第18話氷のボールとたくさんご挨拶
ゴロンって倒れたムーちゃん、お口からちょっとだけボワって火のボールが出ました。その火のボールが天井にどんどん近づいていきます。
「シェーラ!!」
「はい! 奥様!」
かあ様がふわふわヒラヒラのスカートをお手々で掴んで、ジャンプして僕の前に立ちます。そのあとすぐにシェーラもジャンプして魔法を使います。
シェーラは氷の魔法がとっても上手。フサアァァァァァッ!! ムーちゃんのお口から出た火のボールがどんどん凍っていって、全部凍ったら今度は下に落ちてきました。
僕の前に立ってたかあ様がまたジャンプして、落ちてきた氷のボールの方に行って。バシュッ!! 大きな音がして氷のボールが無くなって、キラキラキラって綺麗なキラキラが降ってきました。
かあ様が氷のボールを蹴ったみたい。かあ様は魔法も上手だけど、蹴るのも上手です。蹴って魔獣倒しちゃうんだよ。僕はかあ様の蹴ってるところ見えません。早くて見えないの。かあ様凄いねぇ。
僕達みんなで拍手です。ムーちゃんも拍手してたから、見えたの?って聞いたら、ムーちゃんはかあ様が蹴ったの見えたって。それからかあ様の真似して、ムーちゃんも蹴る真似します。真似して後ろに転んでました。
「何をしているの!!」
かあ様が僕達の所に来て、大きなお声で怒りました。僕達拍手したのに…。
「静かに遊びなさいって言ったでしょ! いろいろ壊すところだったわ! それに怪我したらどうするの! もう、かあ様達がお着替え終わるまで、ベッドの上に座ってなさい。ベッドから下りちゃダメよ!」
かあ様がふわふわボールも、硬いボールも、どっちも箱にしまっちゃって、僕のことベッドに乗っけます。
ベッドから下りたら、お菓子買ってくれないって。おもちゃも。僕達集まってみんなで座ります。
お菓子もおもちゃも買って貰えないのはダメ! でもかあ様達のお着替え遅いんだもん。つまんない。
ねぇってみんなでやってたら、かあ様がこっち見たから急いでピシッて座ります。
それからもずっと待って、やっとかあ様達のお着替え終わりました。シェーラがとう様達を呼びに行きます。
お部屋に入ってきたにぃに達が、やっと終わり? ってかあ様に言います。ほらみんなそう思ってるんだよ。
「ラッセル、ダレル、女性の着替えは女性の仕事だと思いなさい。とう様も時々そう思うこともあるが」
「あなた?」
「い、いや何でもない。さぁ、用意ができたなら確認して移動だ」
とう様が使用人さんに何かお話します。使用人さんはどこかに行っちゃって、すぐにガスターが来ました。ガスターは王様じぃじのこといつも怒ってる使用人さんです。
「よろしいですかな? エリアス坊っちゃまも準備はよろしいですか?」
「はい!!」
僕がお返事したら、みんなも一緒にお返事です。
廊下をみんなで歩いてる時、とう様がちょっと部屋の中が涼しくなかったかって、かあ様に聞きました。かあ様が氷のボールを壊したからだよ。僕がとう様に教えたら、とう様が僕とムーちゃん見て、それからかあ様を見て大きな溜め。
僕達が行った所は、大きなお部屋に入る大きなドアの前でした。王様じぃじがカッコいいお椅子に座ってるお部屋です。
とう様が入る前にご挨拶の練習って言いました。このお部屋に入って、王様じぃじにご挨拶する時は、いつものご挨拶と違うんだよ。しゃがんで片方の足はしゃがまないで、それからお胸にお手々つけて、それから頭をこてんって下げるの。
ちょっと難しいご挨拶で、僕時々よろよろしちゃいます。
「いいか中に入って挨拶が終わったら、とう様とかあ様、陛下、誰かがお話しても良いって言うまで、話してはダメだぞ」
「は~い!」
「はぁ、とう様は心配だよ。部屋でも何かやらかしたみたいだし」
練習が終わったらドアがガチャンって音がして、騎士さんが2人、お部屋から出てきて、ドアの前に立ちました。
とう様達がピシッて立って、僕は1番後ろに並びます。ダレルにぃにとムーちゃんとお手々繋いで、ぷるちゃん達はいつもみたいに頭の上。
でもドラゴンおじさんは並ばないでふらふら。僕が並んでって言ったら、面倒だって言って、お部屋の中に入って行っちゃいました。
