第21話美味しいお花
「エン様、何用でしょうか?」
『ムー達がそこの花を食べたいと言っている。良いだろう?』
「花ですか?」
王様じぃじの所に行ったとう様が王様じぃじにぷるちゃん達のこと、お話来てくれます。美味しいお花食べちゃダメかな?
「そういう事か。エン様どうぞ。好きなだけムーに」
『よし、エリアス!』
ドラゴンおじさんが僕を呼んだから、急いでおじさんの所に行きます。ムーちゃんと一緒にドラゴンさん達のお話が終わるまで、お花食べても良いって。でも静かに遊んでなさいって言われました。
僕はムーちゃんとお手々繋いで、ぷるちゃんが見つけたお花の所に行きます。
着いてよく見たら、僕のお家に生えてる美味しいお花も咲いてて、ここに咲いてるのは美味しいお花ばっかり。ムーちゃんが食べるの失敗しちゃっても大丈夫です。
でもお城に咲いてるお花はお城に来ないと食べられないから、僕のお家に咲いてるお花食べる練習してから、お城のお花たべようって決まりました。
うんとね、ラッセルにぃにがその方が良いって言いました。にぃに達もお花の所に来たの。一緒にお花食べるって。
「かあ様が、お前たち見てろって」
「ぼくたち、おはなたべるだけよ」
「それが危ないって」
ん? お花食べるだけだよ?
みんなでお花を取って、コップみたいに持ってコクコク。ムーちゃんもちゃんと蜜を飲めました。もう1つ取ってコクコク。今度もちゃんと飲めました。うん、ムーちゃん大丈夫です。
次はお城のお花。このお花は蜜飲んだあとにお花も食べられるの。さっきのお花は蜜は美味しいけど、お花はとっても苦くて食べられません。このお花はお花もとっても甘くて美味しいの。って、ぷるちゃんとウルちゃんが言いました。
何で2人とも知ってるのかな?
お花を取って僕ビックリです。お花取ったら花びらの所が固くなっちゃったの。本物のお花のコップみたいになっちゃいました。
お花のコップから蜜をコクコク。僕のお隣でパリッて音がしました。見たらぷるちゃんはお花を溶かしてて、ウルちゃんがパリパリお花食べてます。
僕とムーちゃんはそれ見て、マネしてお花をパリっ!
「ふわ、ふわわ!」
凄い、お花がお菓子になっちゃいました。クッキー見たいです。にぃに達も食べてびっくりしたお顔してます。
「何で今まで気づかなかったのかな?」
「お城に何回も来てるのにね」
にぃに達もこのお花知らなかったんだって。美味しいからバリバリ食べてるよ。
どんどんお花を取って、お花を食べて、だんだんと向こうの方に歩いていきます。かあ様が柵からは出ちゃダメよって叫んでます。
『ガウガウ』
あれ? いつ来たの? いつの間にか僕達の後ろに2匹ドラゴンさんが居ました。僕達はすぐにドラゴンさんにご挨拶です。それからウルちゃんがドラゴンさんとお話します。このドラゴンさん達もお花一緒に食べたいんだって。じゃあみんなでお花食べよう。
『ガア~ウガウ』
『ほんと? エリアス!」
ウルちゃんがドラゴンさんとお話した事教えてくれます。ドラゴンさんはお友達になったドラゴンさんじゃないと言葉が分かりません。ムーちゃんはお友達になったけど、まだ赤ちゃんだからお話できないの。
この美味しいお花は。ドラゴンさん達がどこかの森にお出かけした時に種を持ってきて、種を植えて育てたお花なんだって。普通のお花はお水で大きくなるけど、このお花は魔力を使うと大きくなります。だからドラゴンさんが毎日お花に魔力をあげるんだって。
それから大きくなるのもとっても早いです。3回寝ると大きくなるからすぐに食べられるようになるんだって。
茎を残しておくと、そこからまたお花が咲くから、そのまま茎は取らないでねって言われました。
『ガウガ?』
『エリアスも僕もぷるちゃんも、まだ魔力使えないの』
『ガウガウ?』
『うんとねぇ、ドラゴンおじさんがお手伝いしてくれたの』
何のお話してるのかな?
みんなで蜜を飲んでお花を食べて、後ろ向いたら、また他のドラゴンさんが僕達の後ろにいました。またまたご挨拶です。何かどんどんドラゴンさんが集まって来るね。ドラゴンおじさんとお話しなくて良いの?
