第3話エリアス3歳誕生日

「エリアス坊っちゃま!!」


 あっ、シェーラの声だ! ご飯の時間? 僕ねぇお腹すいたの。シェーラはいつも僕のことお迎えに来てくれるんだよ。えっとねぇ、ご飯の時と、朝おっきする時と、それからおやつの時と、いっぱい!! 今はお外が黒だから夜のご飯の時間?


 ドアをトントンしてシェーラがお部屋に入ってきて、僕のこと抱っこしてくれます。


「エリアス坊っちゃま、ご飯のお時間ですよ。皆様もうお集まりですから、早く参りましょうね」


 お家の廊下はとってもとっても長いの。あと階段もいっぱい。僕1人でも歩けるし階段も上がったり下りたりできるけど、早く歩く時はシェーラが抱っこしてくれます。

 

「エリアス様、今日のお食事はきっととっても楽しいお食事ですよ。楽しみにしていてください」


 スタスタ歩きながらシェーラがそう言いました。楽しいご飯? どんなかな? うさぎさん楽しいご飯ってなんだろう? 僕は大好きなうさぎさんのぬいぐるみにお話します。えと僕のお友達だよ。

 

 シェーラが歩くとすぐにご飯を食べるお部屋に着きました。僕は抱っこから下りてシェーラがドアを開けてくれるの待ちます。僕大きなドアは1人じゃ開けられないんだぁ。

 ガチャ、ギギギィ~、ドアが空いて中に入る僕。そしたらいきなりパンパンッ!! って綺麗なお花のひらひらと、かあ様の魔法のお水のボールのふわふわが、お部屋の中いっぱいに飛んだの。


「エリアスおめでとう!」


「エリアス坊っちゃま、おめでとうございます!」


 お部屋の中にいた、とう様やかあ様、にぃに達とライオネルとシェーラ、それからお家でお仕事してる人達が、みんなお手々叩いて、僕におめでとうって言いました。何がおめでとうなの?

 かあ様がすぐに僕の所に来て抱っこしてくれて、この前にぃにのお誕生おめでとうしたでしょうって。今日は僕のお誕生におめでとうの日なんだって。

 お誕生はとっても嬉しい事って、とう様もかあ様もみんな言ってた。今日は僕の嬉しい事の日?

 

 みんながどんどん僕にプレゼントくれます。絵本とかぬいぐるみとか、オモチャとかお菓子も、僕の周りプレゼントでいっぱいです。


「ふわわわわ! こりぇぼくの!?」


「そうよ。全部エリアスちゃんのよ。プレゼント貰ったら何ていうんだったかしら」


「ありがちょ!!」


 みんなに抱きつきて、ありがとう言います。順番に言って、最後はとう様。とう様

にありがとういって、それからとう様のお膝の上に座りました。それで僕またまた嬉しい事があったの。

 テーブルの上にいっぱい僕の大好きなご飯と、大きな大きなケーキが置いてあったんだよ。ケーキには小さな火が3つ浮かんでました。


「エリアスは今日3歳になったんだぞ」


「ぼく3しゃい?」


「そうだ。1個大きくなれたんだ。とっても嬉しい事なんだぞ」


「うん! とってもうれちい! ぼく3しゃいになりまちた!」


 僕がそう言ったら、みんなまたお手々叩いておめでとうって言ってくれました。


 ご飯いっぱい食べて、ケーキもとっても大きいので食べて、僕お腹いっぱいです。

 

 ご飯の後はいつもみんなでゆっくりお座りするお部屋に行くんだよ。僕ねライオネルが持ってきてくれる、あったかいミルク大好きなの。それを飲んで、新しいドラゴンさんのぬいぐるみと、うさぎさんのぬいぐるみ持ってお椅子に座ってたら、眠くなってきちゃいました。


 みんなにお休みなさいして、かあ様とシェーラと一緒に僕のお部屋に行きます。歯磨きして、お洋服ねるお洋服に着替えて、うさぎさんとドラゴンさんと一緒にベッドの中に潜りました。


「エリアスちゃん、お休みなさい」


「坊っちゃま、お休みなさいませ」


「おちゃちゅみなしゃい」


 明日はプレゼントのおもちゃでたくさん遊ぶの。かあ様とシェーラがお部屋から出て行きました。


『トントン、トントン』


「すーすー」


『トントン、トントン』


「う~、なんでしゅかぁ?」


 誰か窓たたいてる? 僕眠たいの…お休みなさい。すーすー。


『トントン』


「うるしゃいの!」


 僕バッて起きました。お部屋の中見たらまだ暗くて、僕寝てる時間です。

 

 あれ? 何にも聞こえない? 誰かトントンしなかった? 周りを見ても静かに音がするの待っても、何にもありません。

 

 僕間違えちゃった? もう1回お布団に潜ろうとした時、お部屋の中がパァッ!! って、とっても明るくなりました。それから窓が開いて、おじさんが入ってきました。僕びっくりしてとう様呼ぼうとしたら、おじさんがおめでとうって言って、花びらひらひらしてくれたの。それで、僕のお誕生日おめでとうしに来たって言いました。


「おじしゃんだれ?」


『我は…(あいつを借りるか)、我は王様のお友達だ』


「おうしゃま?」


『そうだ』


 そっかぁ。王様のお友達なんだ。とう様は王様のこと、大切な人って言ってた。大切っていうのは、大好きってことだって。だからとう様もかあ様もみんな、僕のこと大切って。あと、大切な人はみんな怖くないって。おじさんは怖くないおじさんなんだね。


『今日はエリアスにプレゼントを持ってきたのだ。正確には連れてきただが』


 プレゼント!? やった! 僕またプレゼント貰えるの?

