第15話遅く街に着いた次の日

 せっかくカッコよかったトンネルをとう様達が全部壊しちゃって、僕達ちょっとだけブーブーです。ドラゴンおじさん、僕のお家にトンネル作ってくれないかな?


 トンネルを壊したとう様達は、またまたお話し合い始めちゃって、でも、すぐにお話し合い終わりました。

 それでコステロにぃにが、ガルダーで飛ぶ格好します。僕は窓からお顔出してかあ様に、コステロにぃにどっか行っちゃうのって聞きました。

 だってにぃにとガルダー、他にもドラゴンさんいっぱいで、お出かけできるんだもん。帰っちゃのはダメダメよ。


「エリアスちゃん、コステロは、王様じぃじにおのお山の事お話に行くのよ。さっきとう様が言っていたでしょう? みんながビックリしちゃうかもって。だから早く王様じぃじに伝えないといけないの」


 王様じぃじの住んでるお城まで行くのに、僕達が馬車で行くよりも、ドラゴンさんで飛んで行った方が速いから、コステロにぃにとガルダーが飛んで行来ます。ホールさんとアロンは飛ぶよりも戦う方が上手だから、このまま僕達と一緒にお城に行きます。


「お城に行ったらまた会えるから、今はバイバイしましょう」


「は~い!」


『ぷるるるん!』


『うん!』


『ギャウギャウ!』


 僕達がお返事してたら、お父さんの方にいたドラゴンおじさんが、おじさんもドラゴンに変身して飛んで行った方が速くて良いって言いました。それ聞いたとう様がまたまたおじさんを怒ります。ドラゴンおじさん、土砂崩れの所でずっと怒られてる。


「だから目立つなと言っているだろう! 飛んでいる所を民が見たら、皆エンシェントドラゴンが現れた事は分かっているが、それはそれで大騒ぎになる!」


「人間の生活はこんなにもダメな事ばかりなのか?」


 コステロにぃにがガルダーに良い子良い子して、バサッ!! 少しだけ飛び上がりました。とう様ご挨拶して、それからみんなにご挨拶して、バササササッ!! 一気にお空の高い所に上がっちゃいました。それからビュゥって前に進んで、すぐにコステロにぃに達見えなくなっちゃいました。


 かあ様達が馬車に乗ってきて、最後にとう様が乗る時、ドラゴンおじさんに魔法を使うなって言いました。お城に着くまでは絶対だって。ドラゴンおじさんブーブーです。でもかあ様が、ご飯抜きにするって言ったら、後ろのじぃじ達が乗る馬車にサッて乗りました。


 ドラゴンおじさんはこの前、僕の誕生日パーティーの時、初めて人間のご飯食べたんだって。それでとってもご飯が美味しかったって。パーティーの日からずっとドラゴンおじさんは僕のお家で住んでて、本当は森にご飯食べに行こうと思ってました。でも、夜ご飯の時に食べたご飯がとっても美味しくて、森に行かなくなっちゃったの。


 お山を下りたのは夕方でした。これじゃあ街で遊べない。もう、とう様達がトンネル壊してたから遅くなっちゃいました。トンネルやっぱりそのままの方が良かったよね?

 

「かあさま、あしたはすこし、まちであそんでもいい?」


「う~ん。なるべく早く行きたいけれど、明日は次に行く街まで、そんなに時間がかかる道のりじゃないから、あなた少しだけなら良いかしら」


「そうだな。私も今日の事があって、精神的に少し疲れたからな。ゆっくり次に街に向かおう。明日は山道もない普通の道だからな」


「そうよね。エリアスちゃん、明日少しだけなら街で遊んで良いわよ」


 やったぁ! 新しいお菓子買ってもらおう! クマさんのカバンに入れてきたお菓子もう少ないの。

 

 街に着いたのはやっぱり暗くなってからでした。ご飯を食べて今日は早くおやすみなさいして、明日は早く起きて街で遊びます。

 今日の夜のご飯は小さいブタさんのお肉です。みんなでちょっとずつ切って食べるんだけど、ドラゴンおじさんだけブタさんのお肉が乗っかってるお皿の隣に、焼いてあるまん丸なトリさんが乗ってるお皿が置いてあります。いつもは僕達とおんなじなのに、何で今日は違うの?

