【その男、「ウソツキ」】③
それから一時間ほど時は過ぎ、場所ははるか遠く。
周囲に何もないコバルトブルーの海の上に、ぽつんと浮かぶ島があった。二時間もあれば一周できるような大きさである。
そこの中心に近い場所には立派な屋敷が
屋敷のすぐ裏は飛行機の
「……」
少女は
少女は椅子から立ち上がり、作業台に置いてあったペットボトルを手に取って中のジュースを飲むと一息ついた。
彼女をよく見ると、作業服の中は何も着ていない。
と、そのとき。格納庫に人影が伸びた。
「おはようございます。かなめさま」
と少女はその人影に声をかける。
「うん。おはよう」
と人影は言った。その声は、少年と呼ばれる年頃のものだった。
その人物の顔は
「もう行ける?」
「はい。すぐにでも」
人影がそう聞くと、少女はタオルで顔の汗を
「荷物の積み込みもできております。機体もエンジンも問題ありません。燃料の補給もすでに終わっております」
「そっか。暑いのにありがとうね」
「他の使用人は整備ができませんから、仕方ありません」
少女は床に散らかっている道具を拾って片付ける。それが終わると着ていた作業着を脱ぎ、ハンガーにかけてあったメイド服を手に取って頭からかぶる。背中のホックを
メイドの少女はふわりとスカートをひるがえして運転席に乗り込むと、鍵を回して機体のエンジンをかける。
人影も格納庫に入り、コックピットに乗り込んで機体の扉を閉める。
「いい天気だね。空を飛ぶのにはぴったりだ」
「そうですね。空に見とれて操縦を誤り、
盛大な音を立ててプロペラが回り始め、格納庫から出た機体は加速するために滑走路を走り始める。
二つの車輪が浮き上がり、すぐに飛行機は青空へと飛び立った。
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