偽称の虚言者 ー嘘を吐《は》く正直者ー

作者 萩月ヱリカ

46

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★★★ Excellent!!!

読みやすいしっかりとした文章で綴られる、たいへんトリッキーな内容の本作。
総合ランキング上位にみられる、わかりやすい作品を読みなれている人には、はっきり言っておすすめできない。
おそらく状況を把握できないまま、登場人物の言葉に振り回されページを閉じてしまうのではないかと思う。
だが、ミステリーファン、特に文庫畑を長く耕している読者には、これほどお薦めできる作品はめったにお会いできない。
それほどに見事な展開を見せる物語であり、京谷要の狂言回しぶりは見事であった。
深く考えれば考える程どつぼにはまっていくのだが、考えずにはいられない興味深いストーリーも楽しい。
WEB小説を中心とする読者よりも、文庫を中心とする読者に是非ともお薦めしたい秀作である。

★★★ Excellent!!!

嘘吐き。それがこの作品のテーマであり、物語の根幹でもある。
京谷要(きょうや かなめ)という男性が主人公となり繰り広げられる、嘘に塗れた捻くれた世界。
しかし、ご存知だろうか。
捻れもまた、極まればそれは「直線となる」
またはシュレディンガーの猫と同じように、誰かに観測されるまで、何が真実なのかは誰にも分からない。

このような言葉遊びの戯言に満ちた、まるでどうしようもなく素晴らしい物語である。

この作品に出てくる文字は全て意味を成している。削れる単語は一つも存在しない。
故に、酷く読みやすく、そして明確に読みにくい。
言葉の流れを辿るだけで簡単に終幕に辿り着けるが、そこは嘘吐きの物語。
何が真実で何が偽りなのか、それを決めるのは果たして作者か、或いは読者なのか。
それすら疑わなくてはならない、非常に意地の悪い物語でもある。

しかし、我々は忘れてはならない。
この物語は嘘吐きの物語であると。
根幹から狂っている「可能性がある」物語だと。

貴方は上手く騙されるだろうか。
悩み、考えた末に得られるカタルシスは何者にも変えられない至福となるだろう。
その時は、是非とも私と感想を分かち合い、共に「騙された!」と笑いあって欲しい。

私はこの物語を通し、良い経験が出来たことを嬉しく思う。

★★★ Excellent!!!

【物語は】
ロシアンルーレットのようなモノで始まるのだろうか。嘘なのかホントなのか分からないことを言う人物。彼がこの物語の主要人物のようだ。危険なゲームで対峙する主要人物と相手。そこにあるのは、嘘と確率。頭脳戦と言う言葉が似合う。本編に入ると視点が変わる、ある捜査官へと。読者は読み進めていくうちに、視点が切り替わった意図に気づくこととなる。それは主要人物の能力に関係もしているし、彼を知るには外側から見たほうが分かりやすいという事も含まれるのではないだろうか。もちろん事件の全容をしり、謎を解くには捜査官視点が適しているというのもあるだろうが。そうして物語は主に、異能力者と捜査官視点で展開されていく。

【物語の魅力】
一話からは徐々に、事件の概要と世界観が分かっていく。この物語の面白いと感じるところは、異能力者が万能ではないとうところ。無敵ではないという事だ。異能力者自体にオリジナル要素が詰め込まれており、その異能力者へのなり方も変わっているが、理由についてはシンプル。死にたくないからである。
とても面白い構成になっている。『嘘つき』そのものが疑われる部分というのも非常に面白い。何故嘘だと思うのか、その心理とはどういうものなのか。この物語の魅力は心理自体なのかもしれない。何が本当なのか、翻弄されていくのも面白いし、真実が何処にあるのか考えるのも面白い。そして、嘘についてのパラドックスについてはとても興味深い。最高のエンターテインメントなのではないかと感じた。自称嘘つきについての考え方。あなたは、『俺は噓つきだ』という人が、何処から嘘をついていると思いますか?

【登場人物の魅力】
話が進むと、主要人物である異能力者と捜査官の二視点で展開されていくのだと気づく。異能力者の彼は、不思議な魅力を持っている。巧く説明することは出来ないが彼については、ゆっくりと明らかになっていく。ミ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

Twitterの個人企画からこんにちは。
企画性質上プロローグのみ拝読しています。
的外れな感想があるかもしれませんがご容赦ください。

ドキドキの展開でした。
切迫した状況が目に浮かびます。
その能力の相手にそのゲームは無理があるでしょ? って思ってしまいました。
これをどう切り抜けるのか続きが気になってしまいます。

スピード感のある文章がその緊迫感を上手く表現していると思いました。