだ。

 顔が広いという2人が居るからかもしれないが、正直ホッとした。


「あ、もふたさん!この前は大変でしたね。」

「カヤさん。えぇ、大変でしたよ…」


 つい苦笑いになって返答してしまう。


「それと…そちらが風の精霊王様の直系ですね。」

「わうっ」

「え…?風の精霊王…?」

「なに、それ…?」


 あ、やべ…。まぁ後で説明すればいいよな。


「とりあえずどんな風に収まったのかの確認に来ただけですので。今度またゆっくり来ますね」

「なるほど。いつでも歓迎してます、もふたさん。」



めーぷるさんのお店に戻ってから口を開く。


「いやぁ、確かに実感出来るますね。2人とも、改めてありがとうございました」

「いいのよ。それで…聞かせてくれるわよね?」


 別に隠すことでもないのでフェンリルと会ったこと、そこでフェルと出会えたことを説明する。


「へぇ…。なんらかがトリガーになってそんなことが…。やっぱりやってればやってるほど知らないことが出てくるわね、このゲーム。」

「それがこのゲームの面白さの秘訣よね。」

「ね、この情報、『情報屋』に売らない?」

「情報屋?」


 名前から察するに、情報を扱うお店、なんだろうけど…。

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