第40話突然の襲撃(ヴィック視点)
「ライオネルどうだ?」
「あちらはすべて片付きました。後は確認に行った騎士たちの報告待ちに」
「そうか。被害の状況は」
「けが人は多数出ていますが、死人はまだ確認されていません」
「良いか、壊れた壁の修復を急げ。外に出ている騎士以外を見張りに。少しでも異変を感じたら知らせるように伝えろ。どんなことでもいい」
「はい」
ライオネルが部屋から出て行く。部屋に残ったのは私と、たまたま街に来ていた父さんの元部下の、ポアロ殿とウルバー殿だ。お2人が居てくれて本当に助かった。
私とライオネルが街に戻って来てすぐ、お2人が屋敷を訪ねてきた。たまたまこの街に来たからと、父さんがいるかと思い寄ってくれた。
父さんの元部下のポアロ様は魔法騎士の団長を、ウルバー殿は騎士団の団長をしていた。その上に立っていたのが私の父さんだ。
父さんが居ないと知ると仕方ないと、また遊びに来るといい、すぐに街から立とうするお2人。が、ここで予期せぬことが起こった。
突然街の見張り台から魔獣の襲撃を知らせる鐘の音と、風魔法による避難警報の爆発音が聞こえたのだ。慌てて屋敷の1番高い所まで上がり、街の様子を確認する。街では火の手など上がっている様子はなかったが、街の壁の少し向こう、土気塗りが上がっていたのだ。
それと同時に、2匹のドラゴンが飛んでくるのが目に入る。
どんどん近づいてくるドラゴン。良く見るとドラゴンに乗っている1人は良く知っている人物だった。
私の友人にアイガーという男が居るのだが、その弟がドラゴン騎士として国に仕えていた。名前はカルソーイ。カルソーイ達は私達に気づいたのか、一気に私達の所まで飛んできた。
「ヴィック兄貴!!」
「カルソーイ、どうしたんだ! 一体何が起こっている!!」
「オークの群れだ!! それにトロルも群れまで! 本体の群れは別の方へ向かっているが、一部がこの街に向ってる!」
「何だと!!」
それを聞いたお2人が、
「ヴィック! 魔法騎士の半分をワシが見よう」
「ワシも出るぞ! 今すぐ騎士を集めよ!」
「ありがとうございます」
私はライオネルに頷くと、ライオネルが光り魔法を放つ。それが騎士が集まるサインになっているのだ。緊急時、先ず各自の配置されている場所へ。門を守る者達、壁に上り、見張りと攻撃に備える者達。いろいろあるのだが、他の者達は私の命令、そしてその後は各隊長に従う。
「集まる場所は変わらんな!」
「はい! 街の広場です!」
「よし!」
お2人が動き出す。
「兄貴俺達もここで戦う」
「お前達はすぐに城に戻れ!」
「いえ、ヴィック様」
もう1人の知らないドラゴン騎士が話してきた。カルソーイと同じ歳位か?
「私の名前はククイと申します。あのオーク達のスピード、今から私達が行っても先頭には追い付きません。どこに向かうかハッキリ分からないのなら、少しでもここで数を減らした方良いかと」
私は少し考える。確かに少しでも群れはつぶした方が良い。もし城の方に群れが向かったら? ドラゴン騎士達に、そして今あそこにはヱン様が。なんとかヱン様が手を貸してくだされば、すぐにやられてしまう事はないはず。
追いかけて何もできないのなら、出来る限り今ここで群れをつぶした方が、向こうのためにもなる。
「よし、頼む。カルソーイ達はやるらが来たら空から攻撃を」
「兄貴見てくれ」
カルソーイの言った方を見れば、遅れて後3匹のドラゴンが飛んで来ていた。
「俺達、5組で動いてたんだ。ここに来るまでにもかなり倒して来たんだ。空の方は任せてくれよ」
「そうか、では空はお前達にすべて任せる。なにかあればすぐに報告を。それとアポロ殿とウルバー殿がおられる。私と連絡が取れなければお2人に報告を」
「分かった!! こいつらに水と食べ物を食わせたらすぐに」
「ああ。頼むぞ!」
カルソーイ達が飛んでいく。それを確認した後、すぐに私も広間へ向かう準備を。騎士の格好に着替え、ライオネルを連れて広場へと向かった。
それから少しして、奴らは土煙だけ見えていたものが、オーク達の姿を確認できる距離まで迫って来た。
そこから私の予想よりもかなり酷いものだった。こんな数のオークやトロルの群れは初めてだった。これが本体ではなく、はぐれた群れだろは考えられないくらい位の群れで、アポロ殿達、そしてカルソーイ達ドラゴン騎士たちが居なかったら、この街はすべてが破壊され、私達は生きてはいなかっただろう。
何とか群れをつぶすことに成功し、今私達は、生き残っタオーク共やトロル共を、倒しているところだ。森や林に逃げたオーク共もいるが、まだしつこく私の街を破棄しようとしている奴も残っているからな。完全に安全が確認できるまで、まだmだ時間がかかるだろう。
「それにしても何が起こっているのか」
「ワシ等でもこれだけの群れは見たことがない。しかもこれが本体ではないとは」
「本当にお2人が居てくださり助かりました」
「まだ気を抜くではないぞ。木を抜いた瞬間、奴らは襲ってくる」
「報告にもよるが、おそらく後数日は警戒しなければならんじゃろう。落ち着き次第、物資の確認をすりのじゃぞ」
「はい」
そんな話をしているときだった。
ガシャアァァァァァァンッ!!
いきなりなどが割れ、何かが部屋の中に入って来た。
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