14.ユキの調薬と、ククのもふもふ
今日もログイン。
「おはよう」
「あ、おはようおにいちゃん」
「おはよう、アニキ」
軽く朝食を用意する。
「アニキ、そっちの黒いのは?」
「あぁ、昨日闇の精霊王に会ってさ。その時に貰った精霊だよ。名前はクク、仲良くしてやってくれ」
クロが普通に見えてるように、ククは最初から実体化出来た。
「クク、よろしくね」
「ホー」
朝食を済ませるとクロとユキを引き連れてギルドへ。
「おはようございます、カヤさん。」
「おはようございます、もふたさん、ユキちゃん、クロくん。」
「ではクロをよろしくお願いします」
「はい、預からせてもらいますね。弟子なんて初めてでワクワクしちゃいますっ」
との笑顔でご機嫌な様子。
「楽しそうで何よりです。さ、ユキ、いこうか」
「はーい」
「ユキちゃんも何か始めるんですか?」
「えぇ。手伝いたい〜って言ってたので調薬と料理をやらせようかと。」
「なるほど。生産でサポート。良いコンビですね」
「えぇ。」
薬屋へ。
「こんにちは、薬屋のばあさん」
「おや、もふたかい。どうかしたか?」
「はい、ちょっとお願いがありまして。この子、俺が保護しているユキっていうんですが、生産をしたいようで、調薬と料理を任せようと思うんです。」
「それで調薬を教えて面倒を見てくれ、ってことかい?」
「そういうことになります。お願いできませんか?」
「ふむ…まぁもふたの頼みじゃ。しかし才能がなければ面倒は見てやれんぞ」
「ユキ。才能がなければ調薬は諦めてもらうがいいか?」
「う、うん」
そういえば俺が保護したばかりの時もこんな感じですごい消極的だったな。人見知りなのか。
「では基本だ。薬草を煮込んで、煮込んだお湯は捨てる。そしたらこの魔力水と煮込んだ薬草を魔力を込めながら混ぜてみな」
「はい」
やることは俺が前回やったポーション作り。俺の時は料理を美味しくするような感覚でアクをとったりいろいろしたが、さすがにそういう考えは思い浮かず、言われたままに作業をしている。
「えっと、最後はまりょくを込めて…」
そう言いながら魔力を込め始めるユキ。
途端に混ぜているポーションが発光し始める。知識がなくてもイレギュラーが起きてるのは分かるぞ。
「こ、これ!どれだけ魔力を込める気じゃ!」
「え?別にちょっと注いでるだけだよ?」
そして無自覚。クロが物理型な時点で少し考えてたが…ユキは完全な魔法型か。
「ふむ…まぁよいわ。とりあえずそのまま作ってみな」
「はい」
『エクスポーション』
そうして出来たポーションがそれだった。
過剰な魔力により、通常のポーションの数倍効果がある上、魔力が少し回復する代物だ。
「はー。ユキと言ったね。お前さん、魔法使いにならんのか?」
「まほうは使ったことないので分からない、です…」
「なるほどの。お前さんはとんでもない魔力を持っておる。生産なんかせんでも魔法使いになれば一線級じゃぞ?」
「戦闘がしたいわけじゃない、です…」
「…そうか。まぁワシがどうこういう事でもないの。お前さんのことはわかった。良いじゃろ、面倒見てやる」
「ありがとうございます!」
「ありがとう、ございます…」
とりあえず今日はここで様子を見ることにした。
通常のポーションを作る魔力量を教え、その後に麻痺回復ポーション、解毒ポーション、出血回復ポーションなどの作り方も教えていた。
ふんふん、基本的に魔力水+作りたいポーションに応じた薬草、と言った感じで作り方に差異はないな。これなら俺も帰ったら作れそうだ。魔力水も、水に魔力を込めたものを1晩以上寝かせたものだし。
「さて、こんなもんじゃな。あとは繰り返し作ることで慣れやら時短などが出来るようになるじゃろ。それと、ものづくりは作るだけで終わってはならんぞ。より良いものを作るために努力することじゃ」
名前に+が付く作り方は一切教えていなかった。自分で気付け、ということなんだろうな。
「ありがとうございました。」
「あぁ、もふたよ。ワシの名前を言ってなかったな。サチエじゃ。覚えておきな」
「あ、はい。サチエさんありがとうございました」
サチエさんにユキが師事出来る事になったので、次は女将さん。
「こんにちは、女将さん」
「おや、もふた。ユキちゃんも。こんにちは」
「おかみさんこんにちは!」
「それでどうしたんだい?ご飯かい?」
「いえ、ちょっとお願いがありまして。ユキが料理したいみたいなので、女将さんが迷惑じゃなければ教えて欲しいなと。」
「なるほど。じゃあ色々手伝っておくれ。簡単に言うと、バイトさね」
「ユキ、それでもいいか?」
「わかった!お手伝い、いつもやってた!大丈夫!」
「ふふ、そうさね。じゃあ早速料理してもらおうかね」
「はーい」
料理の方も大丈夫だったな。よかったよかった。
「じゃあ女将さん、ユキのことよろしくお願いします」
「ああ、任されたよ」
サチエさんとは違い、よく手伝っていたここは様子を見る必要も無さそうだから、食事処を後にする。
さて。どうしようか。
そういえばまだククとあまり触れ合ってないな。拠点へ戻り、庭でククを呼ぶ。
「ホーホー」
うむ、フクロウって見えてるサイズはほぼ羽毛で、体部分はすごい細いって聞いたことがあったのは本当だったな。
手が埋まる。
羽毛は暖かく、手に触れる羽が柔らかくて気持ちいい。フェルの滑らかな毛とはベクトルが違う、ふわふわのもふもふ。うーん、すごいもっふもふ。
途中でフェルも乱入し、クロとユキを迎えに行く時間まで、もふもふを堪能していた。
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お読みいただきありがとうございます。
ククを間違えてトトと書いてしまったので修正しました。
書く前に前話を読んでいるのですがなんか間違えてしまいました…笑。
失礼致しました。
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