第12話お城へお出かけの準備

「良いエリアスちゃん。クマさんのカバンと、この大きなカバンに入るだけ持っていくのよ」


「は~い!」


『ぷるるるん!!』


『ぼくたちはぁ?』


『ギャウギャウ!!』


「ぷるちゃん達はこっちの箱に入れて。でもいっぱいはダメよ」


 僕達これからお出かけの準備します。えっと、コルテロにぃにが、王様じぃじがとう様に書いたお手紙持ってきてくれて、お手紙にみんなでお城まで来なさいって書いてあったんだって。

 だからみんなでお出かけの準備です。


 お城までは馬車にいっぱい乗らないとダメだから、おもちゃとかぬいぐるみとか、絵本もたくさん持っていかないとダメ。

 僕の大好きなクマさんのカバンにはお菓子いっぱい入れます。それからうさぎさんのぬいぐるみは自分で抱えて持って、他のは大きなカバンにしまいます。大きなカバンは荷馬車に使用人さんが運んでくれるんだよ。

 僕が乗る馬車にも小さな箱が置いてあって、大きなカバンにしまってあるお荷物の中から、遊ぶ分だけその箱に入れてくれます。


 ぷるちゃんとウルちゃんも、大好きなおもちゃを箱に入れます。ムーちゃんは僕の遊ぶお部屋の中キョロキョロです。

 どうしたのって聞いたら、持っていきたい物いっぱいだって。


『ギャウギャウゥ』


『全部持っていきたいって』


「ぜんぶはだめよぉ? かあさまにおこられちゃう。こわいこわいだよ」


『ギャウゥゥゥ』


 ムーちゃんがお友達になって、とう様もかあ様も、ムーちゃんにいっぱいおもちゃやぬいぐるみ買ってくれて、僕達も買っても貰いました。

 ムーちゃんは買ってもらった物全部大好き。1番好きなのはドラゴンさんのぬいぐるみ。ムーちゃんそっくりなの。


 ムーちゃんが選べないって言ったから、僕達で選んであげる事にしました。

 ドラゴンさんのぬいぐるみは絶対って言ったから、それは僕がうさぎさんと一緒に持っていってあげるって。

 あとはムーちゃんのおままごとのお皿とお椀をしまって、それからボールも入れて。


 このボールはムーちゃんが初めて、街のお店通りに行った時に買いました。

 王様じぃじからお手紙が届いた時、お出かけの事じゃなくて、ムーちゃんがお家から出て遊んでも良いって、それも書いてあったんだって。


 だからすぐにみんなでお外に遊びに行きました。街を歩いてたら街の人達ムーちゃんを見てみんなにっこりです。

 僕が大好きなおもちゃのお店に連れて行ってあげました。

 

 えっとねぇ、ムーちゃんが最初に選んだのは、ふわふわのボールと、硬いボールです。

 ふわふわのボールは投げると、ふわふわふわってゆっくり飛んでいって、硬いボールはビュンッ!! って飛んでいくの。

 

 ムーちゃんはボール飛ばすのとっても上手です。ドラゴンおじさんは硬いボール投げて、お家の壁に大きな穴開けちゃって、かあ様とライオネルにとっても怒られてました。だからおじさんはもうボール触っちゃダメなの。


 ムーちゃんはそっとボールをおしっぽで飛ばして壁に当てて、僕達のところにボールが飛んでくるようにしてくれます。

 ふわふわのボールは自分の頭の上に乗っけたり、枕にして寝てるの。


 準備ができたら、すぐに使用人さんが荷物を運びます。出発はコステロにぃにのお友達のドラゴン騎士さんが来てくれたら。あとちょっとしたらお家に来るんだって。

 

 準備が終わったって終わったって、かあ様に言いにお部屋に行ったら、かあ様のお部屋の中お洋服がバァァァァって。かあ様とばぁば、シェーラの声は聞こえるのに、どこにいるのか分かりませんでした。


「かあさま、どこぉ?」


「あらエリアスちゃん、こっちよ」


 ん? どこ? 


