15.次の街、セコンド
剛『風太、アバターどんくらい弄ってる?』
ふうた『ん?髪色グレーにして赤のメッシュ入れてるだけ』
剛『未だにお前らしきアバター見かけないんだけど今どこよ?』
ふうた『始まりの街だが?』
剛『はぁ?せっかくの夏休みで学校ないのにまだそこかよ』
ふうた『いや、戦闘出来ないから進めないし』
剛『どゆこと?生産職でも戦闘職パーティに入れてもらえば次の街行けるだろ』
ふうた『あー…俺さ、戦闘行為をするとデスポーンするネタ職なんだわ』
剛『草。お前ランダムやってかつネタ職で始めたのかよ』
ふうた『別に戦闘したいから始めたわけじゃないしいいだろ。戦闘行為そのものが出来ないから他の人とパーティ組むとか考えたことなかったわ』
剛『じゃあ明日俺がキャリーしてやんよ。時間あるだろ?』
ふうた『いいのか?助かるが』
剛『会ったらまずフレ交換な』
ふうた『あいよ』
そんなやり取りをした翌日、ログイン。
「おはよう、2人とも」
「「おはよう」」
「わふ」
「ホー」
朝食を用意し、3人と2匹で食べる。
昨日昼食を用意しなかったが、2人とも用意してもらったらしい。
ユキは女将さんと一緒に作る料理を食べるらしいので、クロの分の弁当を用意し、2人を送る。
もうちょいで剛との待ち合わせ時間だな。
噴水の前で待ち合わせ、見た目はあんま変えてない…と、アイツかな?
長身でイケメン、金髪に変えてるが顔は剛だな。
…なんか女性プレイヤーに囲まれてて話しかけにくいんだが。
「お、来たか」
話しかけにくくて躊躇っていると向こうから話しかけてきた。
「なんて呼べばいい?」
「ツヨシ。仲いいやつはヨシって呼んでる」
「おけ。俺はもふただ」
「わろた」
「うるせ」
「んで?そいつらは?」
「俺の従魔。フェルとククだ」
「わふ」
「ホー」
「あー、噂の飼い主ってお前かー」
「飼い主て。まぁフェルが人気だから俺は飼い主で定着したんだろうけど。」
「じゃあそいつら連れてエリアボス行きゃ次の街行けんじゃねーの?」
「…考えたこと無かった」
「普段は知恵が回るのに変なとこで抜けてるよな」
そもそも街中でやることが多かっただけですぅー。
「ほい、フレ」
「登録した」
「んじゃあ行くか」
「おう」
エリアボスは始まりの草原を通過した先の始まりの森にいる、フォレストウルフだ。特徴としてはまず狼故に素早いこと。あとは手下を呼んで複数体で戦うことだが、ボスとしての難易度はかなり低い。
「おー楽だなこりゃ」
「2匹とも優秀だな」
草原の敵も森の中の敵もログアウト中に狩りをしているフェルとククの敵ではなく、近づく前に察知、討伐している。
「俺いらんくね?」
「それ」
「まぁいいか。こうして2人で過ごすの久しぶりだしだべろうぜ」
「だな」
まさに遠足気分。そうしてボスのナワバリへ入ると、周りの景色が変わった。あれか、ボス戦用のフィールドになったようだ。
「さて。じゃあ俺はちゃちゃっとボスやるから雑魚はそっちのに任せていいか?」
「わふ」
「ホー」
フェルの戦い方は単純。スピードで翻弄し、喉元を掻っ切る。
そしてククの戦い方は…うん、予想通りというかなんというか。闇に溶けるようにして姿を消し、背後から羽毛を鋭くして首を一閃。まさに森の暗殺者である。
ヨシは…確か運極振りって言ってたな。リアルラックに運補正が入ったクリティカル確定の攻撃でワンパンと。
「おつー」
「おつおつ。フェル、クク、ありがとなー。」
「ほんとお前もふもふ好きだな」
「そりゃもう」
わしゃわしゃー。両手から伝わるもふもふは方向性が全然違うが手触りは極上の心地良さ。
「ほれ、森抜けたら次の街、セコンドな」
「名前」
「まぁ単純でわかりやすいだろ」
「そだな」
門番している兵士さんに挨拶をして中へはいる。
「噴水が街ワープする為のポイントからだ登録しとけよ」
「おう。さんきゅな」
「気にすんな。じゃ」
「ん」
初めての街。噴水に行ったあとは適当にぶらついて見るかな。
えっと…『セコンドをワープ地点へ登録しました。ワープしますか?始まりの街 セコンド』うん、出来たみたい。
いいえを選択し、まずは始まりの街と同じように西に行こうか。
ここセコンドは、始まりの街よりもプレイヤーが多いな。テイマーなのか魔物連れも見かける。
キョロキョロと見渡しながらのんびり歩いていくと墓地へ着いた。
「共同墓地か。こういうゲームならイベントが起きるんだろうけど…まぁこんな分かりやすいイベント、既に誰かが発生させてんだろ」
西側はこれと住宅があるだけか。
じゃあ東側へ行ってみよう。
お、始まりの街には売ってなかった野菜がある。あ、家庭菜園とか出来るのかな?カヤさんに聞けば農家の人を紹介してくれるかもしれない。
ふむ。大きな石碑があるな。
『この街は周期的に魔物の襲撃が発生し、幾度も被害を受けた。故に戦闘出来る者が集まり、そしてこの街から光の英雄が産まれた。彼は魔物の襲撃を撃退し、被害を抑えた。
西の墓地は過去亡くなった者達。この石碑はその英雄を称える』
ほー、そんなことがあったのか。なかなか凝ってるなぁ。
「おや、こんな所へくる物好きがいるとはね」
声に振り返ると石碑を見て照れくさそうな顔をしたおじいさんが立っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます