第25話怖いマクマスター?

『ガウガウガァ!』


『行くよっだって』


「みんなにげて!」


 僕がそう言ったら、みんながいろんな方向に走り始めて、マクマスターも走り始めます。


「おおお!?」


 僕ビックリ。ぷるちゃんもビックリして体がブルルルルって揺れてて、ウルちゃんもお毛々がブワってなってます。ムーちゃんはお羽バタバタ早く走ってって。

 マクマスター走るの、とっても早いんだよ。みんなはドタドタバタバタ。でもマクマスターはシュシュシュッ!! 走るんじゃなくて飛んでるみたいに音がして、すぐに1番近くにいたドラゴンさんを捕まえちゃいました。


 それから今度は僕達の方に走ってきます。走りながら2匹目、さんびきめ。どんどん捕まえて行っちゃって、僕バシバシガルダーの背中叩いちゃいました。


「ガルダーにげて!」


『ギャウゥゥゥ!!』


『マクマスターは走るのが1番早いんだって』


『ぷゆゆゆん!』


『早く!』


『ガウガァ!?』


『うん! お顔もなんか変だね』


 ガルダーが右に走り始めます。ムーちゃんがマクマスターのお顔変って言ったでしょ。とっても楽しいそうでにっこりお顔なんだけど、でも少し変です。うんとね、ニヤってお顔もしてるの。

 

 ガルダーが走りながら教えてくれます。マクマスターは追いかけるのが好きなんだって。お仕事で森に行って悪いことする魔獣を捕まえる時も、街で悪いことする人を捕まえる時も、笑いながら捕まえるんだって。

 

 あっ、また捕まっちゃった。捕まえた後もニコニコ、ニヤってお顔のまんまです。それもガルダーが教えてくれました。

 マクマスターは悪い事した人を捕まえて、お城まで連れてきたり、冒険者ギルドまで連れて来た後も、ニコニコのまんまです。それでニコニコして悪い人達にお仕置きするのが好きなんだって。

 

 今は捕まえたドラゴンさん達にしっぽ咥えて、ぽ~んってドラゴンさん達のお家の方に投げちゃってます。それで投げられたドラゴンさん達が重なってお山みたいになってるの。


「わわわ!? ガルダーきた!」


 どんどん僕達の方に近づいて来ます。僕達は左、ラッセルにぃには右に逃げました。マクマスターは僕達の方に走って来ちゃったんだ。

 ダダダダ! ガルダーが一生懸命逃げてくれるけど、もうすぐしっぽの所まで来ちゃいます。そして…。


 パクッ!! しっぽ咥えられちゃいました。それでマクマスターが僕達にしっかりガルダーに掴まってって言ったから、みんなでぎゅうって掴まります。

 ふわってガルダーが浮いて、クルクルクル。回りながらドラゴンさん達のお家の方に飛んでいきます。ガルダーがお羽広げてくれてるから、ゆっくりクルクル飛んで、すとん。ドラゴンさんのお山の上に乗っかりました。


 ガルダーが下りてって。だから僕達ガルダーから下ります。パーシバルおじちゃんが下りるのお手伝いしてくれました。

 僕達が下りたらガルダーはお山の上でバタン。お顔つけてダラってします。捕まったってことだって。僕達の負け。

 僕達は捕まっちゃったけど、まだにぃに達は捕まってないから、にぃに達を応援です。


「にぃに、がんばれぇ!!」


 マクマスターが今度は他のドラゴンさん捕まえながら、ラッセルにぃにの方に走っていきます。そのうちにダレルにぃにが反対の方に逃げて、あっ! ケイトルスのおしっぽ咥えられちゃった。

 クルクルクル。僕達みたいに、ラッセルにぃにとケイトルスが回りながら飛んできます。それでお山の上に下りました。


 他のドラゴンさん達も捕まっちゃって、1番最後がダレルにぃにとアロンでした。でもアロンもすぐに捕まっちゃって。ドラゴンさんのお山の上に。あ~あ、すぐに鬼ごっこ終わりです。


「はははははっ、マクマスターが鬼だったからな。そりゃあすぐに終わるだろうよ。ほら、もう1度ジャンケンしてやれば良い」


 パーシバルおじちゃんがまたみんなとジャンケンしてくれます。次はルーリーが鬼です。ルーリーはバタバタ追いかけて来て、マクマスターよりも長くみんな逃げられました。僕達さっきよりも長く逃げられたんだよ。


 次! 次は僕達が鬼です。ジャンケン負けちゃったの。みんなが逃げるの待って、よし出発!


