唐末期の宰相の物語。李林甫というと、楊貴妃の親族楊国忠と権力を争い唐を衰亡させた佞臣と言われています。「口に蜜あり腹に剣あり」と言われるような裏表のある、猜疑心の強い人物とされていますが、そんな人物の意外な一面を描いた短編です。過去の僅かな善行が己を救う……はずが、それを自ら拒む。それを愚かというか、気概と見るか。それは実際に読んでみてお確かめください。
大唐帝国の宰相として権勢を極めた李林甫の前に、ある幻獣が現れて言うには……。およそ読む者を選ばない、正統派の歴史小説との印象を持ちました。