とう様はとっても慌ててドラゴンおじさん止めたけど、全然ドラゴンおじさん止まりません。お部屋の中から、ザワザワお声が聞こえてきました。すぐにとう様が歩き始めます。
中に入ったら、やっぱり王様じぃじはカッコいいお椅子に座ってて、そのお隣にレイトンおじさんが立ってます。王様じぃじ達の前には階段があって、階段を下りたら所に、人が何人も立ってました。
あっ! モーリスじぃじとドジーおじさんだ! 知ってるじぃじやおじさんも立ってます。モーリスじぃじはじぃじのお友達で、ドジーおじさんはとう様のお友達です。たまにお家に遊びに来てくれて、僕達と遊んでくれるの。
僕は周りをキョロキョロ。ドラゴンおじさんはもう階段のところまで歩いてました。
それから階段の所に立ってる人達ちょっと変です。モーリスじぃじとドジーおじさんは笑ってるのに、他の人はビックリしたお顔とそれから怖いお顔してます。
僕達は階段の下の所よりちょっと遠くに立って並んで、特別なご挨拶。すぐに王様じぃじが立って良いって言いました。良かったぁ。転ばなかったよ。僕達がご挨拶してる時もドラゴンおじさんは、あっち見たり、並んでる人達見たり。
僕達が立った時、さっき怖いお顔してたおじさんが、ドラゴンおじさんに怒鳴りました。
「そこのお前、無礼ではないか! 勝手に入り挨拶もせず、どういうつもりなのだ!! 今日はエンシェントドラゴンのエン様をお迎えする日なのだぞ!!」
いっぱい怒鳴るおじさん。最初ドラゴンおじさんは怒鳴ってるおじさんのこと、知らん顔してたけど、少しして怒鳴るおじさんの方を見ました。
そしたら今まで煩かったおじさんが急に怒鳴らなくなって、それからひって言って、お座りしちゃいました。
「煩いぞ、少し静かにしていろ。それにしても我が来ないうちに、だいぶいろいろ変わったようだな」
王様じぃじが立って、ドラゴンおじさんの前に来てご挨拶しました。それから静かになってお座りしてるおじさんに、ドラゴンおじさんのことご紹介します。
「ルドルフや。其方がドラゴンを崇め、信仰しておる事は分かっている。そしてこの場に相応しくないと考え、対応してくれたことには感謝するが、こちらがエンシェントドラゴンのエン様じゃ」
怒鳴ってたおじさんのお名前はルドルフでした。王様ジィジにご紹介してもらって、またルドルフおじさんがひって言ってから、今度ははぁ~って床にべったりくっついちゃいました。忙しいおじさんだね。
とう様やかあ様みたいに、大人の人はたまにあの格好します。僕街で見たことある。うんとね、冒険者ギルドのドアの前とか。
前かあ様に何であんな格好してるの? って聞いたら、でんぐり返しの練習だって。それからあんまり見ちゃダメって言われました。
僕のでんぐり返しの格好とそっくりです。僕まだでんぐり返し上手にできません。まっすぐじゃなくて、横に転がっちゃうの。大人になってもできない人がいるんだね。ルドルフおじさん、もう少し頭をお腹の方に入れると、もしかしたらでんぐり返し返しできるかもしれないよ。
僕が小さなお声でにぃにに言ったら、かあ様が振り返ってしって。とう様も振り返って、僕にメってしてきます。
『小さい頃に話した事そのままね。そろそろちゃんと教えないとダメかしら』
王様じぃじは、みんながドラゴンおじさんがドラゴンだって分かるように、変身してほしいって言いました。ドラゴンおじさんがこの前みたいに光り始めて、この前よりも小さいドラゴンさんに変身です。立ってた人達がおぉ~って言いました。
それから今度はムーちゃんのこと見てきました。ムーちゃんがみんなにお手々振ります。それからすぐに嬉しくて小さな炎を吹いちゃいました。ムーちゃん嬉しいと、たまに炎吹いちゃうんだ。
王様じぃじがムーちゃんのご紹介もしてくれます。それで僕達のご挨拶は終わりだって。とう様とかあ様とじぃじはまだお話があるから、ばぁばと一緒ににぃに達とみんなでお部屋に戻ります。
これで終わり? 僕せっかくカッコいいお洋服に着たんだよ。ばぁばにそう言ったら、僕また後で王様じぃじに会うんだって。それまでこのお洋服着て、お部屋で静かにとう様達を待ってましょうって言いました。
うん! 僕静かにとう様達待ってるよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます