第14話お山の上がなくなっちゃいました

「うむ。上手くできたな」


「おぉ~、トンネル!」


 お耳塞いでたお手々外して、ドラゴンおじさんに駆け寄ります。


「そうだ? 綺麗な丸になっているだろう?」


「うん! きれいねぇ。ばしゃとおれるね」


 ドラゴンおじさんが投げた光の玉が通った土砂崩れの所、まん丸な穴が空いてて、向こうが見えて、トンネルみたいになってました。穴もちょうど馬車が通れるくらい大きいから、これでここ通れるね。


 みんなでドラゴンおじさんのこと拍手します。


「まぁ、向こうの山にちょっと穴が空いたが大丈夫だろう。人も魔獣の気配もなかったからな」


「待て! どういう事だ!!」


 とう様が慌てて僕達の所に走ってきました。

 ドラゴンおじさんが投げた白い光の玉。土砂崩れにトンネル作ったあと、遠くのお山の方に飛んで行っちゃったんだって。それでそのお山のどこかにぶつかって、穴が空いちゃったみたい。


 とう様がそれ聞いて、みんなにすぐに馬車に乗れって言いました。トンネルは通ってから壊すって。

 え~? なんで壊すの。せっかくトンネル作ってもらったのに。


 とう様が僕の事抱っこして、ささって馬車に乗りました。にぃに達も後ろの馬車に乗って、順番にトンネルの中に入ります。

 かあ様に窓開けて良いか聞いて、窓開けてもらいました。だってトンネルの中見たい。


 土砂崩れのトンネルの中、石とか岩とか木の中を通ってるのに、なんかツルツルしてる感じがしました。危ないからって、馬車はゆっくりゆっくり進んでるから、僕ちょっとだけお手々出して触ってみたの。

 すぐにとう様が危ないだろって、抱っこされちゃったけど、やっぱりとってもツルツルしてました。


 とう様にそう言ったら、とう様が変なお顔して僕みたいに窓からトンネル触って、ビックリのお顔に変わります。かあ様がとう様のお顔見て、かあ様もトンネル触って。


「これは一体どうどういう事なのかしら?」


 とう様がトンネル通ったら、やっぱりこのトンネル壊すって。


「やはり一旦止まって、このトンネルは壊そう。ほかの民がここを通った時驚いて、誰が作ったと、問題になりかねん。それに山の穴も気になる」


 僕達がトンネルから出たら、先頭歩いてたアロンに乗ったホールさんが、トンネルの事触って、コステロにぃにとお話してます。


『ガルダー凄いね。さすがエン様だよ』


『本当だな。俺はこんな事出来ないぞ。』


 とう様が僕は馬車の中にいなさいって言って、とう様はすぐに馬車から下ります。かあ様も一緒に行っちゃいました。僕はお椅子に乗っかって窓からお外見ます。

 

 最初はとう様達がトンネル見てお話してるの見てて、次はとう様達が反対の方に行ったから、僕も反対の窓に移動します。

 反対側に移動したとう様達が、今までお話してたのに、急に静かになっちゃいました。どうしたのかな?

 

『ギャウギャウ!!』


 ムーちゃんが鳴いて、ムーちゃんが馬車から下りちゃって、それからムーちゃんの頭の上にウルちゃんが飛び乗りました。


『あっ! 本当だ!』


 どうしたの? ウルちゃんがお山に先っぽがなくなってるって言いました。どこのお山? とう様達が僕達の前に立ってるから、僕あんまり良く見えないの。お椅子の上でジャンプするけどダメです。ぷるちゃんもジャンプするけどダメって。


「どうしたジャンプして。せっかくだからエリアス達も見ろ」


 いつの間にかドラゴンおじさんが窓の近くにいて、窓から僕のこと出して抱っこしてくれました。ぷるちゃんはドラゴンおじさんの頭の上に乗っかります。とう様のお隣に歩いていくドラゴンおじさん。みんなが見てる方見て、僕もぷるちゃんも頭こてんです。


 何でみんなビックリのお顔なのかな? だって見えるお山、みんな普通のお山だよ。ウルちゃんとムーちゃんがお隣に来て教えてくれます。


『お山の先っぽ見て! あのお山だけとんがってる所ないでしょ』


 じぃ~、お山を見つめます。あっ! ほんとだ! お山の上の所がない! 上の所が無くなってて変な形のお山になってる。

 今僕達がいるお山から、1番遠いお山の上が無くなってて、僕のおままごとのお椀を逆にしちゃったみたいなってます。ふふ、なんか面白い。僕あんなお山見たの初めてです。何であんな形してるのかな。


