第24話ドラゴンさんと鬼ごっこ

 ドラゴンさん達がいる小屋に走って行きます。後ろからラッセルにぃにが走るなって言ってるのが聞こえました。聞こえたけど、ちょうど聞こえた時にべしゃって転んじゃいました。痛い…。ダレルにぃにが僕のこと立たせてくれます。


「にぃに、いたい…」


「走っちゃダメって、かあ様に言われてるでしょ」


 だって早く遊びたかったの。でも痛い…血が出ちゃった。ジワってお目々に涙が。


 そしたらドラゴンさんの小屋の方から、ドシドシ、足音が聞こえてきました。それから、


「走ると危ないですよ。血が出てしまいましたね」


 だぁれ? 僕ね今、お膝が痛いの。


「すぐに治してあげますよ。マクマスターお願いします」


 僕の前にドラゴンさんが立ちました。それでお体がさっきの花が咲いた時みたいに光って、僕のお怪我したところも光り始めます。

 僕ビックリ。お怪我したところがすぅ~って治り始めたんだよ。それですぐに治っちゃいました。


「マクマスターは怪我を治す治癒魔法が使えるんですよ」


 後ろ見たら騎士さんが立ってました。


「私の名前はウィリス。初めましてエリアス君。それから怪我を治してくれたドラゴンの名前はマクマスター。私の大切な友達です。よろしくお願いしますね」


 僕ウィリスさんにこんにちはして、それからマクマスターにご挨拶します。ご挨拶が終わったら、次はお怪我治してもらったから、ありがとうのご挨拶。

 マクマスターがガウガウ言って、ウィリスさんの横に立ちました。


「よう、相変わらず元気そうだな」


「パーシバルおじちゃん!」


 今度はパーシバルおじちゃんが、おじちゃんのお友達のドラゴンさん、ヘッドと一緒に歩いてきました。

 パーシバルおじちゃんはドラゴン騎士さん達の中で1番強くて1番偉い人。隊長さんです。お友達のヘッドも、ドラゴンさん達の隊長なんだよ。それから1番大きいの。


 パーシバルおじちゃんのお隣には、ホールさんとアロンもいます。それから知らない人とドラゴンさんも。

 おじちゃんがお名前教えてくれたけど、僕全部覚えられません。


「はは、そのうち覚えれば良いさ。とりあえず小屋に行くぞ」


 おじさんが僕のこと肩車して歩いてくれました。

 さっきかあ様から逃げちゃったから、ドラゴンさん達みんな小屋の中です。小屋の前まで行って遊びましょうって言ったけど、全然小屋からから出てきてくれません。

 

 僕がもう1度遊びましょうって言ったら、小屋からお顔出してたドラゴンさんがお話してきました。ウルちゃんに何て言ってるのって聞いたら、もう怖いの終わり?ってお話してきたんだって。ドラゴンさんとっても心配そうなお顔してます。ドラゴンさんの後ろから別のドラゴンさんがお顔出してきました。


『ガウガウ、ガウガァ(エリアスのお母さん怖いねぇ、まだ怒ってる)』


 って。他のドラゴンさん達も心配してます。まだ怒ってるかあ様がお外に出てきて、ドラゴンおじさんだけじゃなくて、ドラゴンさん達も怒られちゃうかもって。


 大丈夫だよ。かあ様ドラゴンおじさんと今けんかしてるから。だから遊ぼうって言ったら、そろそろドラゴンさん達がお家から出て来ました。それで騎士さんのお家の方見て、かあ様出てこないか確認してます。最後に出てきたのはガルダーです。

 

 窓からお顔出してたドラゴンさんがお名前教えてくれました。ルーリーだって。それでね、ルーリーがガルダーの頭をお羽でバシッてたたいたんだよ。僕達ビックリです。何でたたくの? 他のドラゴンさん達もバシバシたたくの。 たたかれるのはガルダーだけじゃなくて、王様じぃじのケイトルスもバシバシたたかれてます。


『ぎゃうぎゃ!』


『ギャウウウ!!』


 なんて言ってるの? みんないっぱいお話するから、ウルちゃんが分かんないって。どうしてお友達にならないと言葉が分かんないんだろう? お友達じゃなくてもお話しできたらいいのにね。

