第32話ついに動き出すモノ達
やっとかあ様のお話が終わって、僕達ドラゴンおじさんにお花咲かせてってお願いしました。でもかあ様がダメって。またたくさん咲いちゃうとお城でお仕事してる騎士さん達や、いろんな人たちが驚いちゃうからダメなんだって。
「ドラゴンおじさん、すこしだけさかせて。えっとねぇ、ムーちゃんみたいに、すこしだけまほう」
「エリアスちゃん、ヱン様はムーちゃんみたいに魔法がまだ上手に出来ないのよ。できるようになったらやってもらいましょうね」
え~、だって僕達これからお花食べようって言ってたんだよ。とっても美味しいお花。おじさんが全部なくしちゃったんでしょう? なら昨日みたいに直して?
僕たちみんなでドラゴンおじさんに居願いしたんだけど、ドラゴンおじさん今日はもう魔法は使わないって、フラフラ騎士さん達のお家に入って行っちゃいました。かあ様もちょっと中でゆっくりするわねって行っちゃったんだ。
かあ様達がいなくなって、ドラゴンさんのお家に逃げてたドラゴンさん達がみんなお外に出てきました。それで僕達のお話聞いてて、ドラゴンさん達もお花食べたいから、ドラドンさん達がお花咲かせてくれるって。
ガルダーがね、ドラゴンおじさんみたいにたくさん咲かせられないけど、僕達が食べる分だったら、みんなで頑張れば咲かせられるって教えてくれたの。
ドラゴンさん達が光り初めて、ぽん、ぽん、ってお花が咲き始めます。僕達の周りにだけお花が咲いて、みんなで少しずつお花食べました。
『ガウガウガァ』
『ガウガウ』
『ガオウ』
「ウルちゃん、みんななにおはなししてるのぉ?」
『ドラゴンおじさんがいつもお花なくしちゃうから、別の場所にお花咲かせようかって。ドラゴンさんのお家の後ろが良いかなってお話してるよ』
「そっかぁ。そしたらおじさんまほうが、ダメダメでもだいじょうぶだね」
うん、そうしてもらおう。じゃないといつもおじさんがなくしちゃうもん。
お花を食べた後は、みんなで背中に乗せてもらったり、鬼ごっこしたり、たくさん遊びました。
次の日はまたお昼まで、ムーちゃん風の魔法の練習です。
今日は風のボールを遠くに飛ばす練習です。昨日ムーちゃん、とっても上手に浮かばせたもんね。すぐに上手に飛ばせるよ。
ガルダー達が昨日みたいにたくさんボールを作ってくれて、ムーちゃんがすぐにボールを浮かばせます。ほらとっても上手。ふわふわボールが浮いてます。
「良いですかムー様。ボールを飛ばすときも、たくさん魔力を使うと、すぐにボールは壊れてしまいますからね。そっと、そっと飛ばしてください。まずは…」
コステロにぃにがムーちゃんを木の近くに連れて行きます。
「まずはそこから、この木の所までボールを飛ばしましょう。これができるようになったら、だんだん離れて行って、最後はあの向こうのカゴに入れます。今日できなくても大丈夫ですよ。ゆっくり練習しましょう」
練習始まりです。ムーちゃんがもう1回ボールを浮かばせて、む~って力を入れて、ボールが少しだけ動きました。でも…。パンッ!! ボールがすぐに割れちゃいました。
『ガウガァ~…』
『ガウガウ!!』
『グガウゥ!!』
「ウルちゃん、いまのおはなしは?」
『えっとねぇ、ムーちゃんが割れちゃったって。それでドラゴンさん達が頑張れ、もう1回って。僕達も応援しよう!』
「うん!!」
『プユユユウン』
みんなでムーちゃん応援です。頑張れムーちゃん、僕達も応援頑張れ!
*********
「どうだ。その後、奴らは集まったか?」
「順調に集まってきています。あなたに捧げる者達も」
「そうか」
「ですが我が主、1つ問題が」
何でせっかくここまで事が順調に運んでいるというのに。
「東の森の者達が、我らに気づいた様子。近くで奴らの仲間の群れを見かけたものが」
「何だと?」
まさかもう気が付いたのか。まぁ我々と違い、ここに集められている者達はバカな者達も多い。そのバカがいるおかげで我の計画も進むのだが、情報が外へ漏れることもある。
「いかがいたしますか?」
「奴らよりも我々の方が早く動くぞ。良いか少しでも早くここを出発する。そのつもりで動け」
「ハッ」
俺は集められている者達が集められている広場に向う。上からその光景を見れば、かなりの数のバカが集められていた。
ただ目の前の欲求にだけ突き進む、俺達のような上位種のように知恵がない奴ら。しかしそういうバカ達も、集めればそれ相応の戦力になる。
俺達が街を支配したとなれば、東の森の奴らも、他の森、林の奴らも、今までさんざん馬鹿にされてきたが、今度は我々が奴らを支配できるかもしれないのだ。
そう、ついに、ついに我々の時代が来るのだ。
下で騒ぐ馬鹿共を見ながら、俺はそこに置いてあった俺への貢ぎ物に手を伸ばす。そしてそれをたいらげ、自分の力へと変える。食べれば食べるだけ、その者の力が蓄積される。魔法はダメだが魔力だけでも吸収できるのだから、これからもどんどん運んできてもらわなければ。
そして私が上立った時、俺は誰よりも強くなっているはずだ。
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