#27 東雲家とキヨカの団欒
花火はウチの庭で、暗くなってからすることになった。
当日、日中はキヨカの家で過ごして、夕方前にキヨカは浴衣に着替えて、それから俺んちに移動してねーちゃんと合流してお庭で花火しようってことに。
キヨカの部屋で時間までいつもの様に過ごしている時
『花火にねーちゃん誘ってくれて、ありがとうな』
「そんな畏まってお礼言われるほどのことじゃ」
『いーや、ねーちゃんが家族以外と遊ぶのなんて、多分高校退学してから初めてだと思う。 キヨカじゃなかったら今でも無理だろうな』
「そうですかねー、特に何もしてないんだけど・・・・あ!これはやっぱり、セージくんの嫁として、認められたってことですか!?」
『・・・・・・・・そうかもな』
「なんですか今の間は! そこはすんなり「そんなの当たり前だろ!今すぐ婚約指輪買いに行くぞ!」って言うところですよ!」
『・・・せっかくお礼言ってるのに・・・キヨカ暑苦しい(ぼそっ)』
「き、聞こえてますよ! 彼女に向かって暑苦しいとか・・・こうしてやる!」
そう言って強引に俺の頭を胸に抱きしめて、頭をガシガシしはじめた。
当然、キヨカのおっぱいが顔面を圧迫するわけで、内心(そういうトコが暑苦しんだよ!)って思いながらも至福の時間・・・・いや!い、息が!?
必死にタップしながら『ギブギブ!息が!息が!』と訴え、ようやく解放してもらう。
「どうですか!参りましたか!」
『参った参った、おっぱいはご褒美だけど、凶器にもなるなんて初めて知ったよ』
夏休みずっと一緒に居たせいか、最近は恋人同士のイチャイチャと言うよりも、兄弟とかがじゃれてる様な感じになってるのかな。
そうだ、兄弟と言えば
『そういえば』
「どーしました?」
『妹さんは? 妹さんは花火に誘わなくていいの? ウチのねーちゃん誘うならマリカちゃんも誘ったほうが』
「あー、マリカはいいです、誘わなくて。 あの子いま絶賛反抗期なので、姉の友達とか絶対馴染めないですよ」
『なるほど・・・中学生だもんね』
そんなこんなで夕方になり、キヨカは浴衣に着替えた。
薄いグリーンを基調に赤や青のアサガオ柄
髪型はシニヨンで纏めてて、薄っすらお化粧もしてる。
『おぉ・・・キヨカって和服似合うね。 すっごい綺麗だよ』
お世辞抜きで、マジで似合ってた。
「えへへ」
浴衣姿でウチまで歩いて移動するのは大変だからと、ママさんが車で送ってくれた。
因みにキヨカは最初下駄を履こうとしたけど、履き慣れて無いし、ただ花火して遊ぶだけだからとビーチサンダルを履くことにした。
ウチに移動すると、ねーちゃんは既に浴衣に着替えていた。
藍色を基調にアジサイっぽい花の柄
髪型はシュシュで纏めたポニーテール
化粧はしてないようだけど眉毛がキリリと凛々しくて、我が姉ながら美人だと思う。
「セツナさん綺麗! やっぱり浴衣ひっぱり出して正解でしたね!」
「うふふ、キヨカちゃんもすっごく可愛いわよ?」
「えへへ、セージくんも私に見惚れてヨダレ垂らしてたんですよ」
『垂らしてねーよ!』
二人がキャッキャウフフと楽しそうに写メ撮ったりはしゃいでる間に、俺も甚平に着替えた。
花火で遊ぶ前に、ウチの両親を含めたみんなで夕食を食べる。
キヨカは完全に東雲家に溶け込んでいた。
滅多に会わない父とさえ普通にお喋りしてるし。
こういうトコロは素直に凄いと思う。
何せウチの母親に初対面で結婚の話ししちゃうようなヤツだし。
夕食後は、庭にバケツの水用意して、アウトドア用のベンチとテーブル並べて、花火を始めた。
キヨカはもちろん、ねーちゃんも楽しそうにはしゃいでいる。
父と母も庭に出てきて、ベンチに座ってビールを飲み始めた。
父は、楽しそうに花火をするねーちゃんとキヨカを、目を細めて嬉しそうに眺めてた。
家族でこんなに楽しい時間は、マジで何年振りだろう。
俺は、楽しそうに花火をする二人をスマホに何枚も収めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます