第7話とう様達にムーちゃんを紹介?
この前のドラゴンの儀式でドラゴン騎士へと選ばれたコステロ。私達はそのコステロの話に盛り上がっていた。
ドラゴンの儀式とは、国に仕える若者が、国が管理しているドラゴンが生息している谷や山に海、いろいろな場所に行き、そこで出会うドラゴンと心を通わせる事で、騎士の中での最高とされるドラゴン騎士になる。と、いう物だが。
ドラゴンを探しに行ったからといって、ドラゴンが簡単に見つかるわけでも、見つかったからといって必ず心を通わせる事ができるわけでもない。ここ数年、ドラゴン騎士になれる若者はいなかったのだ。
が、そのドラゴン騎士にコステロが選ばれたのだ。久しぶりのドラゴン騎士誕生に国ではパレードも開かれ、かなりの盛り上がりをみせた。まぁ、パレードするのにはもう1つ理由があるのだが。
コステロは私の親戚の1人息子で、私もお祝いをしたかったのだが、仕事で忙しくその機会を失っていた。やっとお祝いを言える。
「おめでとうコステロ。祝いが遅れた。プレゼントも用意してあるんだが、帰るときに渡そうと。それで、ガルダーだったか? 調子はどうだ?」
「はい。ガルダーもかなり街での生活にも慣れて、仲間のドラゴンとも仲良くやっています」
どうしてドラゴン騎士が誕生しただけで、国がパレードを開いたか。その理由はドラゴンと心を通わせ契約しただけでは、ドラゴン騎士になれないからだ。そうドラゴンが国のために戦ってくれると、了承を得なければならない。
ドラゴンは気位が高く、自分の意思をしっかりと持つ生き物。私達が礼を欠けばそれ相応の対応をしてくる。
契約した彼らの中には、戦いを好まないドラゴンも、国や世界など関係なく契約した若者と自由に生きたいというドラゴンなど、とても様々だ。
だからコステロがロガーの返事を受け、やっとドラゴン騎士の誕生となり、国でパレードが開かれたのだ。
私達がドラゴン騎士の話に花を咲かせていると突然だった。それまでゆっくりと伏せをしていたルーファスが飛び起き、屋敷の角の方を見て、
「おい、ヴィック、何かが来るぞ!!」
と、戦闘態勢を取ったのだ。そして異変はケイトルス達もだった。休んでいたケイトルス達も立ち上がり、角の方を見てじっとしている。
陛下とコステロが声をかければ、
『ゴードン、我々では対抗できない大きな力が来たぞ』
『コステロ、勝手に動くなよ』
と注意してきた。
その時エリアスの姿が見えない事に気がついた。そうだ、私達が話している間、好きに遊んでいなさいと、プレゼントでも開けていろと言ったのだ。プレゼントの所にも、ケーキの所にも、どこにもエリアスの姿がない。どこだ!?
グロリアも気づき慌ててエリアスを探しに行こうといたが、ルーファスに止められた。先程言っていた、大きな力と共にエリアスがこちらへ向かっていると。
どういう事だ? エリアスは無事なのか? 一体誰とここへ戻ってこようとしてるんだ?
ケイトルス達の動くなという言葉と、ルーファスに止められた事で、私達はその場に立っている事しか出来なかった。そして…。
角から最初に姿を見せたのはエリアスだった。顔はニコニコで頭の上にぷるを乗っけている。
続いて現れた者に我々は固まってしまった。エリアスくらいのドラゴンがエリアスと手を繋ぎ、そしてドラゴンの上にはウルが乗っかって、4人で歩いてきたのだ。
ケイトルス達が言っていた大きな力とはあのドラゴンの事か? 私がルーファスを見れば、ルーファスは首を横に振る。違うのか? なら一体、どんな力が来たというのだ。
変な汗をかきながら、エリアス達がこちらに歩いてくるのを見てると、ちょっとしてエリアス達の後ろから、青と黒の洋服を着た人物が現れた。
剣を抜こうとした瞬間、ケイトルスの声が飛んだ。
『動くな! 剣もしまえ! 良いか何もするな。我々が初めに話す!!』
私達の姿を確認したエリアスが、急にケーキの方を見て、何故かほっとした表情になり、その後また我々の方を見て、大きく手を振り私達を呼ぶ。
「とうさまぁ! かあさまぁ! おともだちぃ!」
は?
