概要
そこで小夜は、自分のことを「嘘つきだ」という謎の男・京谷要と遭遇する。「嘘つき」を自称する要は「死にたくない」と言いつつ自分の命を簡単に賭けたり、賭け品を増やして自分を極限まで追い詰めたりする人物だった。
要の持つ能力は二つあり、その一つが『嘘を信じ込ませること』らしい。だが、小夜にはそれが本当のことなのか、ただその「嘘」を信じ込まされているのか分からない。
そして要は小夜に、二年前と去年に起き
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!非情にトリッキーでテクニカルな作品
読みやすいしっかりとした文章で綴られる、たいへんトリッキーな内容の本作。
総合ランキング上位にみられる、わかりやすい作品を読みなれている人には、はっきり言っておすすめできない。
おそらく状況を把握できないまま、登場人物の言葉に振り回されページを閉じてしまうのではないかと思う。
だが、ミステリーファン、特に文庫畑を長く耕している読者には、これほどお薦めできる作品はめったにお会いできない。
それほどに見事な展開を見せる物語であり、京谷要の狂言回しぶりは見事であった。
深く考えれば考える程どつぼにはまっていくのだが、考えずにはいられない興味深いストーリーも楽しい。
WEB小説を中心とする読者よりも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!虚ろを口にする者。人であり、人で無いもの。
嘘吐き。それがこの作品のテーマであり、物語の根幹でもある。
京谷要(きょうや かなめ)という男性が主人公となり繰り広げられる、嘘に塗れた捻くれた世界。
しかし、ご存知だろうか。
捻れもまた、極まればそれは「直線となる」
またはシュレディンガーの猫と同じように、誰かに観測されるまで、何が真実なのかは誰にも分からない。
このような言葉遊びの戯言に満ちた、まるでどうしようもなく素晴らしい物語である。
この作品に出てくる文字は全て意味を成している。削れる単語は一つも存在しない。
故に、酷く読みやすく、そして明確に読みにくい。
言葉の流れを辿るだけで簡単に終幕に辿り着けるが、そこは嘘吐きの物語。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!どっぷりとハマって抜け出せなくなる世界
【物語は】
ロシアンルーレットのようなモノで始まるのだろうか。嘘なのかホントなのか分からないことを言う人物。彼がこの物語の主要人物のようだ。危険なゲームで対峙する主要人物と相手。そこにあるのは、嘘と確率。頭脳戦と言う言葉が似合う。本編に入ると視点が変わる、ある捜査官へと。読者は読み進めていくうちに、視点が切り替わった意図に気づくこととなる。それは主要人物の能力に関係もしているし、彼を知るには外側から見たほうが分かりやすいという事も含まれるのではないだろうか。もちろん事件の全容をしり、謎を解くには捜査官視点が適しているというのもあるだろうが。そうして物語は主に、異能力者と捜査官視点で展開されて…続きを読む