第30話風の魔法の練習

「良いか、今日練習するのは風の魔法だ」


 ホールさんが今日のお勉強の事を教えてくれます。

ホールさん達はドラゴンおじさんと昨日お話して、ムーちゃんがどんな魔法を使えるか聞いてました。ムウーちゃんが使える魔法は全部。火と水と風と土と、うんと全部!

 僕火の魔法は見た事あるよ。ムウちゃんが火の魔法使ったとき、お肉真っ黒くろ、お野菜は真っ黒になった後にサラサラサラってなっちゃったもんね。


 でもその後はかあ様がムーちゃんに魔法使っちゃダメって言ったから、他の魔法見た事ありません。ムーちゃん絶対魔法使わなかったよ。だってかあ様怒ると怖いし、ドラゴンおじさんが魔法使うといつも怒られてたから。


 かあ様とドラゴンおじさんとお話したホールさんとコステロにぃに達。1番危なくない魔法の練習できるのが風の魔法だって、お話し合いできまったんだって。


「まずはアロンとガルダーが、魔法を使うからな。良く見てるんだぞ」


 みんなでアロン達の方を見ます。アロンとガルダーが魔法で作ったボールを上に投げました。

 フワッと上に上がって行ってすぐに下に落ちてきます。それでアロン達の頭の上まで落ちてきた時、2匹の周りの草と花が風で揺れ始めてビュッ!!って風が吹きます。アロン達が風の魔法使ったんだよ。


 そしたら落ちてきたボールがまたフワッて上がって、そのままボールがカゴの方に。でも途中でまた下に落ちてきて、そしたらまたアロン達が風魔法で上にあげます。

 そのまま落ちないように風魔法で上にあげながら、どんどんカゴの方に近づいていって、最後にカゴの中にボールがストンって入りました。

僕達みんなで拍手です。


「どうだ。これが今日の練習だぞ」


 コステロにぃにがカゴの中からボールを持ってきます。


「ではムー様、このボールに風魔法を使ってみてください」


 コステロにぃにがムーちゃんの前にボールを置いて、僕達はムーちゃんの風の魔法が強すぎてお怪我しちゃうかもしれないから、ちょっと離れてアロンが結界を張ってくれました。


『ガウ…ギャウゥゥゥ!!』


 ムーちゃんが風の魔法を使います。ブワアァァァッ!! もの凄い風が吹いて周りの木が斜めにゆらゆら揺れます。葉っぱやお花も飛んじゃって。それですぐにボールが割れちゃいました。


 風が止まってすぐにムーちゃんの所に戻ります。僕もみんなもボールがあった所を見て、それからホールさん達の方を見ました。


「良いか、この魔法で出来てるボールは優しく魔法を使わないと、すぐに割れてなくなっちゃうんだ」


 今ムーちゃんが使った風魔法は強すぎて、すぐにボールが割れちゃったの。さっきアロン達がやったみたいに、カゴまでボールを運ぶのは、もっともっと小さな風の魔法にしないといけないんだって。


 ガルダー達がたくさん魔法でボールを作ってくれます。


「まずはボールを風魔法で浮かばせる練習だ」


 コステロにぃにや騎士さん達、それからドラゴンさん達が、悪い人や魔獣と戦ったり、お城が危ない時に守ったりする魔法は強くても良いけど、その他、みんなの近くで魔法を使うときは、あのボールを運べるくらいの強さの魔法が良いみたい。それだとみんなお怪我しないの。


『ガウガウガァッ!!』


『頑張るって!』


『ぷゆゆゆん!』


『ぷるちゃんは頑張れだって』


 ムーちゃんの風の魔法が小さくなってくるまで、僕達はアロンの結界の中に入ってムーちゃんを応援です。

ムーちゃんが魔法を使うと、周りのボールがたくさん割れちゃって、すぐにボールが全部なくなっちゃいます。でもすぐにアロンとガルダーがボールを作ってくれて。

 

最初はたくさん一気にボールを割っちゃったムーちゃん。でもだんだんと周りのボールが割れなくなってきました。

 それでお昼ご飯のちょっと前に、ボールが割れなくなったんだ。


 ムーちゃんがお座りして、両方のお手々を上げてうぃ~ってします。僕達もたくさん応援したから、とっても喉が渇いちゃいました。


「今日の練習はこれくらいにするか。初めての練習だからな、無理はダメだ」


 今日の始めての練習は終わりです。ホールさんもコステロにぃにも、それからアロンもガルダーも、みんなムーちゃん頑張ったって褒めてくれて、僕達もムーちゃんの周りで拍手。それからみんなで頑張りましたの万歳しました。


 そしたらかあ様やドラゴンおじさん達がいる方で、また大きな音がして、またまた地面が揺れます。朝みたいに僕達を押さえてくれるホールさんにコステロにぃに。


「相変わらずだな。ムー様の方がヱン様よりも魔法使うのが上手いんじゃないか?」


「午前中練習しただけで、ボールを割らなくなりましたからね」


「グロリア様にこれを報告したら、またヱン様大変な事になりそうだな」


 地面のグラグラが止まって、僕達は騎士さん達のお家に移動です。今日のお昼のご飯はギムルおじさんのご飯なんだ。またドラゴンさんのパンケーキ作ってくれないかな?


 でも騎士さん達のお家に行く前に、ドラゴンおじさんが練習してる場所に戻ったら、僕もムーちゃん達も、それからコステロにぃにも、ビックリしちゃいました。


「まぁ、今日も相変わらずって感じか? あれだけ音と揺れがしてればな」

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