歴史の哀を突きつけられる

歴史小説、大河モノというと軍勢が争い、絢爛な宮廷劇が繰り広げられるような、そんな胸踊るシーンが思い浮かぶのではないでしょうか。

しかしこの小説は、歴史の興亡の「亡」、滅びゆく王朝時代が多くの場面で出てきます。
それは主人公たちが必死に守ろうとしている人々の営々とした記録が、最も軽んじられる時代だからこそなのかもしれません。

滅びの苦しさを乗り越えた平穏な時代のエピソードを交えつつ、綴られるのは二千年以上の歴史の物語。壮大さに目が眩みますが、そんな長い時代、世が乱れるたびに見せつけられたろう人の醜さや浅ましさ。それでも何故、主人公たちは記録を残し、次代へ繋げたのか。
それが世の役に立つだろうから。あるいは地の加護を受けた者として「天」命を受けた者がいかに生きたかを天に問いたいが為か。
最終話まで読み、その理由の一端を理解したような気にはなりましたが、まだ腑に落ちきれていません。繰り返し、読みたくなります。

彼らを突き動かした、その答えは是非、最後まで読んでみてご自身でお確かめください。

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