【その男、自称「嘘つき」】⑥
時を
場所は同じく、御門興業事務所の六階の部屋。すでに日は変わり、六月十二日になって三十分ほど経っている。椅子に腰かけて夜の空を見ながら、レイジは一人の老人と通話をしていた。
『そっちも
「うるせえな。
レイジはグラスの氷を鳴らし、酒を喉に流し込む。老人は
この老人の名をエドワード・ウィルソンという。海外で巨大なカジノを経営し、裏社会のトップに
『平和も
とエドワードは言う。それは
この老人は『確率を操る』という能力の持ち主だ。その気になれば勝負をすることなく相手を殺せる。それをしないのは、どんな勝負でもすぐに終わらせず楽しむ
『やはり私の退屈を
とエドワードは声に楽しさを乗せる。『魔女』と呼ばれている能力者には、レイジも何度か挑んだことがある。しかし
『……それはそうと、また死んだな』
話題が切り替わり、レイジの身にもわずかに緊張が走る。
「……『
とレイジは死んだ人間の
『ふっふっふ。その程度の賭けに負けるあれが弱かっただけのこと。……ああ、少し待て。すぐに行く』
それはレイジではなく、違う誰かに向けて言った言葉だった。
「なんだ、客か?」
『……ああ、どうやら私に会いたいという
そう言ったエドワードの後ろで、扉をノックする音が聞こえてくる。
『やれやれ、こんな
もう一度聞こえてくるノックの音に、エドワードは「待て待て」と返事をする。
エドワードは、最後にこう付け加える。
『勝負が終わったら
ぷつりと、通話が終わる。
それから一年経つが、エドワードからの連絡は
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