それでまた少し経ったら、またドラゴンさんが増えて。ドラゴンおじさんの所にいたドラゴンさんの半分のドラゴンさんが、僕達の所に来ちゃいました。僕はとっても嬉しいけど、ほんとにおじさん怒らないかな?
『ガウガウ!』
『グワグワ!』
『ほんとう?』
「なんていってるのぉ?』
いつもは誰かが夜、お花に魔力あげるんだけど、今日はムーちゃんとドラゴンおじさんが来てくれた日で、それから僕がムーちゃんとお友達になったお祝いだから、みんなで魔力あげて、すぐにお花咲かせてくれるって。
「ありがと!」
みんなで少し後ろに離れます。ラッセルにぃにがとう様達の所に走っていきました。急がなくっちゃって。お花咲くところ見なくて良いのかな?
ドラゴンさん達が1列に並んでお手々を上げます。それからお羽を広げて。そうしたらふわふわって風が吹き始めました。
*********
『どうだ。うちの息子は』
『さすがエン様の子供です! 凄い魔力を感じます!』
ここのドラゴン達は皆、人間と仲良くしているドラゴン達だ。我の息子ムーのことを頼むには、ちょうど良いだろう。
何故かよく分からないが、我までグロリアに勉強する様に言われてしまったが。
初めて姿を見せてその数日後、お城での事について話を聞いていた時、グロリアにいつものように怒られてしまった。我が消えると言った時だ。我が消えるのは本当の事、だからそれを言ったのだが。
「エン様、子供の前で消えるなどという事は言ってはいけません! 子供は親の愛情のもと、どんどん成長していくのです!」
我にとってはたかが10年。しかし人間にとっての10年はかけがえない物だと。10年もあれば、どれだけ子供の成長を見守る事ができるものかと言われた。無責任な事を言うなと。
「確かにムーちゃんには勉強も大切でしょう。エン様のお子様なのですから。ですがそれ以上に大切なものは親の愛情です」
ムーが勉強が上手くできた時、良い事をした時、そういう時には親の私が褒め、もし悪い事、いけない事をすれば怒る。それは他人がするものではなく、親の私がするものらしい。
我の時はどうだった? あまりに昔に事で完全には覚えていないが、確か私は森の中を彷徨っていて、そこで初めて会ったアースドラゴンに、生き方を教わったな。親ではなかったが、いろいろ教えてもらった事を覚えている。
そういえばあのアースドラゴンも我を褒めたり叱ったり、いろいろしていたな。我は何故怒るんだと文句を言ったのを覚えている。しかし成長して、その怒った理由が分かると、アースドラゴンの存在は我にとって、とても大きいものになった。
あれとグロリアに言うものは一緒か? 我にアースドラゴンがいたように、今のムーにとってその役目をするのが我なのか? そう考えたら何故か心がスッキリした。
「それにエン様。親にとって1番大切なのは、たとえ時間が限られていたとしても、最後の最後まで子供の側にいて見守る事です。手を離してはいけません」
それにと続けるグロリア。
「もしかしたら10年以上、生きられるかもしれないではないですか。10年と決めつけて、勝手に子供から離れるなんてそれはいけません。できるだけ長く、その気持ちも大切です。長く生きられればそれだけムーちゃんの成長を見守れるのですよ」
グロリアの話を聞いた夜、ずっとその話について考えた。そしてムーの側で成長を見守ることに決めた。
決めたのだが…それを話すと、次の日から我の訓練が始まってしまった。グロリアはこの屋敷で暮らす誰よりもしっかりした人間だが、少しやり過ぎではないかと我は思うのだがどうだろう?
『エン様、エリアス達の所へ行っても良いですかぁ?』
『ん?』
『ムー様の勉強には、若いドラゴンよりも、我々のような歳のいったドラゴンの方が良いと、我々で話し合っていたもので』
これからの事について話すのならば、今声をかけてきたドラゴン達は、遊ぶ担当になるであろう自分達は、話し合いよりも早くエリアス達の所へ行きたい、という事らしい。我が許可すると、ドラゴン達はさっさとエリアス達の所へ行ってしまった。
それからも少しずつドラゴン達がエリアス達の所へ移動して行き、結局半分くらいのドラゴン達が行ってしまった。何だかんだ言って遊びたいだけではないのか?
そして我々の話が終わりそうになった頃、エリアス達の方で、ドラゴン達が一斉に魔力を使った。
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