いくつもの小さな物語が大きな歴史を描いていく壮大な中華風ファンタジー!
- ★★★ Excellent!!!
物語は、皇族の一人である十五歳の少年稀梢が、彼の父に連れられて書庫へとやってくるところから始まります。
皇族でありながらどこかのんびりした稀梢は、そこで書額堂の主、汎砂と出会います。穏やかな出会いは、やがて数年後に大きな運命の転換を迎え——。
主人公の稀梢のどこか飄々とした性格や物言いのおかげで、くすりと笑ってしまうことも多いのですが、中には胸が苦しく涙が溢れてしまうような切ない歴史の転換点に立ち会うエピソードも。
このお話は予め決められたお題に沿って毎日ひとつずつエピソードを公開していく、「ノベルバー」という企画に沿って書かれたもの。それゆえ、小さなお話が積み重なることで、稀梢とともに千六百年という長い時を共に旅して見守るような、壮大な歴史物語となっています。
最後まで読んでから振り返ると、最初の印象とは印象が変わってくるお話もあり、ぜひひとつずつの物語をじっくりと味わっていただきたい作品です。
天命、易姓革命などのキーワードにピンとくる、中国の神話や歴史が好きな方には特におすすめです!