第16話お城に到着

 おもちゃを買って貰ってから、またたくさん馬車に乗って、それからお泊まりもして、お城までもう少しです。

 僕達たくさん馬車に乗ったけど、かあ様が動かすぬいぐるみと、買っても貰ったおもちゃで、馬車の中でゴロゴロしませんでした。飽きた時はゴロゴロ。


「かあさまぁ、おしろでごあいさつしたら、ドラゴンさんにあいにいってもいい?」


「いろいろ御用があるからダメよ」


「でもぉ、ムーちゃんあいたい?」


 ムーちゃんはドラゴンさんで、ドラゴンおじさんもドラゴンさんでしょう? きっと他のドラゴンさんに会いたいよね。ムーちゃん達が会いたいから僕も会いたいの。


「ムー達も会いたいかもしれないが、それはエリアスの考えじゃないのか? 誰かを立てて自分の考えを言う。エリアスはずいぶん考えられるようになったな」


 とう様が困ったお顔して笑ってます。僕ムーちゃん達絶対会いたいと思うんだけど?


 シャアァァァ。今日は朝から馬車のお外はこの音が聞こえます。今日雨なんだ。トラッシュの街に近くなると、王様じぃじが住んでる大きなお城が見えるから、窓から見ようと思ったのに、雨だからダメってかあ様に言われました。う~ん、残念。


 お城は真っ白で大きくて、1番上のお屋根にドラゴンさんの旗がひらひらしてて、とってもカッコいいお城です。僕のお部屋にも小さいお城があるんだよ。ちゃんと旗がついてて、お城を半分にすると、ちゃんとお部屋があって小さいお人形で遊べます。


 早くお城に着かないかなぁ。馬車から下りたらすぐにカッコいいお城を見て、それからお城の中に入って、カッコいいお城の中見て。それから王様じぃじにごあいさつします。僕お城楽しみ!

 

 でも、いつもはご挨拶したらカイン君と遊ぶけど、今はカイン君はお城にいないから、それはちょっと残念。だから僕ドラゴンさんに会いに行こうって思いました。


 雨の中どんどん馬車が進んで、今日は馬車の中でお昼のご飯食べて、僕はちょっとだけお昼寝。起きてもまだお城に着いてませんでした。地面が雨でぐしゃぐしゃだから、いつもより馬車が進むの遅いです。


 でも起きてからちょっとして、馬車を動かしてくれる御者さんが、大きなお声でとう様のこと呼びました。


「旦那様! トラッシュの防壁が見えてきました!」


「分かった!!」


 街の周りには、街を悪いことする人や、街を壊したり街の人をお怪我させたりする魔獣さんから、街を守ってくれる大きな壁があります。グルって街を囲んでるの。


「言ってあった通り、そのままホールに続いて、門の裏の方から入ってくれ」


「分かりました!」


 あれ? 今日は大きな門から入らないの?

 街には3つ門があります。たくさん人と馬車が並んでる大きな門と、王様じぃじが良いよって言った人が入れる門と、後は…良く分かんない門。1番大きな門は人と馬車が並んでる門。僕はいつも大きな門から街に入ります。


 ちょっとだけ窓開けてお外見たら、大きな門通り過ぎてました。通り過ぎて壁しか見えなくなっちゃったの。


「エリアス、雨が中に入るからダメだと言っているだろう」


 すぐにとう様が窓閉めちゃいました。


「とうさま、どうしていつものもんじゃないの?」


「今日は特別なんだ。もうすぐ街の中に入るからあと少し大人しく座っていなさい」


 今日は特別。何が特別なのかな?


 少し進んだら、お外で誰かのお声がしました。御者さんのお声じゃなくて、ホールさんのお声でもありません。なんて言ってるか分かんないけど、うんとねぇ、3人くらいのお声が聞こえます。

 それからすぐにホールさんが怒る声が聞こえました。とっても怖いお声です。


「お前達、連絡を受けていないのか! それとも連絡をされたが、ちゃんと聞いていなかったのか!」


「…ちょっと出てくる。グロリア、エリアス達の事を頼む」


 とう様がそう言って、お外に出て行っちゃいました。僕はかあ様のお隣に座って、ぷるちゃん達も僕のお隣に座りました。ホールさんの怒るお声はずっと続いてて、知らないお声の人の声はだんだん小さくなっていきます。


 とう様のお声が聞こえました。でも小さいお声だから、やっぱり何言ってるか分かりません。でもとう様のお声が聞こえたら、ホールさんの怒ってる声が聞こえなくなって、それからすぐにとう様が馬車に戻ってきました。