「だれつかまえる?」


『ぷるる!』


『エリアス見て! 向こうにいるドラゴンお座りして、僕達の方見てないよ!』


『ギャウギャ!!』


『あのドラゴンからにしようって』


「うん! ガルダー、あのドラゴンさんから捕まえに行こう!」


 ドタドタ。よそ見してたドラゴンさん、ちょうちょ見てたみたい。僕達が来てビックリしてすぐに逃げたけど、ガルダー頑張って走ってくれて、最初のドラゴンさん捕まえてくれたよ。

 

 あのね、パーシバルおじちゃんが、僕は小さいからドラゴンさん捕まえたら、そのドラゴンさんと一緒に他のドラゴンさん捕まえて良いって。だから今ドラゴンさんと一緒に、また他のドラゴンさん達を捕まえます。


 捕まえたドラゴンさんが追いかけてくれるから、だんだん鬼の方が多くなって、最後はみんなでマクマスター捕まえます。マクマスターはルーリーが鬼の時、なかなか捕まえられなくて、捕まんないで終わっちゃったんだよ。僕達が捕まえるんだ!


 みんなでマクマスターの所に行って、あれ? みんなどうして捕まえないの? みんな近くまで行って、逃げられないように周りにグルって並びました。

 あれ? みんなどうしたの? 捕まえると思ってたのに、みんな全然動きません。マクマスターはニヤって笑ってて。


「コレはダメだな。エリアス鬼ごっこはそろそろ終わりだ」


 パーシバルおじさんとウィリスさんが歩いて来て、マクマスターのお隣に立ちます。ウィリスさんがマクマスターのお頭なでなで。


「みんなマクマスターには、あまり余計な事しないんですよ。後が怖いですからね」


「エリアスに言っても分からんよな。良いかエリアス、マクマスターは捕まえなくても、みんなで囲っただけでそれで良いんだ」


「???」


 何で? 何で良いの? 何で?


『ぎゃうぎゃ!』


 ガルダーが鳴きました。


『エリアス、マクマスターは怖いから、捕まえない方が良いって』


 怖い? かあ様が怒ったときみたいって聞いたら、かあ様とは違うんだって。う~ん、良く分かんない。でも僕捕まえたかったなぁ。だって鬼ごっこだもん。


 僕がちょっとだけブスッてしてたら、マクマスターとウィリスさんがコソコソお話して、それからマクマスターが近づいて来ました。それで、僕だったら捕まえても良いっていました。ドラゴンさん達は嫌だけどって。

 ほんとう? 僕達はガルダーから下りて、マクマスターのお体に抱き着きます。


「マクマスター、つかまえた!」


『ぎゃうぎゃ!』


『つかまった~って』


 えへへへ。みんな捕まえたよ。


 鬼ごっこはこれで終わり。楽しかったねぇ。今度はカイン君がいる時にやろうね。あっ、でもマクマスターはどうしよう。鬼は良いけど、逃げるには誰も捕まえないから、う~ん、それも今度考えよう。

 

 マクマスターが僕のお洋服咥えて、ブランブラン。僕のこと運んでくれます。それから今度は、ドラゴンさん達が魔法とか、訓練してるところ見せてくれるって言いました。僕達はドラゴンさん達の魔法見るのも、訓練見るのも大好きです。でもドラゴンおじさんみたいに凄い魔法だと、かあ様が怒ってお外に出てきちゃうよ。


『大丈夫だって、いつもの魔法と訓練しかしないって』


「良いかエリアス、椅子に座ってるんだぞ」


 パーシバルおじちゃんが椅子から動いたら、魔法も訓練もやめちゃうって。そんなのダメ。僕達はドラゴンさんのお家の前に置いてあるお椅子に、ピシッて座ります。そのお隣ににぃに達が座って、ライオネルが後ろに立ちました。それから僕のお洋服掴んだんだよ。何で? 何で掴むの?


「気になさらないでください」


「僕は魔法見るの好き」


「俺は剣を使った訓練はだな」


 ダレルにぃには魔法が上手になりたくて、ラッセルにぃには剣が上手になりたいです。僕はねぇ、両方!! 


 最初はパーシバルおじちゃん達とドラゴンさん達が剣を使って訓練です。

 パーシバルおじちゃんがブンっ! おもいきり剣を振ります。僕達に見えない剣の攻撃、みんな攻撃が凄く速いから僕達見えないの。

 でも見えない攻撃でも、ヘッドはちゃんとよけたり、剣を咥えちゃったり。僕達みんなで拍手です。

 パーシバルおじちゃんの次はヘッドが攻撃です。

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