概要
その日常をぶち壊すギャルゲーのような展開。
それはキャラクターが立った奇人変人たちとの立て続けの出会い。
ついには、昔ドハマりしたギャルゲーから抜け出してきたような少女まで現れ、彼にとって破壊と再生の一週間が幕を開ける――――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!記号化されたヒロインたちが算術から滑り落ちていく
幼馴染の女の子を起こしに隣の家まで行く……なんて、まるでギャルゲーのようなスタートを切る本作。
対人恐怖症かつ二次元至上主義の主人公——悠樹は、幼馴染の尋といつもと変わらない日常を過ごしていく……はずだった。
しかし、どういうわけか学校内の三大変人に絡まれる、絡まれる。ただでさえ対人恐怖症の悠樹は疲れ果てながらも、一層ギャルゲー風味を増した日常に引きずり込まれていく。
ただのラブコメ? しかし悠樹の身に起きた過去の出来事が、「そんなわけはない」と告げている。
そして、中盤、瓦解する。——悠樹が、主人公が、読者が信じていた世界が壊れる。ガラガラガラと音を立てて。沈下、崩壊、暗闇へと落下していく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ギャルゲー風作品でありながら、位置するのは対極
二次元に逃避した主人公が、日常をギャルゲーにあてはめたように語っていくスタイル。気の合う幼馴染だけでなく個性的なヒロイン達と関わることになっていく展開はラブコメを予感させます。
が、中盤に待ち受ける事実で世界観が一変します。何気ないあれもこれも布石だったと気付く時には物語は加速し、終わりまで一気に読ませてくれる力があります。
それだけでなく、ツボを押さえたクライマックスへの流れと、我々自身も心に刻むべき普遍的な教訓が編み込まれていて、衝撃的な展開だけでなく物語としてもしっかり作られています。
結末も作品のテーマが反映されていて納得です。 - ★★★ Excellent!!!これはギャルゲーのメタでは終わらない
作中序盤に、ギャルゲーのシステムについて疑念を呈する会話が描かれます。そんなのお約束だよ、目くじらを立てるほどじゃない。読んだとき、正直そう思いました。
それが、作品が進むにつれて、世界の歪みとして露わになっていきます。
私たちが主人公と同様に生きたかもしれない世界は、こんなに歪んでいたのかと。
歪みのない視野はありません。でも歪みの大小はあります。歪みを一つずつ解いていったとき、世界に戦慄が走ります。
それからどうするって? 大丈夫。これは「破壊と再生の『ラブコメ奇書』」なのですから。その意味は、読んで確かめてください。
ギャルゲーをベースとしたことによる恩恵の一つが、際だったキ…続きを読む