強烈な作品を読んだな、と読後にしみじみと感じ入りました。
主人公の身に起こった『ある変化』。
人間とは違う『別の生き物』の感覚に侵食されていく。その様子がありありと描かれ、『異形の感覚』というものを強烈に追体験させられることになります。その描写が強烈で、読者はぐいぐいと引きこまれることになります。
途中、主人公が卵を丸呑みするシーンがあり、故・楳津かずお先生の『蛇女』の絵柄がふと脳裏をよぎりました。改めて蛇というテーマとホラーとの相性の良さを強く実感させられました。
感覚的な過程の描写もさることながら、ラストの締め方もとても巧い。『蛇』というテーマならではのこの構図は、お見事と言いたくなる仕上がりでした。