概要
青峰殿書額堂の主、汎砂と稀梢。帝の言葉を通じて歴史を綴る彼らは……
天命を承けた王朝の歴史を編纂する青峰殿、書額堂の主、汎砂と稀梢。
繰り返す易姓革命、天と地祇。帝の言葉を通して歴史を綴る彼らのたどり着くさき。
架空世界史中華風ファンタジー
繰り返す易姓革命、天と地祇。帝の言葉を通して歴史を綴る彼らのたどり着くさき。
架空世界史中華風ファンタジー
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!いくつもの小さな物語が大きな歴史を描いていく壮大な中華風ファンタジー!
物語は、皇族の一人である十五歳の少年稀梢が、彼の父に連れられて書庫へとやってくるところから始まります。
皇族でありながらどこかのんびりした稀梢は、そこで書額堂の主、汎砂と出会います。穏やかな出会いは、やがて数年後に大きな運命の転換を迎え——。
主人公の稀梢のどこか飄々とした性格や物言いのおかげで、くすりと笑ってしまうことも多いのですが、中には胸が苦しく涙が溢れてしまうような切ない歴史の転換点に立ち会うエピソードも。
このお話は予め決められたお題に沿って毎日ひとつずつエピソードを公開していく、「ノベルバー」という企画に沿って書かれたもの。それゆえ、小さなお話が積み重なることで、稀梢…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「天命は、人の営みのうちにある」。そんな人の営みを見つめてきた者の物語
話数にしてたった30話、文字数にしてわずか9万字ですが、1600年の歴史をめぐる大河小説です。
皇族に生まれながら地祇(ちぎ。吸血鬼)となった青年・稀梢(きしょう)は、不老不死の肉体を得、生まれた一族の王朝が滅んでも、その後のあまたの興亡を目の当たりにしても、そして最後の帝国を見送っても、ただそれを史書に書き留めていくだけで、実質傍観者として生きることになります。
最初は人間の起こす事件事故に一喜一憂し、生きている人々に手を貸したこともあった稀梢ですが、やがて悠久の時を生きる存在として浮世を離れていきます。この境地は悟りを開いたといえるかもしれません。しかしその変化が読者としては切ない限…続きを読む