第33話ボールで遊んで鬼ごっこ

「ドラゴンおじさんダメねぇ」


『ガウガウガァ』


『お父さんダメダメって』


『プユユユン』


『ぷるちゃんもダメねぇ~って』


「ムーちゃんはボール、ぽ~んってできたよぉ」


 昨日練習した場所で風の魔法の練習して、お昼のご飯の時間だから、さあ様達がいる所に戻ったら、またドラゴンおじさんがかあ様に怒られてました。それでいつもみたいに穴がたくさん空いてて。

 ドラゴンおじさん、かあ様に怒られるの好きなのかな?


 ムーちゃんは今日もとっても頑張ったんだよ。今日はボールをカゴまで風で飛ばす練習だったでしょう? それで1番遠いカゴには入れられなかったんだけど、その半分くらいなら、ボールを飛ばして、カゴに入れられるようになったの。


『ムムムムム!』


「頑張れ~」


『頑張って!』


『プユユユユ!』


 僕達もいっぱい応援したんだぁ。

 最初はちょっと飛ばすとパンッて割れちゃって、でもちょっと練習したら、すぐに半分まで飛ばせるようになりました。


 それでねホールさんがムーちゃんも僕達も頑張ったからって、練習は今日は途中で終わり。遊んで良いって。アロン達が作ってくれたボールでみんなで遊んだの。

 僕はまだ魔法使えないから、コステロにぃにと一緒に、ボールが割れないようにボールをけります。アロンの方に蹴ってアロンはガルダーに、ガルダーはぷるちゃんとウルちゃんに蹴って、コステロにぃにがまたウルちゃん達と一緒に蹴って、最後はムーちゃんに。

 ムーちゃんはホールさんと一緒にボールをけります。


「ムー様、今は俺が魔法で割れないようにしますから、ムー様は思いっきり蹴るんだぞ」


『ガウゥっ!!』


 ムーちゃんがボールを蹴ります。蹴ったんだけど、ズデンっ!! ボールの上を蹴っちゃってムーちゃん尻もちです。


『ガウ…ガウガァ』


 ムーちゃんが頭をカリカリ掻いて笑いました。


『えへへ、失敗、だって』


 ムーちゃんもう1回挑戦です。じぃ~ってボールを見つめるムーちゃん。シュって足を動かしました。

 ビュッ!! 僕の方にボールは飛んでこないで、ガルダーのお顔に、バシイィィィッ!! 思いっきりぶつかりました。


 僕達もムーちゃん達もホールさんもコステロにぃにも、みんながしぃ~んて、誰もお話しません。ガルダーのお顔からボールがポロ。落っこちたらガルダーのお顔、まん丸のボールの痕がついてました。


『グルルルルっ』


 ガルダーがムーちゃんの方見て唸り始めました。ムーちゃんが少し下がって、すぐに僕達の方に走って来て、ガルダーがムーちゃんを追いかけてきたの。


『ガウガァ!!』


『わぁ、逃げなくちゃ!!』


『プユユユユん!!』


「みんなにげてぇ~!!」


 みんなで走り始めます。ホールさんもコステロにぃにも一緒だよ。アロンだけお空に逃げちゃったんだ。ボール遊びから鬼ごっこに変わっちゃっいました。


 あっちに走ったり、そっちに走ったり、いろんな所をグルグル走って、僕良い所見つけました。お庭を綺麗にするお道具がしまってある、小さな小さなお家見つけたの。すぐにそのお家に向って走ります。


 それでね、僕達はお家に入れたんだけど、ムーちゃんガルダーに捕まっちゃったんだ。


『ガウガウが!!』


『ガウガァ!!』


『ちゃんとまっすぐ、静かに蹴れって、それでムーちゃんがごめんなさいってしてるよ』


 それからずっとムーちゃんガルダーに怒られてました。だからその後ちょっとしかボールで遊べなかったんだ。あっ、でも、ムーちゃんボール蹴るの上手になったよ。楽しかったけど、僕ちょっと疲れちゃいました。

 それでお昼になって戻って来たら、ドラゴンおじさんがかあ様に怒られえたんだ。僕達は知らんぷりして、騎士さん達のお家に行きます。


 今日のギムルおじさんのお昼のご飯は、ケチャップの上に卵が乗ってて、その卵にドラゴンさんの絵が描いてあるご飯でした。ドラゴンさんが消えないように、周りからそっと食べて行きます。

 ご飯食べてるとき、かあ様がドラゴンおじさんを怒りながらお部屋に入って来ました。やっぱりドラゴンおじさんはぐったりです。

 早くご飯食べて、またお外で遊ぼう! みんなでうんって頷いてどんどんご飯を食べます。


 ご飯食べてお外に出たら、にぃに達が帰ってきました。にぃに達は何かお勉強があって、シェーラとどこかに行ってたの。でもお勉強終わったから、これから一緒に遊べるって。


 みんなで何しようかお話してたら、ムーちゃんが急にお空を見ました。周りにいたドラゴンさん達もみんながお空を見ます。だから僕達も一緒にお空見ました。

 お空には今日雲がぜんぜんないんだよ。ぜ~んぶ空色。なのにムーちゃん達何見てるの? 何にもないよ?


「なんにもない」


『う~ん、でもなんか変』


『ぷゆゆ?』


 何が変なの? 


 みんながずっとお空見てて、僕達もお空見てて、僕だんだんお首が疲れてきちゃいました。それでお顔もとに戻そうと思ったんだけど、ムーちゃんが急にお空の向こうの方、指さしたの。それでジャンプします。他のドラゴンさん達もガウガウ騒ぎ始めました。

 騎士さん達は怖いお顔して、みんなが見てる方を睨んでるんだ。


「あっ、あれ何!?」


 ラッセルにぃにが大きなお声で叫びました。

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