第13話かあ様のぬいぐるみと土砂崩れ
お城までは8日くらいでいつもつくの。ちょっと小さい街でお泊まりしたり、大きな街でお泊まりしたり。お泊りする街に早く着くと、とう様もかあ様も、お店に連れて行ってくれます。
でも僕達が煩くしたり、馬車を動かしてくれてる人のお邪魔しちゃうと早く着かなくて、遊べなくなっちゃうの。だから馬車の中にいるときは、静かにみんなで遊びます。かあ様が足の所にカバーとクッションを置いてくれて、僕はそこに座って遊べるんだ。ぷるちゃんもウルちゃんもクッション持ってます。
この前かあ様は、いつもクッションとか、ベッドのお布団とか作ってくれるセイルおじさんに、ムーちゃんのクッションを作ってってお願いしてくれました。お出かけする前の日に、そのクッションをおじさんが持ってきてくれて、ムーちゃんとっても喜んでおしっぽブンブン振って、さあ様の大切な花瓶割っちゃっいました。
ムーちゃん逃げたけど、すぐにかあ様がムーちゃん捕まえて、たくさん怒られちゃったんだ。
ムーちゃんのクッションは青色で、真ん中にムーちゃんとおんなじお月様の模様が描いてあります。ぷるちゃんのは水色でスライムさんの絵が描いてあって、うるちゃんは白色でウルちゃんの絵が描いてあります。
僕のはねぇ、僕のクッションも新しく作ってもらったんだ。色は黄色で、ぷるちゃん、ウルちゃん、ムーちゃんの絵が全部描いてあるクッションなです。えへへ、良いでしょう。
今日は馬車に乗って4回街でお泊まりしたから、あと半分でお城まで着きます。でもね。
「それにしても今日は珍しく他に人が居ないな。馬車もいない」
「そうね。誰も居ないなんて珍しいわね。でもそれよりも、さぁエリアスちゃん、ちょっとお片付けしましょうか。もうすぐ山の道に入るから、お片付けしてお椅子にちゃんと座りましょうね」
大きなお山が1つあって、ちょっと道がガタガタです。前にお城に行った時お山の道でおままごとしてたら、みんなでゴロゴロ、おままごとのお道具もゴロゴロ転がっちゃったんだ。だからお山の道はちゃんとお椅子に座って、ゴロゴロしないようにします。
でもずっとお山の道。僕つまんない。ぷるちゃんもウルちゃんもおんなじ。ムーちゃんは…多分つまんなくなるよ。
「エリアスちゃん大丈夫よ。街までかあ様が良いもの見せてあげるわ」
かあ様がそう言って、かあ様の横に置いてあった鞄の中をガサゴソします。鞄から出したのは、うさぎさんのぬいぐるみと、リスさんのぬいぐるみ、それから小さい木の実のぬいぐるみでした。
でもうさぎさんとリスさんはちょっと変なの。お体のところがぺっしゃんこです。僕のうさぎさんのぬいぐるみはワタがいっぱい。
僕達じぃーて、ぬいぐるみさん見ます。かあ様が鞄をまた横に置いて、急にぬいぐるみさんのお体の中にお手々を入れました。そしたらぺしゃんこで、だらんってしてたぬいぐるみさんのお体が膨らんで、それからお手々もぴんってなったの。
「こんにちわ、僕はうさぎのうさです。俺はリスのリッツだぞ」
お母さんがお話すると、うさ君とリッツ君がお手々動かしたり、お顔が動いたり。面白い!
僕達座ってたけど、かあ様に駆け寄っちゃいました。だって動くぬいぐるみ初めて見たんだもん。僕の大切なうさぎさんのぬいぐるみは大好きだけど、このぬいぐるみさんも好き!
「かあさま! かあさまがうごかしてるの!?」
「そうよ。今からかあ様がこの子達を動かして、お話してあげるわ。さぁちゃんと座って、そうしないとお話してあげないわよ」
そう言われて、慌ててお椅子に戻ります。
かあ様はお山を走ってる間、ずっとうさ君とリッツ君を動かしてお話してくれました。うさ君達、お手々で木の実のぬいぐるみも持てるんだよ。凄いねぇ。
どんどん馬車はお山を登っていって、僕お話聞いてたら眠くなってきちゃいました。かあ様がお昼寝してからまたうさ君達のお話してくれるって。だからとう様に抱っこしてもらって、みんなも僕の周りに集まって、こっくりこっくり。
ガタタンッ!!!