 おじさんの後ろから、プルプルしてて青色で透明の丸と、ルーファスみたいだけど、小さな白色のワンチャンが前に出てきました。

 それからそっと僕に近づいてきて、プルプルはちょっと上に伸びてお辞儀して、わんちゃんはお座りして、おしっぽフリフリしてくれたの。


『その透明な者はスライムという魔獣で、そっちはホワイトウルフで、どちらもお前と同じ子供だ。エリアスお前はまだ魔獣のお友達が居なかっただろう。2人とお友達になると良い』


 ふぁっ!? お友達? 僕魔獣とお友達になれるの、やったぁ!!

 とう様もかあ様も、みんな魔獣のお友達いるんだよ。でも僕はいないの。うさぎさんもお友達いっぱいが良いよね。本当にお友達に良いの?

 僕はスライムさんの赤ちゃんと、ルーファスとおんなじホワイトウルフの赤ちゃんに聞いてみました。


「えと、おともだち、いいでしゅか?」


 スライムさんがプルプル震えて、まん丸のお目々をパチパチ。ホワイトウルフのお赤ちゃんは、ジャンプしたあとおしっぽをパンパン振ってます。2人とも嬉しいの?


『2人ともエリアスとお友達になれるのは嬉しいと言っている』


 そっかぁ、じゃあお友達ね。僕は2人の頭をなでなでします。

 

 おじさんがお名前つけてあげろって言いました。スライムさんもホワイトウルフのお赤ちゃんもお名前がなくて、おじさんはスライム、ウルフって呼んでるんだって。でもこれからずっと僕と一緒だからお名前は大切って言いました。とう様もかあ様もみんなお名前あるもんね。


 どうしようかなぁ。スライムさんはプルプルしてるからぷるちゃん。ホワイトウルフの赤ちゃんはウルフのウルちゃん。うん、そうしよう!


「ぷるちゃんとウルちゃん!!」


『………』


 スライムさんのぷるちゃんとホワイトウルフのウルちゃんが、僕の周りをぐるぐる回って、それから僕のお手々やお顔をすりすりしてくれます。


『い、良いんじゃないか(子供がつける名前はこんなものか?』


 おじさんのお顔はちょっと困ってるお顔してたよ。


 そのあとおじさんが僕のこと抱っこして、そしたら体がポカポカあったかくなってきました。おじさんがあったかくなったか聞いたから、うんって言ったの。

 ぷるちゃんとうるちゃんの頭なでなでして、なでなでしながら2人のお名前言ってから、お友達になろうって言うんだって。そうするとお友達になれるんだって。僕は2人をなでなでして、


「ぷるちゃん、ウルちゃん、おともだち!」


 って言いました。

 そしたら2人がポワッて光って僕もポワッて光りました。すぐに光は消えて、おじさんがこれでちゃんとお友達だって。ん? 僕カイン君とかお友達になる時、こんな事しなかったよ? カイン君はお城に住んでるんだよ。


 お部屋の中がだんだんと暗くなってきました。


『それでは我はそろそろ帰る。我が帰るとこの部屋はいつもの部屋に戻る。きっとお前の家族が部屋に来ると思うが、王様の友達がプレゼントをくれた、とちゃんと言うのだぞ。それからお友達になった事もだ。良いな』


「うん、おじしゃんまたあしょびにくりゅ?」


「あぁ、また、な」


 おじさんが窓からお外に出たら、お部屋の中が暗くなって、いつものお部屋になりました。それですぐにバタバタ廊下を誰かが走ってる音が聞こえてきたんだ。う~ん、あの音はとう様達の足の音。使用人さんやメイドさんじゃない。


「エリアス!!」


 とう様がバタンっ!! 僕のお部屋のドアを開けて、魔法でお部屋の中明るくしました。とう様の後ろからルーファスとかあ様、ライモンドとシェーラが入って来て、ぷるちゃんとウルちゃんを見て、早く離れなさいって言ったの。

 そうだ、ちゃんとおじさんが言った事言わなくちゃ。


「おうしゃまのおともだちのおじしゃが、ぷれじぇんとくれちゃの。おともだち!!」


 僕がそう言った後、お家の中とっても煩かったんだよ。僕はおじさんのことたくさんとう様達にお話したんだけど、途中で眠くなって寝ちゃいました。

 ふへへ、僕の新しいお友達。うれしいね。

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