#32 セツナの告白①
日曜の朝早くセージくんから連絡があり、急遽セツナさんに会いに行くことに。
ウチまでセージくんが迎えに来てくれて、ちょっとだけイチャイチャした後、早めの時間に歩いて出発。
途中、大好物の豆大福をセージくんが買ってくれて、スキップしたいくらいルンルン気分でセージくんのお家へ向かう。
しかし、歩きながらセージくんがセツナさんの事情とか今日の目的とかを説明してくれて、かなり重そうな話で、東雲家の嫁(仮)としてプレッシャーを感じつつ、これも未来の旦那様からのお願いだからと気合を入れる。
東雲家に到着すると、セツナさんが玄関で出迎えてくれた。
セツナさんは、いつもより緊張している表情で
「キヨカちゃん、急にごめんなさい。でも来てくれてありがとうね」と私に頭を下げてくれた。
私は明るく振舞うように
「いえ!未来の義妹なんですから、そんな遠慮なんて要りませんよ!」
「うん、ありがとうね」
挨拶を済ませると、直ぐにセツナさんの部屋へ移動する。
けど、セージくんも同席するものだと思っていたのに
『俺は席外すよ。 姉弟でもお互い聞きたくない聞かせたくない話とかあるしね』
と言い、部屋を出る直前に
『キヨカ、悪いね。 後で豆大福食べような』
と言って自分の部屋に行ってしまった。
その間、セツナさんが紅茶の用意をしてくれて、お互い一息つくとセツナさんが話し始めた。
「せーくんから少しは聞いてると思うけど、今日はキヨカちゃんに私が過去に犯した罪の話を聞いて欲しいの」
「はい」
「不愉快な気持ちにさせると思うから、途中で聞きたくないって思ったら遠慮なく言ってね。無理矢理聞かせるつもりは無いから」
「はい、大丈夫です。 ドーンとお任せ下さい!」
「ふふふ、ありがとうね」
「それでね・・・まず最初は・・・」
セツナさんは、中学の頃から好きだった後輩の男の子と、高校になってから恋人になれた話を聞かせてくれた。
「M君は同じ中学の1つ下の後輩で、当時も同じ生徒会役員として先輩後輩として仲良くしていたの。 私よりも年下なのに凄く落ち着きがあって、物腰は柔らかいし、何より顔が凄く好みだった。 そんなM君が1年遅れで同じ高校に入ってきて、高校では生徒会長をやってたから直ぐにM君を生徒会役員に誘ったわ。 最初は悩んでたみたいだけど、結局私の誘いに応じてくれて、また一緒に生徒会活動が出来るようになったの」
「でもそのM君には中学の頃からお付き合いしてる彼女が居て、その彼女とは幼馴染で、でも高校に入ってからはあまり上手く行ってないのが分かってね、最初はM君を励ましたり発破かけたりしてたんだけど、ある日生徒会の後、M君と二人で帰り道歩いてたら、その彼女が別の男子とイチャイチャしてるところに遭遇しちゃってね、M君真っ青な顔してどこかに歩いて行っちゃうから、私追いかけて「彼女と別れろ!、今日から私が彼女になる!」って言っちゃったの」
「あの頃は本当に勢いだけで生きてた。 何もかも自分が正しい。みんな私の言うこと聞いてればいいのよ!って思って生きてた。 だから大好きなM君にも、私が幸せにしてあげる!って常に上から目線だった。 それで落ち込んでるM君を励まそうと、隠れてハグしたりキスしたり、朝は見せつけるようにM君と一緒に二人で登校したりして、自分たちも彼女にやり返す様にイチャイチャしたりしてたの」
「でも本当は励ますと言うより、自分がしたかっただけね。自分の欲求を満たす為にM君とキスしてた」
「それでね、M君は彼女と正式にお別れして、晴れて私とM君は正式に恋人になれた。 でも・・・でも、M君とは別のY君っていう同じ生徒会の後輩からも少し前から求愛されててね、最初はキチンと断ってた。男性としては興味無かったし、なによりM君のこと本当に大好きだったから」
「でもね・・・結局私はM君を裏切ったの・・・」
セツナさんは、ここまでゆっくりと、でもしっかりとした口調で話していたけど、”裏切ったの”と言った途端、言葉が出てこなくなったようだった。
顔色も良くなかったので「セツナさん、少し休憩しましょう。 時間ならまだ大丈夫です。 慌てる必要なんて無いんですから、休みながらゆっくりしましょう」と提案すると、セツナさんは疲れた顔のまま無言で頷いた。
私はティーポットを持って立ち上がり、新しく紅茶を煎れに台所へ行った。
お湯を沸かしながら、考える。
自分は今セージくんのことが大好きで、セージくん以外の男性には一切興味が無い。 そんな私でも、他の男性と浮気するような状況って起こりうるのだろうか。
セージくんよりも魅力のある男性・・・そんな人、この世に存在しないから、セージくんの不戦勝
セージくんよりもお金持ち・・・別に贅沢したいとは思わないので、セージくんの圧勝
セージくんよりもエッチが上手な男性・・・今の性生活に満足してるしるから、セージくんの圧勝
そもそも、私はエッチな行為が好きなわけじゃなくて、セージくんと触れ合うのが好きで、セージくんのエッチな顔見るのが好きで、セージくんにいっぱい甘えたり甘えて貰ったりするのが大好きで、だから何をするにもそこにセージくんが居ることが大前提だし。
う~ん、私には浮気する女性の心理とか状況が、いまいちイメージ出来ないな。
セツナさんはどうして大好きだった恋人を裏切ったんだろう。
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