寝てたら突然馬車が大きな音がして、ガタガタって凄く揺れました。とう様がぎゅうって僕のこと抱きしめます。僕お目々擦りながらお顔上げます。
「とうさま、なぁに?」
「なんだろうな? 良いかエリアス、大人しくしているんだぞ」
「エリアス様!!」
「どうした!!」
コステロにぃにのお声です。
「崖崩れです。それも大規模の!」
「今見に行く! 良いかエリアス、それにプル達も。本当に大人しくしているんだぞ。父様は少し外に出てくるからな」
とう様がガタンってドア開けてお外に出て行きます。
「かあさま、がけくずれなぁに?」
「そうね。エリアスちゃんはお庭でお山作ったりするでしょう。でも作ってる時に、お山が崩れちゃう時があるわね? それがこのお山でも起こったのよ。お山がねくずれちゃったの」
そっか。僕ねお家のお庭で泥のお団子作るの好き。お山作るの大好きなの。でも大きなお山作ってると、たまにお山がぐしゃって崩れちゃって、また作らないといけません。それとおんなじだって。
ガタンッ。お父さんが馬車に戻ってきました。
「あなたどう?」
「かなり酷い崖崩れだ。道が完全に埋まってしまっている。ドラゴン達がいるし、私達だけよりは早く何とかできるだろうが。それでもかなりの時間がかかるかもしれない」
「そう、じゃあ私も魔法で手伝うわ。エリアス達の事はラッセル達に…」
かあ様がお話してたら、ドラゴンおじさんがとう様の後ろからお顔出しました。それで僕達についてこいって。僕のこと抱っこして馬車から下ろして歩き始めます。
とう様が慌てて、僕達をお外に出すなって、ドラゴンおじさんに怒鳴りました。
「お前達に面白いものを見せてやる。それにそれをすれば、さっさと進む事ができるぞ」
面白いもの? 何だろう?
「本当だったら我が飛んで連れていった方が早いが、お前達が目立つなと言うし、確かに目立てば、ムーに余計な者達が近づいてくるかもしれんからな。まぁ、我らの事を発表した時点で目立ってはいるが」
コステロにぃにの所に着いたら、道の所が木や石や土でいっぱい。大きな岩もあって、道がなくなっちゃってました。
「よし、お前達はここで座って見ていろ。お前達もそこを退け」
面白いもの見れるんでしょう? 僕達ちゃんと座るよ。僕の隣にぷるちゃん達もちゃんと座りました。
ドラゴンおじさんが土砂崩れの所からみんなを離します。ガルダーとアロンにも離れろって言いました。ガルダー達が片付けてくれたところは、他の場所よりも道が見えてます。
「ふむ、変身を解かなくともいけるか?」
ドラゴンおじさんが土砂崩れの前に立って、右のお手々をあげました。どんどん手の掌の上に白い光が集まります。僕の後ろにいたとう様が僕の頭ぽんてしました。振り返ったらとう様変なお顔してます。
「嫌な予感がするのは私だけか?」
「あらあなたも? 私もちょっと嫌な予感がするわ」
とう様達どうしたのかな? ドラゴンおじさん面白い事って言ってたよ。僕楽しみなの。
どんどん集まった白い光は、僕よりも大きくなっちゃいました。それでドラゴンおじさんがウンウン頷いて、もう良いかって言ったの。
「エリアス、皆も一応耳を塞いでおけ」
耳を塞ぐ? お母さんがほらって、お耳にお手々つけてます。僕は真似してお耳塞いで、うるちゃんもムーちゃんもお耳塞ぎました。ぷるちゃんも。ぷるちゃんお耳どこにあるの? そこはお体じゃない?
みんながお耳塞いだの見て、ドラゴンおじさんが頷いて、でももうちょっとだけって言って、白い光がちょっとだけ大きくなりました。
「よし、こちらの方向で良いな」
ドラゴンおじさんが白い光を土砂崩れの所に投げました。
ダガアァァァァァン!!!!!!
お耳塞いでたのに、とっても大きな音です。それからとっても強い風が吹きました。僕達座ってたけど、どんどんお体が後ろに行っちゃって、
「お、おおおおお!?」
「エリアス!!」
転がりそうになっちゃった僕達を、とう様やかあ様、ライオネルが抑えてくれます。
「とうさまぁ!」
「そのまま耳を塞いでいなさい!」
なかなか風が止まりません。ドラゴンおじさんがぶつけた白い光は、最初は土砂崩れした所で止まってたけど、急にビュンッて進みます。そしてどこかに飛んで行っちゃいました。
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