初詣

 梓の勉強を見た次の日。海斗は自宅に泊まりゴロゴロとしていた。

 ピンポーン!

 誰かがチャイムを鳴らしていた。

 そんなことより休みだから気が抜けて睡魔が襲ってくる。

「寝よう……」

 するとスマホからメッセージが飛んできた。

 見てみると玲からだった。

『海斗。初詣行こう』

「初詣か……」

 まだ玲と今年は行ってないから良いかもしれないが布団が離すのを許してくれないからな………。

 今度は梓から写真付きで送られてき見てみると玲の着物姿が写っていた。

「……おぉ」

 見惚れてしまうほど綺麗だった。

『お兄ちゃん、外に出れば着物姿が間近で見れるよう』

「よし、行こう!」

 自然と体から動きやすい支度をして玄関に向かった。

 扉を開けると玲が怒っていた。

「変なの写真とかじゃないよね梓」

「大丈夫だって、ほらお兄ちゃんも出てきたし」

 梓の方も着物を着ていた。こうして姉妹揃うと綺麗と言う言葉しか出てこない。

「おぉ……」

 梓が近づいてきて一周回っていた。

「どう、お兄ちゃん」

「似合っているな二人も」

 二人して笑っていた。

「やったね」

「えへへありがとう海斗」

 梓が空高く手をかざしていた。

「じゃあ出発!」

 そのまま歩いていった。

「玲姫。どうして初詣に行くことになったのでしょう?」

「まあ、梓の合格祈願に行こうと思いまして海斗王子」

 なるほどな……。

「それなら俺も話してくれれば付いて行きましたよ姫様」

「話そうとはしたんだけど梓が写真に撮られて送ったと言うから……」

 梓、ナイス! この後の出店でなんか買ってあげよう。

 梓が戻ってきて顔を覗いていた。

「二人とも遅いよ」

 そして俺と玲の間に入って手を握ると引っ張ってきた。

「そんなに引っ張るなって!」

「あぁ、転びそうになるから引っ張らないで梓!」


 神社に元日が過ぎてはいたが屋台があっちこっちに出ていて人がチラホラといた。

「沢山お店が出ているね。お姉ちゃん」

「そうだね梓。あーどれから食べよう!」

 梓と玲の二人が輝いてる。

「たこ焼き!」

「唐揚げ!」

「イカ焼きに」

「かき氷!」

 梓は首を振っていた。

「いやいや、お姉ちゃん。こんな寒いのにかき氷ってないでしょ」

「えー? 美味しいのに……」

 玲の顔が膨らんでいた。

「それじゃあ祈ってから食べ歩きしようぜ」

 玲と梓。姉妹が左右に手を握ってきた。

「迷わないようにしっかり握ってて」

「お願いね。お兄ちゃん」

「了解」

 賽銭箱の所まで並んでお金を入れてお願いをした。

 梓の受験が合格します様に……。玲ともっと仲良くなれますように……。

 目を開くと二人ともまだだった。

 先に梓が開けた。

「よし! お願い出来た」

 続けて玲も願い事を済まして階段を降りた。

「それでお姉ちゃんとお兄ちゃんは何を祈ったの?」

「ん? 梓の合格出来ますようにって」

 玲も頷いた。

「私も同じだよ」

 梓が口に手を当てていた。

「わぉ! 二人に祝って貰ってワシは幸せものじゃの」

 殿様みたく「ハッハッハ!」と笑っていた。

「それじゃあお姉ちゃんとお兄ちゃんの期待を応えるためにも頑張らないとだね」

「うん。梓なら出来るよ」

「あぁ、しっかりな」

 梓が「えへへ」と笑っていた。

「二人とも何か食うか? 奢るよ」

 玲が首を傾げていた。

「良いの?」

「もちろん。お金が無いからそれぞれ一個までだけど」

 玲と梓が食いついてきた。

「私、唐揚げが食べたい!」

「お兄ちゃん! イカ焼き。イカ焼き食べたい」

「了解」

 二人の要望の品を買い玲が顔を覗いていた。

「海斗は何か食べたいものとかない?」

「そうだな……たこ焼きが食べたいから買うかな」

 二人だけで食べていて俺だけ食べてないと少し悲しい感じが出るからな。

「それじゃあ買ってくるよ」

「え? 良いよ奢ったんだし」

「私がそうしたいの」

 すると梓も手を挙げていた。

「はいはい!! 私もお兄ちゃんのたこ焼き買ってあげたい」

「それじゃあ海斗は少し待ってて。行こう梓」

「ラジャーであります姉上」

 梓は敬礼してたこ焼きの売ってる場所に向かって戻ってきた。

「それじゃあどこで食べようか?」

「ベンチとかでも良いんだけど着物とか汚したくないな……」

「そうだね……」

 姉妹揃って考え事をしていた。

「俺の家に行くか? ゴミと家で捨てる方が楽だし」

「良いね。お兄ちゃんの部屋でゲームとか遊びたい」

「玲も賛成でいいか?」

 そして玲も頷いた。

 家の方まで帰ってきて食べ物を受け取った。

「じゃ海斗の家に集合で。私たちは着替えてくるから」

「了解」

 そして二人して自分の家に向かって行った

 

 


 

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