 パーシバルおじさんが静かにしろって怒って、やっと静かになったからウルちゃんが聞いてくれます。


『ぎゃうぎゃ!』


『ギャウギャウ!』


『ギャウゥゥゥ…』


 僕達さっき逃げたとき、ガルダーは僕達と一緒に逃げてくれたでしょう? 僕達が逃げた後すぐにドラゴンさん達のお家に逃げて、1番奥のお部屋に逃げちゃいました。

 それからケイトルスは、ガルダーよりも先、ドラゴンさん達の中で1番最初にお家に逃げて隠れてたんだって。それで小さく丸まってました。

 だから何で怖いの知ってるガルダー達が先に逃げてきて、1番安全な所に隠れたんだって怒ったの。


 ガルダーもケイトルスもカッコいいドラゴンさんだけど、なんかカッコ悪い。

 パーシバルおじちゃん達がドラゴンさん達のお話聞いて、もっと訓練しないとって言いました。ガルダーとケイトルスはしょんぼりです。しょんぼりしながら僕達の方に歩いてきました。


『ギャウギャウ』


『何して遊ぶ?だって』


 う~ん、何して遊ぼうかな? 今日はいつもよりもドラゴンさんがいっぱいです。いつもカイン君と遊んでる時は、お背中に乗っけてもらったり、冒険者さんのマネして、ドラゴンさんとお庭歩いて、面白い石とか探したり。

 僕、ドラゴンさんと遊びたかったけど、何して遊ぶか考えてませんでした。


 みんなで何して遊ぶかかんがえます。考えてたら、ちょっと離れた所で考えてたドラゴンさん2匹が、急にしっぽでケンカ始めちゃいました。何かぁ、しっぽがぶつかっちゃって怒ったんだって。

 それでぶつけちゃったドラゴンさんが逃げて、怒ってるドラゴンさんが追いかけ始めました。


 僕それ見て、何して遊ぶか思いついたよ。鬼ごっこ。みんなで鬼ごっこしようよ。

 僕がそう言ったら、みんな良いよって。向こうに飛んで行っちゃったドラゴンさん達は後で一緒に遊べば良いよね?


 最初に誰が鬼するか決めます。みんなでじゃんけん。じゃんけんは僕とカイン君がドラゴンさん達に教えてあげたんだよ。ドラゴンさんがおしっぽをぴんっ!て伸ばしたらチョキで、お羽をバッて開いたらパー、お座りしたらグー。

 

 僕達はガルダーに乗るから、ガルダーがじゃんけん。ラッセルにぃにはケイトルスに乗って、ダレルにぃにはアロンに乗せてもらいました。


「じゃんけんぽんっ!」


 僕が言うとみんなが動きます。ガルダーは最初はグー。他のドラゴンさん達もバラバラ。次!


「あいこでぽんっ!」


 次もバラバラ。その次もバラバラで、全然じゃんけん終わりません。


「む~」


「エリアス、これじゃなかなかじゃんけん終わらないぞ」


 ラッセルにぃにがそう言ったら、パーシバルおじちゃんがみんなの真ん中に立ちました。


「いいか! 俺もジャンケンをするから、俺に最後まで負けた奴が鬼だ! いくぞ、じゃんけん、ホイっ!」


 パーシバルおじちゃんはグー、ガルダーはチョキだったから負け、にぃに達は2人とも勝ち。半分くらいのドラゴンさんが逃げて行きます。

 次にパーシバルおじちゃんはパーを出しました。ガルダーはグー。またまた負け。ぷるちゃん達と一緒に応援します。


「ガルダーがんばって!」


『ぷるる!!』


『がんばってぇ!』


『ギャウギャアっ!!』


 おじちゃんがチョキ出して、ガルダーはグー出します。やったぁ! ガルダーに勝ち! ガルダーが走り始めました。早く遠くに逃げなくちゃ。もうみんな端っこまで逃げちゃってます。


 パーシバルおじちゃんが鬼ごっこ決めた時、柵から出ちゃダメって言いました。それからお空飛ぶにもダメ。

 僕達が乗ってお空でも鬼ごっこして、たくさん動いちゃったら、僕達落ちちゃうかもしれないから。お約束です。


『ぎゃう?』


『どっちの端っこ行く?って。右? 左?』


 う~ん、最初はラッセルにぃにがいる方に行こうかな。ラッセルにぃにはドラゴンさんに乗らない鬼ごっこはとっても上手です。全然鬼さんにつかまらないの。ドラゴンさんに乗ってても上手かも。きっとにぃにの後ろにいれば、僕達も大丈夫だよ。


「ラッセルにぃにのほう!」


『ギャウン!!』


 ドタドタ。お空飛ばないお約束だから、ドラゴンさん達が早く歩くと、たまに地面に足跡がつきます。大きな足跡。さっきドラゴンおじさんが、お花いっぱい咲かせたから、お花踏まないように歩くの大変だって。でも歩くの上手です。お花全然踏まないんだよ。


 僕達が逃げてから3回パーシバルおじちゃんがジャンケンして、最初の鬼さんが決まりました。最初の鬼さんはマクマスターです。

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