概要
神奈川県のとある港町を舞台に展開する、「幸せを切り売りする力」に翻弄された、不器用な親父と家族の物語。
あなたは、大切な人のことを、どれくらい知っていますか。
第一章 親父の背中
父親の葬儀の準備をすすめる中、息子である俺は、親父の日記帳と、不可解な内容が書かれた芳名帳を見つける。そこには、親父が家族にも隠していた、ある能力の事が書かれていた。なんでも芳名帳に自分の幸せを与えたい相手の名前を記載すると、自分の幸せを相手に譲渡することができるというのだ。
そんなことをして、親父は、幸せな人生を生きら
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- ★★★ Excellent!!!幸せの総量は、自分次第で可変する
幸せと不幸のバランスは保たれている。
そんな考え方があります。
何かを得る為に何かを失う。
本質的に世の中は等価交換なのだと思います。
本作でも、それをテーマにしています。
誰かの幸せを願い、報いを受ける。
それを不思議な力として表現していますが、ひょっとしたら我々もそのシステムの上で生活しているのかもしれません。
ただ、幸せとはなんだろう。
我々に訪れるものは事象でしかありません。
それを、どう捉えるかによって事象の価値が変わるのだと思います。
あなたにとって、幸せを願う誰かがいて、そこにかける祈りは苦痛ですか?
費やす労力は「不幸」ですか?
無償の愛なんて存在しない。
だって、誰…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ファンタジーの中にある確実なリアル
読みやすい文体で淡々と紡がれる話には過不足なくしっかりとした描写が入る。目に映る光景、行動、そして心情。そこには様々な人間ドラマがあり後悔と葛藤がある。その(読者の何だろう?どう思っているのだろう?)をキチンと描き、没入感を提示してくれている。ここまで読者を思って丁寧に作られている作品は少ないと思う。
人の死を扱う描写があるが苦しくなく、どこか開放的にも感じる。死にゆく当人の苦労や苦悩を知っていてもなお、心から「お疲れ様、どうか安らかに」と思えてしまうのは、作者の登場人物に対する思い入れがしっかりと頭に定着しているからではないだろうか。それは登場人物のセリフ一語一語をとっても言える。この人…続きを読む - ★★★ Excellent!!!多くの人の心に訴える名作。泣きました。映像で観たい!
(『第一章 親父の背中:鈴木祐也』まで読んでのレビューです)
私は滅多に泣かないんですが……感動して泣きました。
多くの人の心に訴える名作だと思います。
アイディアがおもしろい作品ではあるのですが、アイディア負けせず、人物描写がとにかく素晴らしい。
さえない親父の描写がほんとにさえなくて、その人間臭さが絶妙です。
各話の区切りや話の展開もスピーディーで、でも必要な描写は過不足なく、淡々としているのに深いところまで描かれています。
ここが作者様の非凡なところだと思います。人間観察力。
そして作品を支えるのは、何気ない部分のリアリティ溢れる描写だと思います。
多角的な視点を用いているとこ…続きを読む - ★★ Very Good!!映画化希望です! 涙活にもってこいの感動ストーリー!
泣きました。
結構序盤から涙腺がやばかったのですが、27〜30話が特にぶっ刺さってボロ泣きしました。
ネット小説としてこの作品も良いと思うのですが、是非この作品を劇場で見てみたくなりました。劇場という邪魔が一切入らずに物語にどっぷりと集中できる場所で私はこの物語で泣きたくなりました。
ギミック的に役者さんや美術さんの技を堪能できそうですしね。
良くも悪くも現実味のある年齢高めの登場人物達や人との付き合いの難しさ等重いところもありつつも、「当然になって見落としがちの優しさ」に気付かされる寓話的なストーリーとファンタジックな設定と軽めの文体で読みやすかったです。
まさに、タグにあるような「万…続きを読む