#28 甘いものは正義



 夏休みが終わり、2学期がスタート。



 キヨカは夏休みの間ずっと一緒だったからなのか、流石に1学期の様に教室でベタベタしてくることは無かった。


 それと、キヨカと正式に付き合ってることが周知されてるのか、キヨカ以外の女の子から告白されるようなことも無くなり、俺のモテ期は一瞬で終わった。



 そんな感じで、1学期とは違い落ち着いた学校生活を送っている。



「セージくん」


『はい何でしょう、キヨカさんや』


「今日新刊出るんですよ。本屋行きませんか?」


『いいよ。俺も探したい本あるし』


「それと本屋さんのあとに、久しぶりにお汁粉も食べに行きたいです」


『良いけど、お金だいじょーぶ? 夏休みに使い過ぎて金欠って言ってたけど』


「あーそうでした! ぐぬぬぬ、お汁粉は断腸の思いで断念せざるを得ませぬか・・・」


『なら自分らで作って食べる? お店よりも安上がりでしょ?』


「な、なんと!?その手がありましたね! そうしましょう!」


『りょーかい。 じゃあ本屋行ったらスーパー寄って、俺んちかな』




 放課後、本屋にて二人とも目的の本をゲットして、ホクホク顔のままスーパーへ向かう。


「小豆の豆から作ろうとすると、時間かかるんですよねぇ」


『じゃあ茹で小豆の缶詰?』


「そうなりますねー。 こっちの大きいのにしましょう!」


『え?1000gって書いてあるけど、そんなに食べれる?』


「きっとセツナさんも居るから平気です! 残ったら私全部食べますし」


『また太る「おっとぉ、それ以上は言わないでもらおーか東雲さんよぉ」


 甘い物大好きなキヨカでも、夏休みの間にふくよかさを増した体形を気にしている様で、そのことを指摘しよう物なら瞬時に俺の脇腹に手刀をドスンドスンと突き立ててくる。


 クーラー効いた部屋で、散々ゴロゴロしながら不健康な生活してたからな。

 でも、俺としては、おっぱいにも栄養がしっかり行ってくれているようなので、ふくよかになってくれても何ら不満はない。




 茹で小豆の他に、栗の甘露煮も俺の支払いで購入して、ご機嫌になったキヨカを連れてウチに帰る。


 帰ったら早速キヨカが台所で調理を始めた。

 キヨカは元々料理が得意だったし、俺んちの台所も既に使い慣れているので、あっという間に調理を終えてお汁粉が出来上がった。 具は栗のみ。白玉は作るの面倒だからと入っていない。



 部屋に居るねーちゃんも呼んで、3人でお汁粉を食べる。


「なんでこんな時期に、お汁粉なの???」


『キヨカが食べたいって言うから』


「ホントは甘味屋さんの冷たいお汁粉食べたかったですけど、金欠で厳しい状況で諦めかけてて、そしたら愛しのセージくんが「俺はキヨカの作ったお汁粉が食べたいんだよ!俺の為に作ってくれ!」って我儘言うから仕方なくなんですよぉ」


『おいコラてめぇナニ言ってやがる。1から10まで全部キヨカが食べたいって話だっただろーが』


「エーそーでしたっけ?うふ♡」


『とぼけかたが雑だな』


「と、とにかく!甘いものは正義なんです! 甘いものさえ食べてれば、世界は平和なのですよ!」


「強引に〆に入ったわね。キヨカちゃんのそういうトコロ、嫌いじゃないわよ」


「えへへへ、褒められちゃった☆」



 そして3人でお汁粉を食べたが、やはり残ってしまった。


「まだまだ私は食べれますよ!」


『いや、マジで止めとけって。夕飯食べれなくなるぞ?』


「とりあえず冷まして冷蔵庫入れておこうか? 明日また食べに来たらいいわよ」


「だったら、明日は冷たいお汁粉にしましょうか? 思ったんですけど、少しミルクとか入れて冷やしたら美味しいんじゃないかって思うんですよね」


「ミルクね・・・ちょっと試してみたいわね」


「じゃあ明日は冷やし汁粉オーレにしましょう!」




 そして翌日もキヨカはウチに来て、3人でミルク入りの冷たいお汁粉を食べた。

 ミルク入れたの俺的には微妙だったけど、キヨカとねーちゃんには好評だった。




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