【その男、「ウソツキ」】⑦
「やれやれ。あれで分からなかったらどうしようかと思ったよ」
と遠く離れた建物の書斎で、こめかみに手を当てた東條が言った。
閉じた
あらゆる情報を知ることができるというのは
東條はかけていた眼鏡を外し、
「まるで
と東條は
退屈から
「……ふ」
と『情報屋』と呼ばれている彼はかすかに笑う。
「僕も彼のことは言えないね」
東條は頭の中にある人物の姿を浮かべる。
三年前にいつの間にか
怖かった、死にたくなかった、なんで僕が、と声を上げて泣いたあの子。
その少年の背中をさすりながら、今までよく頑張ったねと
「……偽名の
自分でもいい
と、一分が過ぎる。東條はもう一度息を吐き、目を閉じてこめかみに手を当てる。
「さてと、面白いのはここからだね。やっと始まるんだ。楽しませてくれよ」
『情報屋』は能力を発動させる。頭の中に、エレベーター内部を見ているような場面が浮かび上がってきた。中にはスーツを着た女性しか乗っていない。
五階を通り過ぎ、六階で止まる。乗っていた女性はその階で
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