これはギャルゲーのメタでは終わらない

作中序盤に、ギャルゲーのシステムについて疑念を呈する会話が描かれます。そんなのお約束だよ、目くじらを立てるほどじゃない。読んだとき、正直そう思いました。

それが、作品が進むにつれて、世界の歪みとして露わになっていきます。

私たちが主人公と同様に生きたかもしれない世界は、こんなに歪んでいたのかと。

歪みのない視野はありません。でも歪みの大小はあります。歪みを一つずつ解いていったとき、世界に戦慄が走ります。

それからどうするって? 大丈夫。これは「破壊と再生の『ラブコメ奇書』」なのですから。その意味は、読んで確かめてください。

ギャルゲーをベースとしたことによる恩恵の一つが、際だったキャラの存在。キャラを追うだけでも楽しめます。清涼剤があるので、厳しい話でもきちんとエンタメとして成立している作品です。

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