 

「ああ、これはここに来る時、馬車の近くを通った鳥を捕まえて、ここの人間に焼いてもらったのだ。お前達も食べるか?」


 ドラゴンおじさんがナイフでグサって切って、僕達のお皿に乗っけてくれます。おじさんのナイフの持ち方は何か僕と違います。それから切り方も。お肉とかお魚とかにグサって刺してからバシュって、勢いよく切るんだよ。それで周りにタレがビチャって飛んじゃうの。


 でも僕のお家に来た時は、全部お手々で食べようとしました。それでかあ様がドラゴンおじさんのこと止めて。そしたら今度はドラゴンさんに変身してお皿も一緒に食べちゃおうとしました。今度はとう様が慌てて止めて。

 かあ様にそれだとお家の中とか、お店やお宿でご飯食べられないからって、毎日ドラゴンおじさんにナイフとフォークとスプーンの使い方教えてあげました。


 すぐにドラゴンおじさんは使えるようになったけど、ちょっとだけ違うの。全部刺して使います。スープはそのままぐいぐいって飲んじゃう。プリンとかおやつは、ひと口でぱくって食べちゃいます。お母さんはまぁ良いでしょうって。


 ご飯が終わって、とう様達はちょっとだけお話し合いです。だからかあ様とにぃに達と一緒に先におやすみなさい。

 

 次の日起きたら、とう様はもう起きてて、出発する準備してました。とう様が寝てるところ僕あんまり見たことありません。お家にいる時は寝るお部屋違うし、お泊まりの時は僕より後に寝て先に起きちゃうことばっかりです。


 あっ、でもたまに、ぐったりしてる時があります。お酒をいっぱい飲んじゃって、頭が痛くて気持ち悪くなっちゃう時。休憩のお部屋のソファーでだらーんってしてます。

 とう様その時はぷるちゃん大好きになるの。頭とお顔の所にぷるちゃん乗っけると、具合が悪いのが少し良くなるんだって。


 でもその後いろいろお仕事終わったかあ様がお部屋に来て、とう様の事とっても怒ります。怒られてる時はぷるちゃん僕の所に帰ってきて、怒られた後のとう様は持って具合が悪くなっちゃいます。

 そうするとまたぷるちゃんが乗っかって、僕がとう様の頭なでなですると、とう様とっても喜んでくれるんだ。


「さぁ、クマさんのカバン持って行きましょう。お昼になる前にお宿に戻って来ますからね。お昼は馬車の中よ」


「はぁい!」


 僕ねこの街大好きなの。お菓子もおもちゃもいっぱいだから。

 最初にお菓子買って貰ってカバンに入れたら、すぐにおもちゃ屋さんに移動です。いつもおもちゃ屋さんの前でお店の人が、おもちゃで遊ばせてくれます。


「こんにちは!!」


「これはグロリア様、そしてエリアス坊っちゃま、お久しぶりです」


「久しぶりね。今日はあまり時間がないのだけれど、この子が遊びたがって、少しの間だけれど、よろしくお願いね」


「はい、お任せを。ではエリアス坊っちゃま、今日は新しいおもちゃがあるんですよ。まっててくださいね」


 お店のお兄さんが持って来てくれたのは、僕のお手々くらいのワンちゃんの形した木のお人形でした。お人形の下に木の輪っかが付いてます。馬車とかに付いてるのとおんなじ。


「良いですか。これに魔力を流すと」


 お兄さんのお手々がポワッと光ったら、ワンちゃんもポワッって光って、そしたらワンちゃんが前に進み始めました。


「わぁ! すすんでる!! すごいねぇ!」


 少し走って止まったワンちゃんに、またお兄さんが魔力を流します。そしたらまた前に進み始めました。誰も押さないで走るお人形、僕初めて。何回もお兄ちゃんが動かしてくれます。

 ワンちゃんの他にもネコさんとうさぎさんがあって、全部お兄さんが動かしてくれました。


 遊んでたら、お店の中からおじさんが出てきてお母さんにご挨拶します。お兄さんのお父さんです。


「お久しぶりです」


「ジャック、代わりはない? それにしても面白いおもちゃ作ったわね」


「人形の中に魔法を溜められる石を入れてあるんです。それに風の魔法を入れると、風の魔法がたまった石が、魔法の威力がなくなりまで走るようになっています。つい最近出回り始めましたね」


「へぇ、面白いわね。そうね、エリアスちゃんも頑張って我慢して馬車の乗ってくれてるから買ってあげようかしら」


 今かあ様何て言ったの? 買ってくれるって言った!? おじさんが袋におもちゃ入れてるのが見えて、僕は急いでかあ様の所に戻ります。


「エリアスちゃん良い子にしてたから買ってあげるわ」


「かあさま、ありがと!!」


 おじさんが袋1つじゃなくて、もう1つ用意してます。もう1つはカイン君にお土産だって。僕とお揃い! 

 カイン君と今度のお城のお出かけの時は会えないけど、次の日お出かけの時はこのおもちゃで遊べば良いって。


 やった、やった! おもちゃ屋さんのおじさんとお兄さんにさよならしてお宿に戻って、とう様におもちゃ見せます。僕はまだ魔法使えないから、とう様達に動かしてもらうの。

 へへへ、今日の馬車の中はこれでいっぱい遊ぼう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る