「さっき我が投げた光の玉が飛んでいって、あの山の天辺に当たったのだ。見るまではなんとも言えなかったが、上手く当たったようだな。綺麗に山の上がなくなっている」


「綺麗じゃないだろう!」


 とう様が急に叫んで、僕もぷるちゃん達もビックリです。


「あなた、敬語じゃなくなってるわよ」


「エン様、今から敬語をやめてもよろしいですか!」


「う、うむ」

 

「では…どうしてこう規格外のことばかりするんだ!」


 とう様がドラゴンおじさんのこと怒ります。僕達は急いで馬車の中に逃げました。とう様はかあ様より怒るの怖くないけど、でもかあ様よりもずっと長く怒こります。

 かあ様は怒っても、ちゃんとごめんなさいすると、そのあといつも良い子良い子してくれるけど、とう様は1日中怒ってる。僕とう様が怒るのも嫌いです。

 

 馬車の中ににぃにに乗っけてもらって、窓から少しだけお顔出してとう様達を見ます。


「このトンネルもあの山も、普通の人間では簡単に出来ないことなんだ。このトンネルを見てみろ、中をくり抜いただけでなく、壁の所がツルツルになっている」


 僕はまだ魔法が使えないからよく分かんないけど、とう様もかあ様も、それからじぃじ達もみんな、岩とか石とか、あんなにツルツルにできる魔法は出来ないんだって。


「ああ、あれは光の玉が上手く貫通するように、熱も加えてみたのだ。それのおかげで綺麗な空洞を作れたのだぞ」


「もし何も知らない民がここを通ったらどう思う! 何か大型の魔獣があの穴を作ったと思い、ギルドに報告して、騒ぎが大きくなるかもしれないだろう!」


 えっとギルドは、冒険する人達が集まる所って、前ににぃにが教えてくれました。報告っていうのは、お話しに行くってことだから、どうしてトンネルができると、ギルドにお話しに行くの?


「とりあえず、このトンネルは崩すから問題ないが、問題なのはあの山だ! あれをどうやって民に説明する」


 今まで普通のお山だったのに、急にお山のてっぺんが無くなっちゃったら、みんな驚くだろうって。それから、あんなに大きなお山のてっぺんをなくす魔法も、とう様達は出来ないから、やっぱりみんな驚くって、ドラゴンおじさんのこと怒ります。


「良いではないか。本当の事を皆に伝えれば。王に頼めば良いはないか」


「だから、その話を皆に知らせるまでに、どれだけ時間がかかると思う!」


 いろんな街に住むたくさんの人達にお話するとき、王様じぃじはたくさん手紙書いて、それをみんなに送って。それからみんなの前でお話したり、とっても大変って、前にかあ様が教えてくれました。

 お手紙届くのは、遠い街だととっても時間がかかって、お手紙が届く前にあのお山見て、みんなが騒いじゃうかもししれないんだって。


「もしかしたらエン様が怒って、あのような事をしたかもしれない、それか、あれだけの力を持つ魔獣が現れて、山を破壊したのかもしれい。知らせを受けるまでにそういうふうに考える民が騒いだら、収拾がつかなくなる可能性があるんだぞ!」


「ドラゴン達を使えば、手紙などさっさと運べるだろう」


 とう様とドラゴンおじさんのお話なかなか終わりません。


 2人がお話してたら、かあ様がすすすって近づいて、あのお山のお話は、馬車に乗ってからしましょうって言いました。


「今はまず目の前の問題からよ。とりあえずこれだけでもなくせば、問題はあの山だけになるわ」


 とう様がため息ついて、みんながトンネルの方に移動します。今度は反対側の窓からちょっとだけお顔出しました。

 

 ガルダーとアロンがお手々で、トンネルの出てきた所を引っ掻いて、トンネルを壊して行きます。とう様もかあ様も、みんなも魔法でトンネルを壊し始めました。

 ドラゴンおじさんも、何でだって言いながら、小さいドラゴンおじさんになって、魔法でどんどんトンネルを壊します。そのお隣でかあ様がドラゴンおじさんに、魔法は小さくって、ずっと言ってました。


「これ以上問題を増やさないようにしないと。それに早く崩して、次の泊まる街まで移動しないと。暗くなってから、森を動くのは危険だわ」


「それならば大丈夫だ。我が威嚇しながら移動しているからな。魔獣の類なら我々には近づかない。人間の方の何と言ったか? 盗賊だったか? そいつらのことは分からんが」


 人が来ると分かる魔法使ってるから、もしか悪い人達が近づいて来たら分かるんだって。ドラゴンおじさんはいろんな魔法使えるんだね。

 今のおじさんのお話聞いたとう様達が、ちょっとだけドラゴンおじさんを見つめてました。

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