#37 来栖ユキ、登場
結局、ユキさんへの電話は翌日の日曜日にかけることにした。
日曜日はキヨカがウチに遊びに来てたので、スムーズに1回の電話でアポ取れそうなら、一緒に行く予定のキヨカとその場で日時の相談出来るように、キヨカも同席。 ねーちゃんは、もし電話で拗れた際にショック受けないように、席は外してもらってる。
「はい、来栖です」
『東雲と申します。 ユキさんはいらっしゃいますか?』
「えっと、ユキですか?」
『はい、東雲セツナの弟のセージと申します。 ユキさんにご相談したいことがございまして』
「ちょっと待ってて下さいね。呼んできますので」
『はい、お願いします』
お、家に居てくれた。
今、大学生だろうから、県外とかに進学してる可能性もあったし、家にいてくれてラッキーだ。
「もしもし!せーくんなの!?」
『ユキさん、ごぶさたしてます。セージです』
「ほんとにせーくんなんだね・・・元気そうだね」
『お陰様でなんとか。 急に自宅に電話しちゃってすみません。 この番号しか分からなくて』
「あー気にしないでいいよ。 それよりも・・・セツナちゃんの、ことだよね?」
『えーっと、はい。 ねーちゃんのことでユキさんに相談したくて、今更申し訳ないのは分かってるんですが、何とかお会い出来ないかと思いまして』
「そっか・・・いいよ、久しぶりにせーくんの顔見たいし、会うの大丈夫だよ」
『え?良いんですか?』
「うん、全然いいよ」
『なんか、すみません。休みの日に急に電話かけて、こっちの都合ばかり言って。 それでいつ頃なら大丈夫ですか? 日にちとか時間はユキさんの都合に合わせます』
「えーっと、今日これからどう?」
『今日でもいいんですか!? ちょっと待ってもらえます?』
一旦スマホを外してキヨカに今日これからでも良いか確認すると、OKだったのですぐにユキさんに返事をする。
『今日でお願いします。 場所はどうしましょうか?』
「じゃあ、〇〇駅の近くに△△△っていう喫茶店あるから、そこで13時でどう?」
『了解しました。 いきなりだったのにありがとうございます』
「気にしないでいいよ。どーせ私、暇だったし」
無事にアポが取れ、ねーちゃんにもその事を報告。
今が11時前で12時前に家を出るために、早めの昼食を食べることに。
直ぐにねーちゃんとキヨカが用意してくれて、急いで食べてキヨカと二人で出かける。
◇◆◇
約束の時間の30分前に喫茶店に着いたので、入店して飲み物だけ注文して待つことに。
緊張しつつも、隣に座るキヨカの最近ハマっている謎の「たぬきダイエット」の話を聞きながら待ってると、約束の5分前にユキさんが来た。
「せーくん、久しぶり~!」と言いながら手を振ってコチラの席に向かってくるユキさんに、席を立って二人で頭を下げる。
『ご無沙汰してます。急に無理言ってすみませんでした』
そう挨拶を交わしてから、ユキさんが向かいに座り、俺たちも座る。
『この子は僕の彼女でして、ねーちゃんのことは全部知ってます。 なので同席させたいんですが、良いですか?』
「初めまして。キヨカと申します。 セツナさんには妹の様に可愛がって貰ってまして、出来れば今日セツナさんの代わりに同席させて頂きたいと思いまして」
「へ~、あ、来栖ユキって言います。 色々と事情がありそうだね。同席は私は構わないよ」
『すみません。色々無理言いまして』
店員が注文を取りに来たので、ユキさんの飲み物と自分たちのお代わり分を注文し、近況報告を簡単にする。
「それにしてもせーくん、身長おっきくなったねぇ。最後に会ったのは中学生だったもんね」
『ユキさんも、凄く大人っぽくて綺麗になっててビックリしました』
「あれ~? 口もうまくなってるねぇ。 昔は生意気な男の子だったのにねぇ」
キヨカが「ぷっ」って吹き出し、ギロリと横目で視線を送ると、サッと目を逸らしやがった。
気を取り直して、ユキさんに頭を下げて謝罪。
『それでユキさん。 ねーちゃんが沢山迷惑かけて、すみませんでした。 お詫びするのが今頃になったのもすみません』
キヨカも一緒に頭を下げた。
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