*********
ムーちゃんとお手々繋いで、僕の頭の上にぷるちゃんが乗って、ムーちゃんの頭の上にウルちゃんが乗って、僕達の後ろをおじさんが歩きます。
「えへへ、おともだちうれしいねぇ」
『ギャウギャウ♪』
『ぷるるん!』
『うれしいねぇ』
お家の角っこを曲がったら、とう様とかあ様、みんながこっち見て立ってました。何でみんなこっち見てるのかな? あっ、ルーファスもケイトルス達も起きてる。ムーちゃんのこと紹介するんだもん。みんな起きてなくちゃ。
僕その時気づきました。ケイトルス達起きてる! 僕のケーキ全部食べてないよね。
急いでケーキが置いてあるテーブルを見ます。さっきおじさんの所に行った時のまんま、ケーキ減ってませんでした。ふぅ、良かったぁ。
ケーキが減ってないの見て僕安心です。安心したからまたとう様達の方見ました。良し! ムーちゃんのことご紹介!!
「とうさまぁ! かあさまぁ! おともだちぃ!」
僕はお手々振りながらとう様達のこと呼びました。ぷるちゃんもウルちゃんも、ムーちゃんもまねっこしてお手々振ります。
それでね、とう様達変なお顔してるんだよ。びっくりしてるお顔でしょう、困ってるお顔に怖いお顔。いろいろなお顔してます。
僕達がとう様達の前に着いたら、ケイトルス達が伏せしました。それ見て今度はみんなびっくりしたお顔になりました。あれ? ゲリー達何で剣持ってるの? 剣の練習してたの。もう、何で僕呼んでくれないの! 僕剣の練習見るの大好きなのに。
「けんのれんしゅう、ないしょダメ!」
「え、あ、これは練習ではなく」
あっ、でも僕ムーちゃんとお友達になってたもんね。うん、今日は許してあげる。
「あのね、あのねぼく、あたらしいおともだち!」
僕がそう言ったらムーちゃんがまたみんなにお手々振ります。とう様がそっと前に歩いてきて、それから僕とぷるちゃんとウルちゃんだけ、かあ様の方に連れて行きました。それからおじさんに誰だって聞いたの。
「我は国王の友人だ」
みんなが王様じぃじのこと見ます。王様じぃじはおじさんのこと睨んだまんま。怒ったお顔してるんだよ。どうしたのかな? 王様じぃじお友達でしょう。喧嘩してるの? 僕もにぃに達と喧嘩すると、怒ったお顔からなかなか元に戻らなくなっちゃいます。
「わしはお前など知らんが」
「ふむ。我も今困っている。どうも我が知っている国王はもっと前の国王のようだ。最近顔を出して居なかったからな。我の知っている国王の名はフィリプスだ」
とう様達またまたびっくりなお顔しました。僕のお隣に立ってたかあ様が教えてくれたよ。フィリプス王様は、ずっとずっと前ね王様で僕もにぃに達も、じぃじ達もまだ生まれてない、むか~しむか~しの王様なんだって。ケイトルスは300歳だけど、ケイトルスも生まれてないの。おじさん、王様じぃじのお友達じゃなかったんだぁ。
「まぁ、そんな事はどうでも良いが、そこのドラゴン2匹。お前達は我が誰だか分かっているな」
『勿論です』
『伝説の貴方様に会えるとは、なんと素晴らしい事か』
「ケイトルスや、この者は一体誰なのだ」
『伝説のドラゴン、エンシェントドラゴン様だ」
またまたまた、とう様達びっくりなお顔です。エンシェントドラゴン? おじさん人間だよ。
かあ様僕のお手々繋いでたんだけど離したから、僕達ムーちゃんの所に戻ります。後ろでとう様が僕のこと呼んでたけど、お友達ムーちゃん1人はダメだよ。みんな一緒にいないとね。
ムーちゃんの所に戻って、おじさんにおじさんは人間だよねって聞きました。
おじさんニッって笑って、面白い物見せてくれるって。だからムーちゃんと一緒にとう様の所に戻ってなさいって言われました。
さっきみたいにお手々繋いでとう様の所に戻ります。
おじさんがもう少しみんなから離れて、ここにいるみんな以外に見られるとダメだからって、さっきの光でみんなのこと包みました。
「よし良いだろう。エリアス良く見ているのだぞ」
おじさんの体が光り始めました。だんだんとおじさんが光で見えなくなっていって、それから光がどんどん大きくなって、お家の2階の所まで大きくなっちゃったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます