29.三回目の遭遇と新しいもふもふ
一通り挨拶し終わり、家の改築のために冒険者ギルドへ戻る。
「もふたさん。直接建築担当と話した方がいいと思いまして、呼んでおきました。」
「おう、大工のオオコウだ。家を大きくするって?」
「もふたです。はい、住居人が増えまして、今の家だと狭いかなと。」
ユキが作ったポーションや、俺が趣味で作った小道具などが溜まってきたので、どうせなら売ってみよう。
玄関のところを売り場にして、奥にキッチン、2階にそれぞれの部屋、キッチンの奥に作業部屋を作ろう。
「なるほどな。となると少々高くなるぞ?あぁ、お前さんはセコンドに行けるのか。ならそこの近くにある森のトレントから木材を持ち込めば素材代は安くできるぞ」
「ふむ。ではそれでお願いします」
「おう」
さっそくセコンドへ。
東にトレントが出る陽だまりの森があるため、そこへ行く。トレントは囲まれてもクロ、フェル、ククだけで殲滅できるレベルらしいので、ピクニックがてら住居人(アウネを除く)全員でやってきた。
ニナが噴水ワープが出来ないため歩いて来たので、夕暮れだ。
「フェルは探知頼む。ククとクロで殲滅してくれ」
「わふ」
「ホー」
「わかった」
夕暮れの森は暗く怖いイメージがあるが、この森は木同士の間隔が広く、明るい。
近付いてきた魔物をクロ達が処理するため安心して森を進むことが出来た。
しばらく進むと開けた場所に出た。
「わああ、綺麗〜!」
一面の花畑だった。赤、黄、白、薄紫、水色など様々な色の花が咲いていて、夕暮れの赤い光を受けてキラキラしている。
「じゃあここらでのんびりしようか。」
花を潰さないように、花が咲いている隣にレジャーシートを敷く。
「おや、珍しい。せっかくこんなに綺麗なのに、見向きしない人が多くてね」
子どものような声が聞こえた。少し高めだが、声変わり前の男の子でもおかしくない声質。
姿は見えないのに声がする、この展開は前も見た…
「そうですね。だいたいの人は戦闘にしか興味がありませんから」
「声が聞こえるのか…!あ、そういえば風のと闇のに聞いたな、我ら精霊と話せる、面白い時の旅人がいるって」
ポンっと現れたのは淡く光を放っている少年だった。
「はじめまして、時の旅人のもふたです。」
「うんうん。ボクは光の精霊王、イニ。そっちの少年からは同じ光の気配がするね」
「はい、彼はここから近くの街にいた精霊と契約してます」
「そうかそうか。もふたくんだけでなく周りの子も精霊と契約できるほど優しい心を持っているんだね。うん、ここの花畑も気に入ってくれたみたいだし、ボクも風のや闇のと同じように直系をプレゼントしちゃおう!」
現れたのは金の角に真っ白でモコモコの毛を纏った羊だ。
「ありがとうございます。君が俺に着いてきてくれるのか?」
「めぇ」
コクン、と頷くのを確認し、テイムする。
『ズラトロクがテイムを受け入れました。名付けをしてください』
ズラトロク…なんか知らない名前だな。
よし。
「じゃあ、ズラクだ。よろしくな」
「めぇ〜」
「うんうん。大切にしてやってくれよ」
「はい。ありがとうございます、イニ様」
「いいっていいって。じゃあごゆっくり」
そう言ってイニ様は姿を消した。
「うわ〜ふわふわもこもこ〜!」
「これは…病みつきになりますわ…!」
「埋もれる…幸せ…」
「うお、手が沈む…やわらかい…」
「すごい好評だな。どれどれ…うお、ほんとだ。やべぇなこれ」
ククのふわふわとは違い、手を入れると周りの毛が包み込み、ほどよい反発と温かみを感じる。
あまりの気持ちよさに、手だけでなく顔を埋めて寝てしまいたい。
ズラクの毛に夢中になっていて嫉妬したのか、フェルとククが寄ってきた。
「お、おいこら。忘れてないよ。ほら、わしゃわしゃ〜」
ズラクの毛は物凄く魅力的だが、ちゃんとフェルやククも触った時の魅力はあるからな。
フェルの頭の後ろから背中にかけて手ぐしを入れつつ、片方の手でククの背中を撫でる。
2匹を相手にしつつ、たまにズラクの毛も堪能する。
そんな感じでもふもふを堪能していると本格的に暗くなったため、セコンドに戻り、ワープで家へ行く。
家の改築は明日頼むか。今日は狭いが仕方ない。
夕食を用意したあと、みんなを寝かしつけるとログアウトした。
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お読みいただきありがとうございます。
ズラトロクって調べたところ羊じゃなくてヤギっぽいんですよね。まぁその由来が気に入ったのと、羊を使いたかっただけのであまり気にしないでください。
前話投稿してしばらくはフォロワーが減ってて、300より下になってもあとがきで「300ありがとうございます!」っていうの恥ずかしいと思って消しちゃったんですが、今はまた増えたので改めて。
フォロワー300人超え、ありがとうございます…!!!
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