その男、自称「嘘つき」
【その男、自称「嘘つき」】①
「うーん……」
と
赤茶色の髪をポニーテールに結んでいるだけで、それ以外アクセサリーなどは一つも身に着けていない。化粧すら最低限だ。きっと道ですれ違っても、背伸びした中学生が大人の
この女性は、
小夜はある施設の駐車場に
ことの始まりは二年前の六月十二日に
ある国の閉鎖された遊園地で、一人の男が
その国の捜査室の別支部は、すぐさま犯人を普通の人間ではない者たち……通称「
それから一年後……去年の六月十日。また、違う国で不可解な事件が起こった。
状況から見るに、同じく能力者がらみだとすぐさま調査を開始した。
現場には合計四名の死体が転がっており、三人は眉間を撃たれ、死んだ能力者は
それ以外にあったのは、弾が五発装填されたリボルバー銃と、壁に開けられた無数の弾丸の跡。そして床に転がった小さな
殺された能力者二人の名前とそれぞれが持っていた能力については、上司に聞いても「
「……」
小夜は一年前の事件の資料を見つめ、考えている。
死体の数と銃に入っていた弾の数に対し、転がっていた薬莢の数が合っていないのだ。
死体は全部で四体。そのうち一人は自分でこめかみを撃っている。これだけでも不可思議なのに、
犯人は複数か、単独なのか。同じような事件が連続で起きているのに、犯人のことが何一つ分かっていない。
実に
小夜はファイルを閉じ、ここに来る直前に
「……というわけでだなあ、全員バタバタしてて誰も
「分かりました」
「場所、分かるよなあ?」
「大丈夫です。他の方と何度も行ったことがありますので」
「よしよし。あの人にはもう言ってあるから、組合に着いたらまず
「はい。ありがとうございます」
「ああそれと。分かってると思うが、
「……はい」
「じゃ、気をつけてなあ」
そう言うと、上司はぶらりぶらりとどこかへ行った。
上司の言葉を思い出す小夜の顔は暗い。
小夜は資料を閉じ、ジャケットの上からホルスター
小夜は息を吸い、吐く。そして意識を切り替える。
上司に言われたのは、この施設に住むという『
小夜はもう一度深呼吸してから、車を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます