第42話帰って来たドラゴンおじさんと…

「ドラゴンおじさん帰って来ないねえ」


 ドラゴンおじさんすぐに帰って来るって言ったのに。夜になっても帰ってきませんでした。その間にかあ様は王様じぃじとお仕事して、帰って来てからお部屋の中行ったり来たり。たまにお椅子に座って、また行ったり来たり。いつものかあ様じゃありません。


 待ってたんだけど、僕達寝る時間になっちゃいました。


「かあさま、いつかえってくるかなぁ」


「きっと明日には帰って来るわ」


「どこにいったのかな? とおく?」


「そうね、ちょっと遠くね。さぁ、寝ましょう。おやすみなさい」


 お兄ちゃんとかあ様と、みんなにおやすみなさいします。それですぐに僕寝ちゃったよ。


「大丈夫よね。きっと大丈夫」


 眠る前かあ様のお声が聞こえた気がしました。


 次の日の、まだドラゴンおじさん帰って来てませんでした。それでみんなで朝のご飯食べてたら、いきなりお部屋の真ん中が光り始めたんだ。

 すぐにかあ様が近くに置いてあった剣を持ちます。シェーラも。

 僕ビックリ、ぷるちゃん達もビックリ。でもムウちゃんだけビックリしないで、光りの方に近づいて行こうとしました。


 僕慌ててムウちゃんを止めます。ぷるちゃん達も一緒に止めてくれます。フラキーも前飛んでくれて止めてくれました。ムウちゃん僕達見て不思議そうなお顔した後、ニッコリ笑って、お手々をバタバタ。なんか喜んでます。ムウちゃん見たかあ様が、もしかしてって。


 だんだんと光りが小さくなってきました。でもどんどん明るくなって。お目々しょぼしょぼです。そしたらラッセルお兄ちゃんが、あっ!! って叫びました。それで光りの真ん中指さします。


 眩しいけど一生懸命お兄ちゃんが指さした方見て。あれ? 真ん中になにかある。白い光の中に、ちょっとだけ虹色の所があるの。じっと見てたらだんだんと虹色が広がって来て、白色がなくなってきました。それでほとんど虹色になっちゃったんだ。


「あし!!」


 いきなり虹色の中から足が出てきました。たぶんドラゴンさんの足? その後はお手々が出て来て、それから…。


「ドラゴンおじさんだ!!」


『ギャウギャウ!!』


 ドラゴンおじさんのお顔が出てきたんだ。ドラゴンおじさんは僕達見てニッコリ笑った後、かあ様のお顔見て、


「大丈夫。街は無事だ。予定外の人間もいるが、皆連れてきた」


 そう言ってゆっくり虹色から出てきます。

虹色から出てきたドラゴンおじさん。僕もお兄ちゃん達も走ってドラゴンおじさんの所に。


「父様!!」


「約束より早い!」


「とうさまだ!!」


 ドラゴンおじさんのお背中から下りてきたとう様に抱きつきました。とう様が僕達を抱きしめてくれて、後から来たかあ様のことも抱きしめます。

 

 ドラゴンおじさんから下りて来たの、とう様だけじゃありません。ライオネルと、それから知らないおじさんが2人下りてきたの。でもかあ様とお兄ちゃん達は知ってるみたい。

 その2人の人とお話しようとしたんだけど、ドラゴンおじさんがすぐにみんな虹色から離れろって。すぐにお部屋の端っこに行きます。


 虹色からまたドラゴンさんの足が出てきました。あっ、今度は知ってる人! カルソーイにぃに!! どうして虹色から出て来たの? 

 カルソーイにぃにとドラゴンさんが出てきたから、お部屋の中が狭くなっちゃったよ。でもドラゴンおじさんは、また僕達に離れろって。


「ま、待って、ヱン様、まだドラゴン騎士が!?」


『ああ、もう一組な』


「部屋に来てどうするつもりですか。ヱン様は変身されますが、他のドラゴンは変身などいたしません。どうやってこの部屋から外に出るのです。今からでも出口を変えられるなら外にしてください!」


 あっ! ってとう様が。


『ふむ、この壁を破壊すれば』


「ヱン様!」


『分かっている。そう大声を出すな。おい、場所を変える。もう1度中へ』


 カルソーイにぃにが僕達にバイバイして虹の中に入って行きます。それからドラゴンおじさんは人の姿になって、虹色の中に入って行きました。


 本当はとう様とたくさんお話したかったけど、とう様これから王様じぃじに急いで会いに行かないといけないんだって。だからお話は後でって、かあ様と知らないおじさん達とライオネルと一緒に、お部屋から出て行っちゃいました。フラキーもご紹介したかったのに。僕ちょっとしょんぼりです。


 少ししてドラゴンおじさんが戻って来ました。それで間違えたって言って、僕達の頭なでなでして、またすぐにどこかに行っちゃいました。


「みんないそがしいねぇ」


『プユユユユん』


『うん、みんなバタバタ』


『ギャウギャ』


『ね、すぐに戻って来ると良いねぇ』


 シェーラが、朝のご飯食べてしまいましょうって。そうだった。僕達ご飯の途中だったね。みんなで戻ってご飯の続きです。


 とう様にお話したい事いっぱい。魔法の練習いっぱいした事。ムウちゃんがとっても魔法が上手な事。それからドラゴンおじさんはいつも怒られてた事。後はフラキーの事。お庭にいっぱい魔獣が居る事。

 早く戻って来ないかなぁ。

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