ありがとう……

 分娩室ぶんべんしつに移動し個室で数人しか入れない場所に移動し、玲は経腟分娩けいちつぶんべんに入っていた。

「あぁぁあぁ! あぁぁ!」

 玲はところに助産師じょさんしの方に女性が二人が手伝ってくれてる。

 俺は、必死で玲の手を握ている。

 助産師さんが声をかけた。

「大丈夫ですよ。頑張ってください」

「あぁぁぁ! くぅっうぅ」

 その声から本当に辛いって気持ちが伝わってくる……。

「それでは深呼吸をしましょう」

「はぁはぁ」

 汗が凄く顔が真っ赤だ。

 俺が出来る事は玲を励ますしか、出来なかった。

「頑張れ玲! 頑張れ。大丈夫俺が付いてるから」

 玲がこっちをみると小さく頷く。

「……うん」

 助産師さんが声をかけた。

「では、もう踏ん張りですよ頑張ってください」

「う、うぅぅ! あぁぁっ!」

 物凄い力で握られて手汗が凄く濡れており震えがこっちまで伝わってくる。

「玲……」

 頑張れ……。頑張れ……。頑張れ……。


 頑張れ……。


「アァー! ウァー!」

 すると分娩室全体に声が響き渡った。

「生まれました女の子です。頑張りましたね」

 検査と同じ女の子!

「玲! 本当に、本当に頑張ったよ! 生まれたって!」

「はぁ、はぁ。良かった……」

 助産師さんが玲の方を生まれたばかりの赤ちゃんを毛布にくるませて、胸の方に抱かせてくれた。

なんだね……」

 こうして玲が子供を抱きかかえていると涙が出てくる。

「あぁ……。俺たちの子供だ」

 本当に良かった……。無事に生まれてきてくれて本当に……。

「ありがとう……」

 涙が止まらなく泣き崩れてしまった。

 

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