「まったく、こちらの門はあちらの門よりも、しっかりと警備しなくてはいけないのに、陛下に報告せねば」


「あなたどうしたの?」


「どうも平和ボケしているようだ。ここは国の中心なんだぞ。報告書を最後まで確認しないとは」


「ふぅ、やっぱりそういう事? こちらの門はあまり人が使わないし、このところ事件も起きていないものね。とても良い事だけれど、平和だからと言って、気を抜いて仕事を疎かして良い理由にはならないわ」


「今ホールが連絡をとっている。返事が来たらすぐに街に入る」


「とうさま」


「どうしたエリアス?」

 

 怒ってたとう様。僕が呼んだら僕にはニコニコのお顔でした。


「あのぉ、おしっこ」


「わわ、ちょっと待て! もうちょっとだけ我慢できないか? 流石にここに草むらはないからな。流石に馬車の中はな。いくらルーファスが浄化の魔法が使えても」


「とうさま、もれちゃう」


 僕おしっこに行きたくなっちゃっいました。休憩の時におしっこしたけど。でもおしっこしたいの。


「仕方ない!」


 とう様が僕のこと抱っこしてお外に出ました。壁の方見たら、大きい門よりも小さい門があって、そこに騎士さんが3人立ってます。とう様は騎士さん達の所に行って、おトイレ貸してくれってお願いしてくれます。


 騎士さん体がビクってして、門の所にあった小さなドアから、僕ととう様を中に入れてくれました。それからまたドアを開けて、そこはおトイレでした。おトイレ見て僕、お顔がお父さん達が嫌なお顔する時と、おんなじお顔しちゃいます。


 おトイレとっても汚いの。ゴミや汚れがいっぱい。僕のお家のおトイレはピカピカでとってもきれいです。でもここのおトイレは…。

 とう様が、僕が汚れとかに触らないように、僕のことを後ろから押さえてくれます。


「とうさまぁ、きたないねぇ」


「エリアス、気にしないで、さっさとすませなさい」


 おしっこ終わって、とう様がさっさとおトイレからでます。馬車にもどったら、かあ様が僕のお洋服の確認して、それからふぅって、安心したお顔しました。大丈夫だよ、僕汚してないよ。


「すぐにご挨拶なのに、汚したらどうしようかと思ったわよ」


「相変わらずの汚さだった。やはり衛生的に問題だな。この事も報告しなければ」


「とうさま、あのおトイレ、ルーファスにきれいにしてもらったほうがいいよ。うんとねぇ、ライオネルがとってもおこるとおもうの」


 ライオネルはお家で、いつも使用人さんとかメイドさんとかがお掃除した所、ちょっと汚れてるととっても怒ります。とう様の事も怒るんだよ。

 とう様のお仕事のお部屋、いつも汚い汚いって。どうしてお仕事溜めるんですかとか、毎日しっかりすればこんな事にはならないとか。とう様のこと怒るとライオネル止まらなくなっちゃうの。

 とう様は時々、煩いって逃げるけど、すぐにライオネルに見つかって、もっと怒られちゃいます。

 

 ライオネルは、汚くする人、溜める人は大嫌いです。だからあのおトイレ見たら、きっと大変だと思うんだぁ。

 あっ、でも、僕がお遊びのお部屋で、たくさんおもちゃ出して遊んでてもあんまり怒りません。僕はそれがお仕事だから良いんだって。でも遊んだ後は、ちゃんとお片付けしましょうねって。


『俺はあんな所入らないぞ』


 今までお外を走ってたルーファスが、僕がおトイレに行ってる間に馬車に乗ってて、おトイレには入らないって。


『あんな汚い所、浄化の魔法が使えても入る物か。考えただけでも体が痒くなる』


 ルーファスが後ろの足で、首の所をカッカッカって掻きます。ウルちゃんも真似してかっかっかっ。ムーちゃんもぷるちゃんも真似しました。


「旦那様進みます! しっかり座っていてください!」


「分かった! さぁ、エリアス座りなさい。街に入るぞ」


 ガタンッ! 音がして馬車が動き始めます。


 早くお外見たいなぁ。お城見たいの。

 でもいつもと違う感じがしました。いつもは中に入ると人がいっぱいでとっても煩いのに、今日はとっても静かです。声が聞こえません。


「とうさま、みんなどうしたのかな? あめだからおうちのなかにいるのかなぁ?」


「ちょっと今日は違う道を通ってるから静かなんだ。他の所にはいつもみたいに人がいっぱいだぞ」


「ふぅん?」


 何か今日はいつもと違う事ばっかりだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る