第49話いつもと一緒?

「一体何をしたらこうなったんだ!」


 ボロボロのお部屋に入って、ライオネルやシェーラがお部屋をお片付けしてる間は、危ないからってみんなでベッドの上に座ったんだ。それでとう様がとっても怒ってて、どうしてお部屋がボロボロになったか聞きました。


 お兄ちゃんと僕達は、ムウちゃんに作ってもらったボールが割れちゃったことお話して、それからシューお兄ちゃんの方から、ビュウって風が吹いてきた事お話しました。えっとシューお兄ちゃんは、倒れちゃったお椅子をベッドの所まで持ってきて、僕達の近くに、人に変身して座ってます。


「はぁ、シュー様の話は、じっくり聞くとして」


 とう様が、僕とにぃに達のこと抱きしめてきました。


「怪我がなくて良かった。それに、お前達がいつも通りで。お前達のやらかしを見られて少し安心した。ずっと緊張しっぱなしだったからな」


 最後、とう様が小さなお声でボソボソお話したから、何て言ってるか聞こえませんでした。


「とうさま?」


「父様、どうしたの?」


「父様、苦しいよっ」


「あ、ああ、すまない。怪我がなくて安心したんだ」


 とう様が僕達から離れた後、また怒ります。それで、これからは、とう様やかあ様、大人の人が居ないところで、ムウちゃんのボールで遊んじゃダメって言われました。それからお部屋の中もダメ。


風がビュウビュウは、ムウちゃんのボールが割れちゃったから、ボールは風の魔法で作ったでしょう。だからボールが割れちゃった時、ボールの中に入ってた風が、ビュウビュウしちゃったんだって。


 僕達はみんなでとう様にごめんなさいしました。ぷるちゃん達も。ムウちゃんもしょんぼりです。とう様がムウちゃんの頭なでなでしました。


「ムウ、ボールが作れるようになったのはとっても良い事だ。ヱン様よりも勉強が進んでいるしな。ただ、まだボールは作れるようになったばっかりだ。もう少し練習しないといけないんだよ。また今度外で、大人が居る時にボールを作ってあげてくれ。エリアス達もみんなも喜ぶからな」


『ガウガウ。ガウガァ!!』


『ごめんなさい、分かった!って』


「よし。さてと今度は」


「何でシュー様の方からも風が吹き荒れたのですか?」


 うん、シューお兄ちゃんの方からも、風がビュウビュウってなったよね。


 シューお兄ちゃんは、僕達がとう様とお話してる時、お体のいろんな所動かしてました。腕をぐるぐるしたり、首を前に倒したり、後ろに倒したり。お首もぐるぐる。それからうーんとか、ここがもう少しとか。なんかブツブツ言ってました。


「何故変身の練習をしているシュー様の方からも風が?」


「いやなに、たまたまだ」


 シューお兄ちゃんね、変身する時間があんまり、ドラゴンおじさんみたいになかなか早くならなくて面倒くさくなっちゃったんだって。でも昨日よりも早く変身してるよね?


『1度、もう少し力を使って、変身してみるかと思ってな。それで力を入れ過ぎたんだ。変身に使われなかった力が、俺の体から放出されてな。それがムウのボールが割れたのと重なった。いやぁ、悪い悪い』


「そう言う事ですか…。今度からは」


 とう様がお話してる時でした。バタンっ!! 勢いよくドアが開いてドラゴンおじさんが怖いお顔してお部屋に入って来ました。それからどかどかシューお兄ちゃんの方に歩いて来て、シューお兄ちゃんの頭を、ゴチンっ!って叩いたの。僕もぷるちゃん達も自分の頭をパッて隠します。


「何をやっている! 力の爆発などしおって! ムウたちに怪我があったらどうするんだ!」


 ん? いつもかあ様がドラゴンおじさんに言ってるのと同じだね。


 ドラゴンおじさんは、それからずっとシューお兄ちゃんのことを怒ってたんだけど、その怒ってることもいつものかあ様と一緒。僕がとう様にそう言ったらとう様笑いました。確かにそうだなって。


 それでドラゴンおじさんが怒ってる時、今度はかあ様がお部屋に入って来て、静かに僕達の所に来て、僕達のこと抱きしめた後、ドラゴンおじさんに方を見て、ドラゴンおじさんが怒ってるの静かに見てました。


「悪かったって。だがな、見てみろ」


 シューお兄ちゃんが立ち上がって、体が光り始めます。パアァァァって明るくなって、シューお兄ちゃんから、魔獣シューお兄ちゃんに変身! 


「そうだ、お前とそんなに変わらないだろう。力を入れ過ぎて悪かったが、そのおかげで何となく感覚が分かった」


「ふむ、それだけ早く変身できれば良いだろう。だが、これからはムウたちが怪我をするようなことはするな」


「あら、ヱン様、ようやく分かってくださったのですね。ではこれからはヱン様も、エリアスやムウちゃん達を、怪我させるような力はお使いにならないと。このことが終わった後、練習が再開されたのちには、もう地面を直したりしなくて済みそうですわね」


 ドラゴンおじさんが変なお顔して、かあ様の方を見ました。それで今度はかあ様とお話です。僕達は、ライオネル達がお片付けしてくれたお椅子の方に。ライオネル達にありがとうして、それからシェーラが持ってきてくれたジュースを飲んで、かあ様達のお話が終わるの待ってました。


 とう様がニコニコ、僕達とお話してるかあ様達、そのお隣りで変身の練習してるシューお兄ちゃんを見て、僕達に聞こえないくらい小さなお声で何か言ってました。


「少し体の力が抜けたな。ここはいつも通りでよかった。時々エリアス達の所に戻って来て、この いつも通りの安心を味わえたら良いんだが」

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