あたかも当たり前のように蛇に成らざるをえない者。それをただ眺める恐怖。

淡々としています。
主人公は、少しも悲しんでも怖がってもいない。
自分の心身が蛇になっているのに。


そこが怖い。


視点となる、変わりゆく主人公は
ただただ暮らしを続けています。
そんな場合じゃないのに。

徐々に蛇になっているのに。
抗うことを思いもしないのです。

そして結末。
蛇は何の象徴として描かれてきたのか?
己を噛み咥え、環になる蛇は。

その事が読む者に思い起こされ、最後の一打ちが加えられます。
既に定まった事からは逃れられない。
成る可くしかない。
本当に気味が悪いです。
※褒めています。


醜悪さも、狂躁もなくただ淡々と、忌まわしさへと向う。

怪談好きな方は、この上質な変身譚を、是非に御一くださいますように。








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