「窓の方へ来て」


 棒にかけてあるお洋服の下を潜ったり、避けたり、あったかい大きなお洋服は、お洋服の中を通ったり、僕の後ろからみんなが付いてきます。窓が見えてやっとかあ様達が見えました。かあ様は窓のそばにある鏡見て、横向いたり後ろ向いて振り返ったり。

 

 かあ様もばぁばも、いつもお出かけの時大変。お出かけに持っていくお洋服選ぶんだけど、いつもお部屋がお洋服だらけ。

 とう様とかあ様はいつも同じお部屋で寝てるけど、お出かけ前はとう様は僕のお部屋に来て寝ます。ベッドの上もお洋服いっぱいだから寝られないんだって。


「かあさま、おわったぁ」


「良い子ね、ちゃんと1人で用意できて」


 お母さんが僕達の方見ます。


「あら、やだ! 大変、早く取って!!」


 お母が急に困ったお顔しました。ばぁばとシェリーが僕達の方見て、やっぱり困ったお顔して、かあ様達が僕達に所に来ます。


「もう、なんでこんなに母様のお洋服を、エリアスちゃん達が着てるの!?」


 お洋服? 着てる? かあ様が鏡の前に連れて行ってくれます。

 そしたら僕達、僕の頭の上にはかあ様の靴下が乗ってて、それからリボンもお肩に乗ってました、ウルちゃんのおしっぽには薄い白色のお洋服が引っかかってて、ぷるちゃんは下にスカート踏んでて、ムーちゃんは両方の羽に帽子が乗っかってました。


「あららぁ」


「あららじゃないのよ。洋服が切れたらだめでしょう?」


 ぱぱぱって、母様達が僕達からお洋服取ります。


 かあ様やばぁばはいつもお荷物がいっぱい。僕はクマさんのカバンと大きなカバン1つ。にぃに達もカバンは2つ。とう様とじぃじは…1つだけ。でもかあ様達はいつも大きな箱が6個くらい。お洋服だけだよ。他にもいっぱい。

 

 僕前にとう様に聞きました。どうしてかあ様達はお荷物がいっぱいで良いのって。だって、僕もたくさんおもちゃ持っていきたいもん。

 そしたらとう様が女の人達は、いろいろ大変なんだって。僕が大きくなったら分かるって言ってました。


「父様は前に母様に怒られたから、荷物の事は言わない事にしている」


 とっても嫌そうなお顔したとう様。怒られちゃうなら僕何にも言わない。でも、でもどうして僕が大きくなったら分かるのかな?


「かあさまぁ、おやつのじかん」


「もうそんな時間? いやねぇ、どうしてこう洋服を選ぶ時って、時間が過ぎるのが早いのかしら」


 かあ様達とお部屋から出て、今日はお庭でおやつの時間です。とう様もお仕事休憩って言って、じぃじもにぃに達もみんなお庭に出てきました。

 もうみんなお荷物の用意終わったって、あとはかあ様達だけ。


「あなた、あなたはもっと服装を考えて用意してもらわないと。後で私がもう1度確認するわ」


「私は正装と、普段着ている服がもう1着あれば十分だ」


「ダメよ、お城に行くのよ。はぁ、やっぱり私が用意しないとダメね」


 そう、とう様が用意するお荷物は1つ。でもかあ様が用意するとう様のお荷物は4つ。かあ様が用意するとどんどんお荷物が増えちゃいます。


 何日かして、ライオネルが準備ができたって言ったから、僕達荷馬車を見に行きました。そしたら荷馬車に荷物がぴったり埋まってました。ぷるちゃんは体が柔らかいから、狭くてもどこでも入れるのに、ぷるちゃんも入れないくらいぴったり。やっぱりかあ様達のお荷物が多いんだよ。


 またまたそれから少しして、お城からコステロにぃにのお友達の、ドラゴン騎士さんがお家に着きました。

 お家についてすぐにお父さんとご挨拶です。それからドラゴンおじさんとムーちゃんにも。


 僕もドラゴン騎士さんとドラゴンさんにご挨拶。騎士さんのお名前はホールさんで、ドラゴンさんのお名前はアロンです。

 アロンはドラゴンおじさんとムーにご挨拶した後、よく分かんないけどとっても喜んで、お空をぐるぐる飛んでました。


 お城に行くのは明日。とう様とかあ様、じぃじとばぁば、にぃに達とそれからライオネルとシェーラ。みんなでお城に行きます。他の使用人さんとメイドさんはお留守番です。

 

 あっ、でも、お城に行くのはとっても楽しみだけど、ちょっとだけ残念があります。お城に住んでるカイン君は、カイン君のかあ様と今お出かけしてて、お城にいないんだって。遊べると思ってたからしょんぼり。ムーちゃんもご紹介したかったのに。僕の新しいお友達。カイン君いつ帰ってくるのかな?


 お城に出発の日は、とってもお天気でした。とう様も良かったって。街に1番近い森の道が、今ちょっとボロボロで、雨が降っちゃうと馬車が通れなくなっちゃうの。だからお日様ぽかぽかよかったねぇ。


「しゅっぱつ!」


『ぷるるるん!!』


『しゅっぱつ!』


『ギャウゥゥゥゥゥ!!』


 馬車が動き始めました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る