新婚からの陣痛

 高校では就職を希望し。町工場で、1年が経過した。

 昼になり休憩所で弁当を持ってきて、肩を伸ばす。

「あぁ、ああ!」

 軽く背伸びをしていると会社の先輩が、からかってきた。

「奥さんがいるなんて羨ましいな、この!」

「どうもです……」

 すると一人の先輩が隣に座り話しかけて来た。

「今ってお腹の子。何か月目になったんだっけ?」

「今は10ヶ月目に突入しましたね」

 玲との間に子供が授かり、女の子と診断された。ありがたいことだ。

「マジか!? もうすぐだな」

「はい……楽しみです」

 本当に毎日が楽しみだ。

「じゃあ、仕事頑張んぞ!」

「はい!」

 それから午後はやる気物凄い勢いで頑張れた。

 

 新居で玲と同棲しているアパートの方に、仕事で疲れた足を持ち上げながら帰ってた。

「あぁ……疲れた」

 そして扉をガチャッと開ける。

「ただいま」

「お帰りなさい海斗」

 玲が迎えに来てくれた。こんな風に毎日迎えに来てくれるなんてありがたい。

「ただいま……」

 今も玲のお腹は一段と膨れ上がっている。

「今日はお腹の子どうだった?」

 玲がクスクスと笑っていた。

「さっきパパがカッコいいわよって話したら反応してくれたのよ」

「え、嬉しいな」

 玲のお腹に手を当て優しくさする。

「パパだど〜〜。沢山遊ぼうな」

 玲が笑って微笑んでいた。

「ふふっ。それじゃあご飯にするね」

「手伝うよ」

「ありがとう」

 昔、学校で妊婦の体験をしたが胸のところと、お腹が張ってよく前が歩けず。前屈みで歩けなかったのを思い出しながら、玲を出来るだけサポートしていた。

「今日は魚か」

「ふふっ。この子のために栄養を沢山付けないとね」

 おかずを置き席に座り手を合わせた。

「いただきます」


 食べ始めようと途端。玲が黙ってしまった。

「――っ!」

 玲はそのまま顔を下の方にお腹を押さえていた。

「あ、っ! 苦しいぃ……」

「え!?」

 まさか陣痛か!?

 急いで玲のところに向かう。

「大丈夫か? えっとあっと!」

 なにをすればいい。どこに連絡だ? 救急車? 

 色々と考えどうすればいいのか、パニックになっていると玲は手を掴んだきた。

「お、落ち着いて……婦人科にれ、連絡して……」

「あ、あぁ!」

 スマホでかかりつけの産婦人科に連絡をすると、必要な言いってくれて。それらを出来るだけ用意した。

 タクシーで産婦人科にまで連れてってもらい、もらい急いで施設に入る。


 ◇


 陣痛室に入り赤ちゃんを産むため準備と、寝ながら検査を終えて。

「はい。それではもう少しお待ちください」

「……わかりました」

 看護師さんが無事に俺らの子が産めるかどうかの確認のため、一度外に出て行った。

 ベットで横になっているが、ぐったりとしている。

「玲、おにぎりとお茶。食べれるか?」

「うん……」

 玲は2口だけ食べた。 

 無言であまり喋らない。俺が出来る事はないのか……。

 すると玲が精一杯の笑顔をしていた。

「海斗。パパになるのにそんな顔じゃダメじゃない……」

「あぁ……そうだな」

 そうだ。これから生まれてくる父親になるんだ。しっかりとしないと……。

 俺は玲の手を握る。

「玲、そばで手を握ってるからな」

「うん……」

 助産師じょさんしさんが一緒に来て別の場所に移動する。

 

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