幼馴染とデート①

 週末の休日、海斗は近くの自動販売機で玲と待ち合わせしていた。

「デートか……」

 お弁当から約束したけど初めて彼女とのデートだから大切な思い出として残したい。

「結局決まらなかったんだよな」

 頭の中でどう行動したら恋人みたくなるのか分からなくデート当日を迎えてしまった。

 すると玲がポンと肩を叩いてきた。

「お待たせ」

 真っ白いコートにピンクのスカートと黒いストッキングをいて登場してきた。

「暗い顔してどうしたの。海斗隊長」

「ちょっとな。デートが決まってなくて」

「あれ、デートなにするか考えてなかったの?」

 流石に彼氏として不安か。

「ほら恋人のデートって特別な感じするし」

「あぁ、わかる……」

 玲も頷き共感してくれた。

 それにしても恋人のデートか……。

 もしかして玲は誰かと付き合ったことあるんじゃないのかな? 異性の話しは玲から聞いたことないし。

「玲はその……デートかしたことあるのか?」

「デート? あるよ」

「え……ウソ」

 衝撃だったまさか俺が知らなかっただけで誰かとデートとしていたとは。

 改めて玲も女の子なんだな……。

「海斗と一緒に買い物とかしてるからデートじゃん」

 え……あ、なんだ普段洋服とか映画とか一緒に遊んでいることか。

「そうじゃなくてその本格的に過去に誰かとデートとかしたことあるのかなって話」

「本格的に誰かと?」

 玲はすぐさま首を横に振ってた否定した。

「ないよ。付き合ったのも海斗が初めてだもん」

 付き合って初めてと言われ疑ってしまった自分が恥ずかしい。

「ごめん疑って」

「わかればよろしい」

 すると玲が腕をぎゅっとしがみついてきた。 

「じゃあバツとして一日中腕にくっつく刑をしてくれるなら許そう」

「それなら……」

 たまに抱きつかれるから慣れているけど。そんな刑だったらいくらでも大歓迎だ。

「それに寒いしから風よけになれるから安心、安心」

「本命がそっちかよ」

「えへへ……」

 笑っている玲も可愛いかった。

「それにさっき恋人のデートが特別だっていうのはわかるよ。でも、そんなに難しく考えちゃうと楽しめなくなっちゃうよ」

「そんなものか?」

 玲は頷いた。

「うん。そんなもんだよ。幼馴染の私だし普段みたくぶらぶらとしようよ。ね?」

「そうだな。玲とだったら普段で良いんだよな」

「んじゃ。レッツゴー!!」

 玲が腕を引っ張るから転びそうになった。

「そんなに引っ張るなって!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る