両親からの祝福と受験の妹

 4日の日。本当に玲の両親が車でお迎えに来ていた。

「玲、海斗君お久しぶり~」

 車から降りて来たのは玲のお母さん。おばさんが降っていた。

「お久しぶりです」

 おばさんがポンと肩を叩いてきた。

「お久しぶりね海斗君。玲も見ない間に成長したんじゃない?」

「そうお母さん?」

「うん。前より見違えたわ。さ、乗って。お寿司が届いているから」

「あ、はい」

 車に乗ってシートベルトを締めるとバックミラー越しから玲のお父さんと目があった。

「海斗君久しぶりだね」

「はい。久しぶりです……」

 こう、彼氏と思うと緊張してしまう。幼馴染で一緒に居る第二のお父さんという感じはあるのに少し複雑な気持ちだ……。

「それじゃあ行こうか」

 車を走らせ実家のある街まで走らせていた。

「見て海斗。ご飯食べに行って店がパン屋になってるよ!」

「え、本当に?」

 ガラス越しから見てみると一年前まで玲と一緒に食べていた定食屋がパン屋に変わっている。

「本当だ……なくなってる」

 他にも数か所だけど知らない家が建っていたりしていた。一年でこんなに変わるもんなんだな……。

 実家に到着した海斗と玲が車から降りた。

「それじゃあ先に部屋に入ってて私たち車を置いてくるから」

「はーいお母さん」

 おばさんから鍵を受け取りドアを開けると一人玄関で立っていた。

「あ、お姉ちゃん今、帰ってきたの?」

「ただいま梓」

 今、玲と喋っているのが玲の妹のあずさ

 今年が受験で今通っている学校を受けようとしている受験生だ。

「お兄ちゃんもお帰り」

「ただいま梓」

 玲も妹みたいだけど梓も、もう一人の妹だ。

 すると後ろから玲の両親の他。ウチの両親も来ていた。

「ほら、玄関に立ってないで家に入って」

 そのままリビングに移動し歓迎会が始まった。

「それじゃあ! 玲と海斗の恋人おめでとう!」

 盛大にな喝采で祝ってくれた。

 ビールを飲んでいた親父が笑っていた。

「いや〜まさかウチの息子がなこうして恋人なんて。まさか玲ちゃんと付き合うなんてビックリしたは」

「そうだね。ウチもビックリだよ。まさか海斗君と付き合うって……」

「一杯どうですか記念に?」

「ありがとうございます」

 お袋たちが止めに入っていた。

「あまり飲まないでよ」

「そうそう。帰りが大変だから」

 すると親父とおじさんが笑っていた。

「良いじゃないか海斗が彼女作ったんだから」

「そうそう。玲にもこうして彼氏が出来た事なんだし祝ってあげよう」

「それもそうね……」

 おばさんもコップを持ってきてビールを飲んでいた。

「めでたいね。さ、お寿司もこんなにあるんだし食べて食べて」

 本当に色とりどりのお寿司がある。その中でも玲はエビが好きだったな。

「玲。エビあるぞ」

「え、本当にエビがある。エビ、エビ」

 小皿にエビ寿司を取って醤油をつけて食べてる。

「あー。エビ、うま……」

 すると梓が立ち上がった。

「お母さん。私、勉強したいからお寿司部屋で食べるね」

「わかったわ」

 梓は寿司を数個取って二階に上がって行った。

「勉強大変そうだな」

「そうだね……」

 玲はまだずっと二階を見ていた。それは妹の受験が決まってるもんな。気持ちはわかる。

 お寿司がだいぶ減り大人たちはまだ喋っていた。

「ねぇ、海斗。暇だし海斗の部屋行ってもいい? ゲームとか遊びたいし」

「そうだな。ここに居ても喋る事ないしな」

 立ち上がって玄関に向かった。

 玲がずっと二階を見ていた。

「……」

「やっぱり気になるよな……」

「うん……海斗。少しだけ梓の様子を見に行っても良い?」

「もちろん。でも受験生ってどう接したらいいんかな?」

「そうだね……私の場合は海斗が居たから何とかなったけど」

「梓の場合は一人だからな……」

 こう声援だけでもしてあげたいが。

「なんか届けて様子を見るとかどうだ?」

 すると玲が頷いていた。

「いいね。ジュースとか持って行こう」

 少し様子を見るだけ。一生懸命頑張っている姿を見たら自分の部屋に行こう。

 二階に上がり梓と書いてあるプレートに二人して立つ。

 コンコンと玲がノックする。

「梓。ちょっといい?」

 …… 

 返事がない。

「どうする? 集中しているみたいだし海斗の部屋に行く」

「そうだな」 

 今は集中しているみたいだし時間を置いてから――。

「「私も恋愛したいよ!!」」

 大声で梓の声が響き渡る。

 ん? 恋愛したい?

 恐る恐る扉を開けると梓が漫画を読んで泣いていた。

「うっ。うっ………」

 すると玲がため息を吐きながら梓に近づいた。

「全く……恋愛漫画読んで泣いてるなんて」

「うっ、お、お姉ちゃん! お兄ちゃん!」

 梓が漫画の方にしがみつきまだ涙目になっていた。

「これは遊んでたじゃなから! そう。勉強してたから」

「いや、何も言ってないわよ……」

 玲と一緒に床に座った。

「それで勉強の方は大丈夫なの?」

「す、数学以外はなんとか……」

 梓は顔をこっちに向けないで遠い方を見ていた。

 そうなんだよな。姉妹揃って数学が苦手なんだよな。

 すると梓がこっちに抱きついてきた。

「お兄ちゃん数学教えて! と言うか受験のときお兄ちゃんと入れ替わって!」

「いやいや……バレるって。だったら玲と入れ替わった方がいいだろ」

 玲のツッコミが入った。

「いやダメでしょ!」

 玲が立ちあがった。

「海斗。梓に付き合ってくれない?」

「いいよ。じゃあやろうか」

 けど梓は涙目で引っ付きながら首を振っていた。

「お願いします世界でカッコイイお兄様! 勉強したくないよ! 素敵な恋愛したいよぉぉぉ!」

「ほら、頑張れ梓。高校に入ったら恋人出来るかもしれないんだし」

「うっ……。本当に?」

「本当さだからな?」

 今はこうして玲という恋人がいるから嘘は言っていない。

「うっ、頑張る……」

 梓を椅子に座らせて勉強を見ていた。

 

 

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